ソニー「FE 50mm F1.4 GM」は「FE 50mm F1.2 GM」を上回る驚きの解像力

LensTipに、本日発表されたソニーの新しい標準単焦点レンズ「FE 50mm F1.4 GM」のレビューが掲載されています。

Sony FE 50 mm f/1.4 GM

  • このレンズはレンズ構成は複雑だが、それにもかかわらず大きくも重くもない。このクラスではフィルター径も最も小さく、最短撮影距離もMFモードで0.38mと際立っている。
  • 絞りリングはクリックを解除でき、これは動画ユーザーには嬉しい機能だ。
  • フォーカスリングは電子式で、回転させる速さにもよるが、回転角は約150~160度だ。通常の撮影では十分な回転角だが、明るいレンズなので180度近く欲しいところだ。フォーカシングで前玉は動かない。

  • 中央の解像力は開放で75lpmm(良像の基準値は39-41lpmm)を超えており、これは、T*55mm F1.8 ZAやFE50mm F1.8を絞り込んだ時のピークの性能を明確に上回る実に見事な結果だ。F2では88.6lpmmで、絞ると更に改善し、F2.8では90.9lpmmとなり、センセーショナルな新記録を達成した。FE 50mm F1.2 GMはピークで80lpmmに近い値で、FE 50mm F1.4 GMがF1.2 GMを上回ったのは衝撃的だ。
  • 隅の解像力はF1.4~F2では58~59lpmm付近で、開放から非常に優れた画質だが、F2に絞っても明確な改善が見られない。F2.8以上では素晴らしい解像力で、F5.6でピークに達し66lpmmになる。これはT*FE 55mm F1.8の中央のピークの解像力よりも3lpmm以上高い値だ。

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  • このレンズの解像力は非常にポジティブなもので、間違いなくこれまでテストしたレンズの中で最もシャープなレンズの一つだ。ソニーに拍手を送りたい。
  • 軸上色収差は開放でもボケの色付きはわずかで、問題はほどんどなく、実写で目立つことはないだろう。
  • 倍率色収差は絞ると増加するが、0.04%を超えることはなく、どの絞り値でも非常に低い値だ。50mm F1.2 GMは0.07%に達するので、ここではF1.4 GMの方が少し優れている。
  • フォーカスシフトは気付かないレベルだが、よく見ると絞るとわずかに手前にシフトしているのが分かる。球面収差の補正は完璧ではないが、特に収差が大きいわけではない。
  • 歪曲はAPS-Cでは-0.27%のタル型でゼロに近い値だ。フルサイズでは面白いことに+0.60%のタル型に変わるが、この値は不満の無い低い値だ。
  • コマ収差に大きな問題はない。フルサイズの隅ではダイオードの像が少し伸びるがそれほど顕著ではない。あえて問題を挙げるとしたら、1段絞ってもコマ収差がそれほど改善しないことだ。
  • 非点収差は2.7%の非常に低いレベルで心配はない。ここではF1.2 GMよりも遥かに良い結果だ。
  • 玉ボケは内部が均一で非球面レンズを使用しているにもかかわらず年輪ボケはほとんど見られない。絞ると明るい輪郭が現れるが、それほど強いものではない。口径食は少し目立ち、2段絞っても気になるかもしれない。
  • 周辺光量落ちは開放で63%(-2.89EV)と大きいが、レンズの明るさとコンパクトなサイズを考えると3EV以上の値も予想されていた。シグマの大きく重い50mm F1.4 DG DNと比較するとソニーは良い意味で際立った結果だ。しかし、最も小さいサムヤンの50mm F1.4 FEは更に良い結果を出している。

  • 逆光耐性の問題は回避できていないが、問題が発生するのは太陽が画面内にある場合で、画面外にある場合にはフレアはほとんど出なくなり、適切なコントラストが維持される。逆光耐性は平均的だ。
  • AFは旧型のT*FEの50mm F1.4 ZAと比べて1.9倍の高速化が謳われているが、テストでは最短から無限遠まで0.5~0.6秒で迷いはなく、確かにノイズレスで速い。テスト機はα7R IIIでもα7R Vでも結果に明確な違いはなかった。AF精度はスタジオでも屋外でも合焦ミスはほとんどなく、問題はなかった。
  • フォーカスブリージングは10%程度で中程度のレベルだ。α7R Vのブリージング補正を有効にすると、ブリージングはほとんど見られなくなるが、画面が狭くなる代償を払う必要がある。しかし、このレンズは焦点距離が48mmと短くなっており、これはブリージング補正のために画角に余裕を持たせている可能性がある。

  • FE 50mm F1.4 GMはほとんど欠点のないレンズで、褒めるしかないだろう。サイズはライバルよりも小さいにもかかわらず、色収差、歪曲、コマ、非点収差は適切に補正されており、中央の解像力はこれまでのあらゆる記録を更新し、さらに周辺部でも優れた解像力を実現している。周辺光量落ちの大きさは想定の範囲内で、それでもなおライバルに優っている。
  • 価格が高いのは残念だが、パナソニックのLUMIX S Pro 50mm F1.4とは同程度だ。全体的に、FE 50mm F1.4 GMは文句なしにエディターズチョイスに値するレンズだ。
  • 良い点:しっかりした造りの防塵防滴の鏡筒、中央の開放からセンセーショナルな画質、隅の良好な画質、軸上色収差の非常に良好な補正、倍率色収差が無視できる、歪曲に大きな問題がない、コマ収差が穏やか、非点収差が非常に小さい、ボケが目に心地よい、速く静かで正確なAF。
  • 悪い点:フルサイズでは周辺光量落ちが顕著、価格が高い。

 

FE 50mm F1.4 GMは最近のF1.4の標準単焦点としては比較的コンパクトなサイズながら、解像力は抜群に高く、その他の収差も非常によく補正されており、非常に上手くまとまったレンズという印象です。

逆光耐性が今一つのようですが、レンズ構成がかなり複雑なので、これは仕方のないところかもしれません。フォーカスブリージングに関しては電子補正に任せるという方針でしょうか。