シグマのフルサイズFoveonセンサーの開発は少し遅れている

Imaging Resourceに、シグマの山木和人社長のインタビュー記事が掲載されています。

Sigma Q&A, late summer 2022

  • (新型コロナによる生産への影響は? サプライチェーンの問題はまだあるのか?)
    生産体制への影響はもちろんあったが、他社に較べて影響は非常に小さいものだった。このため、2020年、2021年の非常に厳しいコロナ禍の中でも例年通りのタイミングで商品を提供することができた。部品の調達にいくつかの問題はあったが、当社は日本に一つしか拠点がなく、部品のサプライヤーのほとんどが当社の工場の近くにあるため、大企業と比較してサプライチェーンの問題は遥かに小さかったと思う。

  • (安定した生産能力によって、ここ2年のシェア獲得に繋がった?)
    それほど大規模ではないが、米国、中国、ヨーロッパではいくらかシェア獲得に繋がった。自社で全て造っているので、生産能力を大きく増やすくことはできないが、シェアを伸ばすことはできた。

  • (I Seriesの開発のきっかけは?)
    1つ目の理由は、社内の写真好きの人たちが軽量コンパクトで高い質感を持つレンズを欲しがったからだ。他社には軽量コンパクトで非常に安価な単焦点はあるが、使用感が少々チープだ。我々は他にはない独自のものを提供したいと考えた。2つ目の理由は、fpと相性の良い、軽量で高級感のある優れたレンズを提供したかったからだ。

  • (I Seriesは総金属であることに驚いた。製造コストはTSCよりも高くなるのか?)
    TSCは機能的には素晴らしいが、操作感はアルミに及ばないので、レンズの操作感を向上させたかった。製造コストはプラスチック部品よりも遥かに高い。

  • (I SeriesがコンパクトにもかかわらずArt並のMTFを達成できた要因は?)
    複数の要因があり、まずは、新しい非球面技術で、第二に主に高屈折ガラスを中心とした新しいガラス素材が次々に登場していることだ。

  • (2022年に「少なくとももう1つのマウントが登場する」と述べていたが、2つ目のマウントは登場するのか?)
    1つ目は富士フイルムXマウントで既にリリース済みだ。他のマウントに関しては、できるだけ多くのマウントに対応していきたいと思っているが、それ以上のことは言えない。

  • (パナソニックとライカのL2テクノロジーの協業の影響は?)
    Lマウントアライアンスへの悪影響はない。Lマウントアライアンスをどのように発展させるかについての会議が、今でも3社で定期的に行われている。Lマウントアライアンスは、製品の開発と販売に関しては基本的に各社が独立しているが、マーケティングに関しては合同で取り組むことがある。アライアンスの使命は、カメラとレンズの互換性に問題が出ないようにすることだ。

  • (フルサイズFoveonセンサーの開発状況はどの程度進んでいる?)
    残念ながら、まだプロトタイプを待っているところだ。我々のパートナーは現在、プロトタイプを造っているが、半導体メーカーは今非常に多忙で、そのため少し遅れている。

  • (フルサイズFoveonに像面位相差AFが搭載される可能性はあるか?)
    それについて何か言うにはまだかなり時期が早いが、市場の需要とAF性能の観点から位相差AFが最良のソリューションだ。個人的には位相差AFを実装する必要があると思っているが、まだ決定はしていない。

  • (fp Lを使用しているのはどのような人?)
    fpとfp Lの最大の市場は日本だ。国によって異なるが、日本市場の場合、動画を撮る人もいるが、スチル用として使用しているユーザーが大多数のようだ。しかし、米国や欧州ではスチルよりも動画を撮る人がますます増えているようだ。そのため、fpやfp Lはターゲット層を明確に定義せず「万人向けのカメラ」と表現した。

  • (日本ではfpとfp Lはどちらが売れている?)
    fpの方が価格が遥かに安いので、若い人を中心にfpを選択するユーザーは依然として多い。

 

フルサイズFoveonの開発は少し遅れているようですが、多少遅くなっても完成度の高い製品を期待したいところです。フルサイズFoveonへの像面位相差AFの採用に関しては、まだ決定していないようですが、可能性はありそうなニュアンスですね。ただ、Foveon機は風景等をじっくり撮るユーザーが多いと思われるので、AF性能はコントラストAFでもそれほど問題にはならないかもしれませんね。