ミノルタ「α-9」は登場が遅すぎた名機

Fstoppersに、1998年に登場したミノルタ最後のフラッグシップ一眼レフ「α-9」を回顧する記事が掲載されています。

Minolta Maxxum 9 Retrospective: A Great Camera That Arrived Too Late

  • 90年代後半から2000年代前半はニコンとキヤノンがトップブランドで、ミノルタは素晴らしいカメラを造っていたが、プロの道具としての評価は今ひとつだった。

    ミノルタは80年代半ばに世界初のAF一眼レフα-7000を発表し、カメラやレンズに実験的な機能を取り入れるなど、最も冒険的なカメラメーカーの一つだったと言えるだろう。しかし、90年代には奇をてらったデザインのカメラで多くのハイアマやプロがミノルタを敬遠するようになった。

    α-9xiは極めて奇妙な形状とダイヤルを排除した未来的なボタンによる操作系を採用する大胆な取り組みだったが、プロユーザーは獲得できず、ミノルタ嫌いになってしまった人もおり、結局失敗に終わった。

    ミノルタはこのα-9xiから多くの教訓を得て、最後のプロ用一眼レフカメラとなるα-9を世に送り出した。α-9はxiシリーズの未来的なデザインを全て捨てて、シンプルで伝統的なデザインを採用し、プロが求める全てを盛り込んだ。

    α-9には35mm版では最速の1/12000秒、シンクロ1/300秒の驚異的な速さのメカシャッターを搭載しており、手袋をしたままでも簡単に操作できる非常に大きな電子ダイヤルを搭載している。このカメラのデザインは非常にシンプルで、35mmカメラの中では最も直感的に使えるカメラの一つで、写真を撮るのが本当に楽しい。

    α-9は、この時代のカメラとしてはAFが速く正確で、多くのカスタム機能が搭載されている。また、ファインダーが明るく、視野率が100%なので、構図を決めるのが非常に楽で楽しいのが、このカメラのいいところだ。

    ミノルタにとって残念なことは、α-9はニコンやキヤノンのライバルとしては登場が遅すぎたということだ。このα-9がミノルタ最後のプロ用一眼レフになってしまった理由は、ニコンやキヤノンよりレンズの選択肢が少なかったことや、新しいレンズが基板を改良しないと使えなかったこと、その前のフラッグシップ機α-9xiが扱いにくくハイアマやプロに評価されなかったことだ(実際にはもっと複雑な経緯があるが)。

    それから20年が経過しα-9は象徴的なカメラになり、その一例としてチタン製のα-9Tiは中古で高値で取引されている。私はeBayで最近α-9を入手しており、発売から20年以上経った今でもα-9は健在だ。明るく美しいファインダー、頑丈なボディ、直感的な操作感、全体的なスピード感は、これまでで最も楽しいものの一つだ。

    しかし、発売当時高い評価を得たα-9もミノルタを救うことはできなかった。ミノルタの画期的なAマウントのレンズとカメラは、ソニーに引き継がれ、新たな生命を吹き込まれた。α-9とミノルタの物語は、ソニーによってハッピーエンドを迎えたと言っていいのではないだろうか。

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ミノルタα-9はファインダーが実に見事な出来で操作性も優れていて、素晴らしいAF一眼レフでしたね。その数年前に登場したxiシリーズが、未来的なデザインや操作性を追求しすぎてユーザーに不評を買って、αの人気が落ちていたのがα-9には不幸だったかもしれません。α-9の後に登場したα-7も素晴らしいカメラでしたが、ちょうどデジタル一眼レフのコンシューマー機が出始めた時期だったので、時既に遅しという感じでした。