DigitalCameraWorldに、ニコンのテレコン内蔵の超望遠単焦点レンズ「Z 600mm f/4 TC VR S」のレビューが掲載されています。
・Nikon Z 600mm f/4 TC VR S review
- 蛍石の採用で軽量化されているが、それでも依然として3260gとかなり重い。
- 内蔵テレコンは非常に素早くオン・オフが可能で、外付けのテレコンの着脱に比べて非常に素早く操作ができる。また、テレコンの着脱時にカメラにホコリが入るリスクも回避できる。
- AFはボイスコイルモーターのおかげで、超高速・高精度で、ほぼ完全に無音だ。
- 鏡筒は堅牢なマグネシウム合金製だ。造りは高品質で、これだけの価格のレンズに期待した通りのものだ。
- 実写ではAFは電光石火の速さで、F4の開放でも画面の中心から隅まで非常にシャープだ。VRの効果も期待に沿うものだ。色収差は画面の隅でも絞り値にかかわらず完全に無視できる。歪曲はわずかなタル型だ。
- テレコン使用時(840mm)は、Z 400mm f/2.8と異なりラボテストでは芳しくない結果だったが、より長い撮影距離になるスポーツや野生動物などの実際の撮影では解像力は非常に良く維持されている。テレコン使用時でも色収差はわずかに増えるだけで、歪曲はかなり小さい。
- ラボテスト(解像力):近距離から小さなテストチャートを撮影しているが、600mmでは画面全域で優れた解像力だ。ただし、内蔵のテレコン使用時の840mmでは解像力が急激に低下する。
- ラボテスト(色収差):色収差は、600mmでは絞り値にかかわらず画面の隅でも完全に無視できる。テレコン使用時の840mmでも色収差は非常に少ない。
- ラボテスト(歪曲):600mmではわずかなタル型の歪曲があるのみで、通常は全く気付かない程度だ。840mmでは小さな糸巻き型の歪曲が見て取れるが、これはカメラ内で補正できる。
- 結論:Z600mm f/4 はZ800mm f/6.3よりもかなり重く、価格も2倍以上高く気軽に使えるレンズではないが、ハンドリングは非常に優れている。このレンズは600mmでは模範的な画質で、840mmでも素晴らしい画質だが、840mmの近距離では解像力が低下する。
- 良い点:1.4倍のテレコン内蔵、洗練されたハンドリング、600mmでの優れた性能。
- 悪い点:大きく重い、非常に高価、840mmでは近距離で解像力が低下する。
Z600mm f/4は、プロ用のハイエンドレンズだけあってさすがに見事な性能ですね。ラボテストではテレコン使用時に解像力が大幅に低下するのが気になるところですが、実写の画像ではそのような解像力の低下は見られないようなので、テレコン使用時は、テストチャートのような近距離の撮影では実力が発揮できないレンズのようです。
さんぱち
近距離ってどのくらいなのか気になるところです。
最短が4.3mなのでその付近なのでしょうか?
だとすると実際に多用する50m付近の解像性とどれ程違うのでしょうか。
光軸
ニコンは、撮影の実戦で必要性が低いと判断した部分は、思い切って見切る傾向がありますね。
私はそれでいいと思っていますが、改めて興味深く読みました。
D500の人
ニコンプラザ大阪でZ9に装着された実機を手に取ってみましたが、重いとは思わなくて前後の重心バランスが良くて意外と軽く感じました。
長時間持っていると段々と腕が疲れてくるのだと思いますが、第一印象は良かったですよ。
Nikko琉
レンズというのは近距離から遠距離まで、「同様に」画質を維持するのは非常に困難で、その対策としてフローティング機構や全群繰り出しなどを施すけれど、AF速度の低下などトレードオフになることもたくさんあるため、マクロレンズといった「近接専用」レンズがある(といってもマクロレンズだって無限遠はありますが)という話を聞いたことがあります。
超望遠単焦点レンズの場合は、おそらく圧倒的に中~無限遠で使用することが多いため、画質の足枷となる近距離を切り捨てるというのは、至極当然のことだと思います。
道具は適材適所というこを、端的に表した一例なのかもしれません。
まーやん
さすがにテレコン内蔵600mm単焦点で超近距離撮影するのはかなりレアケースだと思うので、この部分の割り切りは理解できますね。