LensTipにトキナーのEマウント用のAPS-C対応の広角ズーム「atx-m 11-18mm F2.8 E」のレビューが掲載されています。
・Tokina ATX-M 11-18 mm f/2.8 E
- ズームリングは使って楽しめるものだ。フォーカスリングは電子式で、動作範囲はかなり狭く、ゆっくり回しても90度程度だ。
- 中央の解像力は広角端が最も優れており、開放で60lpmmを超え(良像の基準値は39~41lpmm)、絞ると75lpmmに達する。望遠側では解像力が少し落ちるが開放から基準値を上回っており、絞ると70lpmmに達する。ピークの解像力は、我々のテストで称賛されたソニーE PZ 10-20mm F4 Gよりも高い。
- 隅の解像力は広角端では開放からシャープで、非の打ち所がない。ズームの中間域でも開放からまずまずの解像力で、文句を言う理由はない。望遠端の開放時だけが隅の解像力の唯一の弱点で、開放では少し甘い。しかし、F3.5で基準レベルに達し、絞り込むとズーム中間域よりも更に速く解像力が上がり、F8では50lpmmを超える。このレンズの解像力は全体的に高い評価だ。
- 軸上色収差の補正は非常に優れており問題は全くない。拍手を贈る!
- 倍率色収差はトキナーのレンズが苦手にしてきた部分だが、このレンズでは改善が見られるものの11mmの開放付近では「高い」のレベルに近い値で完璧にはほど遠い。
- 球面収差の補正は、前ボケと後ボケを一瞥するだけで完璧ではないことが分かるが、被写界深度が深いのでフォーカスシフトには気付きにくい。
- トキナーは歪曲を光学的に補正している数少ないメーカーで、これは称賛に値する。歪曲の電子補正には解像力が低下するという欠点がある。このレンズは歪曲補正が強制ではないので、メニューで歪曲補正をオフにすることができる。歪曲は広角端では-2.82%と目立つが、3%未満なら大きな問題ではない。望遠側では歪曲は改善し、13mmで-1.05%のタル型、15mmではほぼゼロ、望遠端では+0.85%の糸巻き型になる。
- コマ収差少々煩わしく見えるが、翼状にならないのでそれほど大きな不満はない。
- 非点収差は6.8%で「非常に低い」と「低い」の境界線上の値だ。
- 玉ボケは不均一な年輪ボケが強く、外側には明るい輪郭も見られる。しかし口径食はあまり目立たない。
- 周辺光量落ちは11mm開放では50%(-2.02EV)と大きい値だが、不満はない。F4では34%(-1.21EV)、F5.6では25%(-0.83EV)に改善する。望遠側では周辺光量落ちは改善し、14mm開放で29%(-1.01EV)、18mm開放では29%(-0.99EV)だ。全体として周辺光量落ちは高い評価だ。多くのレンズ設計者は電子補正前提で周辺光量落ちの光学補正を諦めており、電子補正にはノイズ増加の代償があるが、トキナーが周辺光量落ちを光学的に補正しようとしていることをとても嬉しく思う。
- 逆光耐性は15年前のAT-X 11-16mm F2.8は厄介なフレアが出ており、それから何年も経っているが、まだ多くの問題が残っている。太陽が画面内にある場合のフレア・ゴーストは許容できるが、太陽が画面外に数十度以上離れた位置にある場合でもフレア・ゴーストで壊滅的になるのは理解しがたい。晴れた日にこのようなレンズで撮影するのは宝くじのようなもので、何が撮れるかわからない。
- AFはα6400でのテストでは動作音が無く非常に速い。最短から無限遠までは0.3秒で合焦し、AF速度は優れている。フルサイズ機のα7R IIIのテストでも同様の結果だ。前ピンや後ピンの傾向も見られない。
- 非常にまれだが、望遠端で撮影中にカメラがフリーズすることがあり、これは両方のボディで発生したのでレンズ側が原因である可能性が高い。この現象は合焦後、シャッターを押しても写真が撮れず、カメラの電源を切ったり入れたりしても、EVFもモニタも真っ黒のままで何も映らない。レンズを外してもう一度装着しなおすのが唯一の解決策だ。
- 結論:このレンズは画面全域で非常に高い画質が得られる。また、最近のレンズとしては珍しく、歪曲と周辺光量落ちが光学補正されているのは嬉しいところだ。しかし、倍率色収差の補正は以前ほど悪くはないが、良好とは言えない。逆光耐性は非常に痛い失敗で、トキナーからは未だに逆光耐性の分野で高性能な広角レンズは登場していない。
- 良い点:中央の素晴らしい画質、隅の実用的な画質、軸上色収差がほとんどゼロ、妥当な歪曲の補正、非点収差がわずか、静かで速く正確なAF。
- 悪い点:酷い逆光耐性。
トキナーの11-18mm F2.8は広角ズームが得意なトキナーらしく、解像力に関してはズーム全域で優れた性能ですね。ただ、逆光耐性はかなり厳しいようで、太陽が画面外にある場合でも強いフレアとゴーストが出ることがあるのは、少々使いづらいかもしれません(逆光のサンプル画像)。
また、合焦後のフリーズの件に関しては、レンズ側の問題だとしたら、ファームウェアのアップデートで早期に改善して欲しいところですね。
swing
倍率色収差と軸上色収差、どっちを残すかと言われたら後処理できる倍率色収差ですね。
厄介な軸上色収差がほぼ無いというのは素晴らしい。
歪曲収差の電子補正はカメラ画素数上がれば上がるほど悪影響が無くなるので、正直光学補正にこだわりすぎないぐらいが良いかなと思う。とはいえAPS-C用だから光学補正がしっかりしてるのは嬉しいですね。
そして逆光は、正直超広角でこの逆光耐性は厳しい…。
サンプル見て買う気失せました。トキナーにも頑張って欲しいのだけど、やはりシグタムと比べてかなり後ろを走ってる印象。ちょっと苦しいですね。
まえちゃん
動画用にとZV-E10購入と同時に明るいズームが欲しかったので、このレンズ買いましたした。
書かれている通り逆光耐性は厳しいですね。
hashiruhito
トキナーのこのレンズも、やはり逆光弱いですか…
一眼レフ時代のレンズで11-16と14-20も使ってました。
私が使ったこれらのレンズも例外に漏れず、逆光は弱い印象でした。
メーカーの技術的な限界なんですかね…
シグマはゴーストを徹底的に抑制するゴーストバスターズと呼ばれる設計者がいると言われる位に逆光対策などに力を入れてます。メーカーによって違いがあるのでしょうね。
トキナーさんも意欲的な画角で大口径レンズを積極的には生産されてるので、もうひと頑張りしてほしいです。
hui
歪曲の光学補正は注目点だと思います。電子補正では、昨今の高画素機種では中央と周辺の解像差が顕著に現れます。
逆光耐性の評価は残念ですが、魅力的な一本に仕上がっていると思います。
にゃんたろう
レンズ性能では、逆光時のハレーションやゴーストに最も価格差が表れてしまうようです……。とはいえ、トキナーも歴史ある専門メーカーですし、設計自体が劣るとは考えにくいでしょう。
推測ながら、レンズ素材や製造の工程で、最新のコーティング技術などが施せないとか、コストの兼ね合いやパテントなど何かの要因で、シグマやタムロン、純正メーカー製と大きな差が出てしまうのでしょうか。
レビューの高評価な部分を重視や、欠点がわかったうえで使いこなすならコスパもいいでしょう。