タムロン「20-40mm F/2.8 Di III VXD」はとても良好な性能だが6100万画素センサーには力不足

SonyAlphaBlogに、タムロン「20-40mm F/2.8 Di III VXD(Model A062)」のレビューが掲載されています。

Tamron 20-40mm F2.8 Di III VXD

  • 鏡筒の造りは良好で、設定用のUSB-C端子が搭載されているが、残念ながらAF/MF切替スイッチは無い。
  • ソニーFE16-35mm F2.8 GM(686g、全長12.1cm)やタムロン17-28mm F2.8 Di III RXD(420mm、全長9.9cmと比べると、20-40mm F2.8は365g、全長86mmの驚きの軽量コンパクトさで、ジンバルで安心して使える。
  • AF性能はスポーツ撮影での的中率は70%で概ね良好だったが、この点ではソニー製のレンズの方が優れている。しかし、このレンズはAFが鍵となるスポーツ用のレンズではない。

  • 解像力テストは6100万画素のα7R IVで行った。中央の解像力は20mmでは開放から既に非常に良好な値で、F4で素晴らしい値になる。40mmでは素晴らしい値にするにはF5.6まで絞る必要がある。
  • 隅の解像力は20mmでは開放から既に良好だが、非常に良好なレベルにするにはF4まで絞る必要があり、素晴らしい値には達しない。40mmでは20mmよりも少し解像力は低下し、非常に良好なレベルにするにはF5.6まで絞る必要がある。
  • このレンズは20mmが最も性能が高く、40mmでは性能が低下する。解像力はレンズのサイズを考えるととても良好だが、画面全域で6100万画素センサーの解像力を十分に引き出せるレンズではない。

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  • ポートレートは40mmでは非常に優れた結果で、開放から優れたシャープネスだが、F4に絞ると明らかな改善が見られる。40mm開放でもボケは小さく、玉ボケも小さい。発色と肌の再現はとても良好だ。
  • 遠景は20mmでは中央は素晴らしく、隅も非常に良好で、F5.6まで絞ると全域で最高の解像力が得られる。40mmでは明らかに20mmより弱く、中央は素晴らしい解像力だが隅は開放では甘い。
  • 歪曲は穏やかで20mmではタル型、40mmでは糸巻き型だ。
  • 周辺光量落ちは、開放では目に見えるが穏やかだ。絞っても周辺光量落ちの改善は遅い。
  • 色収差は非常に少ない。
  • 逆光耐性は許容範囲内だがそれほど良好ではなく、簡単にハロを出すことができる。
  • F16まで絞ると素晴らしい光芒が得られる。
  • コマ収差は非常に少ない。
  • 玉ボケは非常に良好で、後ボケは柔らかく綺麗だ。
  • 発色はとても優れている。
  • 動画はいくらかフォーカスブリージングが見られるが、それほど悪くない。このレンズは近距離ではパーフォーカルではないが、遠距離ではほぼパーフォーカル(ズーミングでピントが変わらない)だ。

  • タムロン20-40mm F2.8は優れた性能だが、他のズームや単焦点レンズ(ソニーFE PZ 16-35mm F4 GやFE24mm F2.8 G、FE40mm F2.5 G、タムロンの20mm F2.8、35mm F2.8など)との比較では、最も性能が劣るものの一つだ。ソニーFE PZ 16-35mm F4 Gは、広いズーム域でより優れた性能だが小口径だ。単焦点の20mm、24mm、35mm、40mmはいずれもタムロン20-40mm F2.8よりシャープだ。

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  • タムロン20-40mm F2.8は35-150mm F2-2.8の理想的な相方で、全体的にとても良好な性能だ。特に20mmでは非常に良好な解像力だが、40mmは開放では隅が少し甘く、それほど優れた性能ではない。画面全域で最高の結果を得るにはF5.6まで絞る必要がある。このレンズの持つ汎用性(ズーム域と明るさ)が本当に必要な人にのみ理想的なレンズで、6100万画素機のα7R IVよりも3300万画素のα7 IVとの組み合わせの方が余裕がある。

 

20-40mm F/2.8は広角側は開放から良好な性能ですが、望遠側は少し絞らないと隅が甘いようです。絞れば十分な解像力になりますが、6100万画素センサーのα7R IVの解像力を引き出すには力不足のようなので、高画素機で撮影して大伸ばしをするような用途にはあまり向いていないかもしれませんね。

とは言え、利便性の高いワイド寄りのズーム域と、F2.8通しのレンズとしては非常に軽量コンパクトな設計は魅力的で、開放からカリカリにシャープな描写を求めるのでなければ、十分期待に応えてくれそうです。