富士フイルム「X-T5」はスチルの撮影を楽しめるカメラだが動体撮影には向いていない

techradarに、富士フイルムX-T5のハンズオンレビューが掲載されています。

Hands on: Fujifilm X-T5 review

  • 動画への移行が進む中、富士フイルムは同社の強みであるレトロな魅力やコンパクトなボディなどの強みを倍増させたスチル中心のカメラX-T5を開発した。X-TシリーズのTは「伝統(traditional)」の意味で、フィルムカメラの感覚で楽しく撮影したい人に人気があるカメラだ。X-T5もその精神を受け継いでいる。
  • X-T5の価格は1699ドルで、驚いたことにこの価格は2020年初頭に発売されたX-T4と全く同じだ。
  • X-T5はX-T4から幅が5mm小さくなり、重さは50g軽くなっている。耐候性はX-T4と同等だが、サイズ的にはX-T1に戻っている。

  • X-T5は3方向チルト式モニタやパワーアップした手ブレ補正を採用し、スチルカメラマンにとって、X-Tシリーズのベストヒットコレクションのようなカメラだ。
  • X-T4のバリアングルモニタが動画寄りすぎるという意見があり、バリアングルとチルトは意見が分かれるところだが、我々は3方向チルトの方がスチルには適していると考えおり、X-T5でこれが復活したのを嬉しく思う。
  • X-T5では電源スイッチが少し奥まった位置にあり、カメラバックの中で意図せず電源をオンにしてしまう可能性が低くなったのは喜ばしいことだ。
  • 動画撮影に興味のある人には、HDMI端子がX-Hシリーズのようなフルサイズではなく、より小型のmicroHDMIで、また、ヘッドホン端子が用意されていない(USB-Cアダプターで音声のモニターは可能)のは悪いニュースだ。
  • 最も議論を読んだのは縦位置グリップが用意されていないことで、富士フイルムは、これはX-T5をできるだけ小型化したかったためだと述べている。しかし、X-T5のバッテリーライフは580枚(エコモードで740枚)であることを考えると、これが大きな失敗だとは思わない。

  • 連写は最大でメカシャッターで15コマ/秒、電子シャッターで20コマ/秒が可能だが、高解像度なので、連写のコマ数に影響がある。例えば、非圧縮RAWではバッファがいっぱいになるまでに15コマ/秒で1秒強(19枚)しかない(X-H2は15コマ/秒で400枚、26秒撮れる)。JPEGなら8秒近く撮れるがハイアマはあまりJPEGを使いたがらないだろう。
  • スチルの写真家にとってプラスの面は1/180000秒のシャッター速度や、1億6000万画素のピクセルシフト撮影が可能になったことだ。
  • 撮って出しJPEGの画質はXシリーズの強みの一つで、これはX-T5でも変わらない。X-T5では10bitのHEIFフォーマットにも対応している。
  • 4020万画素センサーは、画素数が多いだけではなく、より低画素のAPS-Cセンサーと比較して、ノイズやダイナミックレンジの面で大きなペナルティはない。つまり、X-T5はX-H2同様にISO6400まで快適に撮影することができる。しかし、短い時間しか使用できなかったので、最終的な結論は正式なレビューに譲りたい。
  • X-T5はスチルメインのカメラかもしれないが、動画も8Kはないがオーバーサンプリング4K30p 4:2:2 10bit、F-log2に対応し、十分すぎる性能を備えている。

  • X-T5は写真撮影にベストのカメラになる素質を備えており、3方向チルトはX-T4よりも写真寄りであり、レトロなダイヤル操作はX-H2にはない昔ながらの撮影体験を可能にしている。また、X-T5の被写体認識AFやIBIS、4020万画素の解像度は多くの写真家にとって魅力的なものだろう。しかし、バッファはRAWの連写ではかなり少ない。
  • X-T5はスポーツやアクション向けのカメラではなく、よりパワフルなX-H2とどちらを選ぶかは悩ましいところだが、写真を撮る楽しさを味わえるミラーレスカメラを求めているのであれば、X-T5はワクワクするカメラになりそうだ。
  • 富士フイルムはX-H2の現代的な機能をレトロ調のボディに詰め込み、最高の写真体験のできるカメラを造った。バッファが限られているので、アクションやスポーツの撮影をする人は他のカメラを選択するべきだが、それ意外の人はX-T5の魅力に触れてみて欲しい。
  • 良い点:印象的な4020万画素APS-Cセンサー、最新の被写体追尾AF、楽しい写真体験、有用なIBIS。
  • 悪い点:連写時のバッファが小さい、グリップが用意されていない。

 

最近は動画機能を重視してバリンアングルモニタを採用したハイブリッドカメラが増えていますが、3方向モニタを採用しスチル重視のX-T5は、写真をじっくり撮りたい人には非常に魅力的な選択肢になりそうです。

バッファが小さいので、スポーツや野鳥などの撮影にはあまり向かないようですが、そのような用途ではX-H2やX-H2Sを選んで欲しいということでしょうね。とは言え、X-T5は連写も動画も普通に使うには十分以上のスペックで、なんでも撮りたいという人の要望にも十分応えてくれそうです。