富士フイルム「X-T5」のAFは標準以下の性能で競合他社に後れを取っている

PetaPixelに、富士フイルム「X-T5」のレビューが掲載されています。

Fuji X-T5 Review: Compromises And Shortcomings Spoil A Great Update

  • 私はアナログダイヤルのフィルムカメラを何十年も使ってきたので、X-T5の操作系は使っていて楽しい。X-T5はコンパクトで目立たず、ストリート写真でほとんど意識されない。
  • 画質はAPS-Cの中では群を抜いているが、AFは競合他社に及ばず標準以下でがっかりした。X-T5は重要な競争で後れを取っているように感じる。
  • 被写体検出の動体追尾性能はあまり良好ではなく、動物や鳥では目にピントが合うことはあまりなく、絞らないと目にピントがこない。人間の瞳AFは合焦することもあれば外れることもあり、テストでは静止している被写体や両目がカメラから見えている場合でも、ロックできないことがあった。
  • 意外なことに動画では瞳AFは優秀で、一瞬も迷うことはないので、スチルのAF性能の低さには戸惑ってしまう。
  • α7R Vと並べてAFのテストを行ったが、2000ドル以下のカメラと4000ドルのカメラを比較するのは不公平かもしれないが、動物のAFではソニーの的中率は90%、X-T5の的中率は50%だった。
  • X-T5のAFはクマや犬には上手くロックできたが、レッサーパンダーにはロックできず、また猫の瞳にも苦戦し、多くの場合鼻にロックした。犬やレッサーパンダでも鼻にロックすることがあった。

  • 富士フイルムのカメラの画質にはいつも感銘を受けており、X-T5も同様だ。4000万画素センサーは優れたディテールが得られるが、高感度ノイズは解像度とトレードオフで、6000万画素フルサイズ機のα7R IVと同ISOで比較してもX-T5は遥かにノイズが多い。富士のユーザーに多いストリート写真の分野では、暗い場所での撮影が多いので、一部のユーザーにはX-T5は画素数が多すぎるかもしれない。
  • 私はアナログ式のダイヤルが大好きだが、テスト中に意図せずに設定が変わってしまい、撮影が何度も台無しになった。バッグから取り出すだびに、前面のフォーカスコントロールスイッチでコンティニュアスからフォーカスがマニュアルに変わってしまった。これだけなら致命的ではなかったが、他の全てのダイヤルが動いてしまうことがあり、撮影ミスをすることがあった。また、スチルモードから動画モードに意図せず移行してしまうことが多く、2秒のピンぼけ動画を量産してしまった。

  • X-T5がスチル向けのカメラなのは理解しているが、動画機能もX-H2から多く受け継いでいるので、モニタがフリップ式(バリアングル)でないのは、一人で撮影する際の利便性を著しく損ねている。また、X-T5はカメラ前面に録画中であることを示すインジケーターがない。
  • 動画機能はX-H2 / X-H2Sから若干コーデックが省略されただけで、驚くほど優れており、X-H2 / X-H2Sの優れたBカメラになるだろう。私はX-T5のスチルよりも動画機能に感銘を受けた。もし、X-T5にフリップ式モニタ(バリアングルモニタ)があれば、スタジオや現場でメインカメラになっただろう。X-T5は小型軽量でvlogやシンバルの使用に最適だ。しかし、X-T5では外部レコーダーを使用する必要があり、X-T5の小型軽量を活かせない。

  • もし、豊富なレンズラインナップがあり、素晴らしい動画品質を持つ優れたスチル用カメラを探しているならX-T5以外の選択肢はないだろう。しかし、自撮り用に使うなら、フリップ式モニタ(バリアングルモニタ)を搭載したキヤノンEOS R10かソニーZV-E10が良い選択肢だ。
  • X-T5は富士フイルムらしさをより増しており、富士フイルムのファンなら気に入るだろう。また、高画質な動画用としても検討すべきカメラだ。もし、あなたが電光石火のAF速度や超高精度のAFが必要ならX-T5を購入するべきではないだろう。

 

X-T5は画質ではスチルも動画も高く評価されていますが、スチルのAFに関しては被写体認識でピントを外すことが多かったようで、ここでは少々厳しい評価になっています。一方で動画のAFは高く評価されており、レビュアーはX-T5をむしろ動画機として評価しているようです。

また、3方向チルト式のモニタに関しては、「スチル向けのカメラだと理解している」と前置きした上で、「利便性を著しく損ねている」と述べており、バリアングルではないことがかなりマイナス評価になったようです。DigitalCameraWordのレビューでも3方向チルト式モニタが「悪い点」に挙げられていましたが、海外のレビューでは、やはりバリアングルが高く評価されることが多いようですね。