富士フイルム「X-T5」は原点回帰してスチルに軸足を置いたカメラ

ITmedia NEWSに、富士フイルム「X-T5」のレビューが掲載されています。

富士フイルム「X-T5」はスチル撮影に軸足を置いたハイエンド機

  • 11月に発表された「X-T5」は予想以上にX-Tだった。メディア向けの説明会で出た「Photography First」という言葉が全てを表している。X-T5は(X-H2/X-H2Sとは)逆に静止画に軸足を置いたカメラとして設計された。
  • X-Tは理屈が分かってしまうとすこぶる感覚的に操作できるし、とっさに設定を変更できるのもいい。静止画撮影に特化した使い勝手だ。
  • もう1つ、「Photography First」といえるのは背面モニターの可動方法。X-5ではX-T3で採用していた縦横両方のチルト式を復活させた。動画にも軸足を置いた実用性重視のX-Hシリーズはバリアングル、静止画に軸足を置いた趣味性が高いX-Tシリーズは3方向チルト式とシリーズによって性格を分けたのが重要だ。
  • EVFは画素数こそ変わらないが、少し大きく見やすくなった。さらにボディが少し小さく軽くなったことで携帯性が上がったこと、ダイヤルの硬さや大きさ、グリップ部の形状が見直されたこと、バッテリーの持ちが少し良くなったことも細かなトピックだ。オプションの縦位置グリップがなくなったのは残念に思う人もいるかも。
  • 画質は解像感が素晴らしい。レンズによってその実力を発揮しきれないものもあるけれども、ディテールまでしっかり描写してくれる。画素数が上がると高感度時の画質が気になるところだが、そこはX-H2と同じ。特に高感度に強いわけではないが、画素数の割に悪くない。
  • AFはディープラーニング技術を用いた被写体検出AFを搭載。AFの正確性は高いが、素速く動く被写体に合わせ続ける性能はX-H2Sに比べるとちょっと劣るし「ローリングシャッター歪み」は小さくない。動体撮影も問題ないが、全体としては速さよりクオリティーを重視したカメラだ。
  • X-H2/H2Sがフラッグシップとして登場したが、X-T5が主力モデルであることに変わりはない。むしろ、フラッグシップ機としての役割をX-H2/H2Sが担ってくれたおかげで、X-T5は原点に帰れたといっていい気がするほどだ。X-T5でも普通に動画を撮れるけど、本格的に映像作品を作るならX-H2やH2Sの方が良いと思う。

 

X-H2 / X-H2Sが登場したおかげで、X-T5は、小型軽量ボディで伝統的な操作系を使ってスチルをじっくりと撮るという原点回帰することができていて、スチルの撮影が大いに楽しめそうなモデルに仕上がっているという印象です。また、スチルに軸足を置いているとは言え、ベースはX-H2なので動画も十分にこなせるのはポイントが高いですね。