キヤノン「EOS R8」は驚くべきAF性能だがバッテリーライフが非常に残念

DigitalCameraWorldに、キヤノンの小型軽量のフルサイズ機「EOS R8」のレビューが掲載されています。

Canon EOS R8 review

  • EOS R8のボディはEOS RPに非常に近く、大きさ重さもほとんど同じだ。上部のレイアウトはEOS R6 Mark II とほぼ同じだが、背面の操作系はジョイスティックやホイールが無くRPに似ている。
  • ジョイスティック有無は、キヤノン機では上位モデルと下位モデルを区別するための重要なポイントで、この価格帯のカメラにジョイスティックが搭載されないのは当然と言えば当然かもしれないが、エントリーのEOS R10にもジョイスティックが搭載されていることを考えると、R8のジョイスティック非搭載はハンデに感じる。
  • バッテリーはLP-E17でフルサイズで一般的に使用されているLP-E6NHよりも容量が小さいが、その分、ボディの小型軽量化に貢献している。
  • シングルカードスロットはこのカメラの大きな弱点だ。R6との差別化のためにスロットをシングルにしたのは分かるが、他社の同価格帯のカメラはデュアルカードスロットが搭載されているので、これは残念なことだ。
  • SDカードを底部のバッテリー室から入れるのは、非常にフラストレーションがたまる。リグやジンバル、三脚使用時にSDカードを交換するためにアクセサリーを取り外す必要があるのがもどかしい。
  • IBISは非搭載だが、この価格帯のカメラでは省略されるのは当然だと思う。動画ではレンズ内手ブレ補正と電子手ブレ補正の組み合わせも可能で、また、後処理による動画の手ブレ補正も今や恐ろしいほど優秀だ。

  • センサーの性能は基本的にR6 II と同じで、JPEGの画質はシャープで透明感のある素晴らしいものだ。RAWはダイナミックレンジと色再現が素晴らしく、シャドウとハイライトから多くのディテールを回復することができる。
  • AFは自動的に正しい被写体を認識して合焦することができ、高速かつ正確で驚くべき性能だ。人の顔や瞳も問題なく合焦する。動物は頭や目の位置の認識に苦戦し別の場所に合焦してしまうことがあるが、動物園での様々な種類の鳥の撮影や、犬猫などのペットの撮影では優れた結果が得られた。また、猿や爬虫類、両生類は被写体認識に対応していない被写体だが、瞳を検出することができた。
  • R8のバッテリーライフは非常に残念なもので、小旅行でスチルのみの撮影で適切な電力設定をしていても、最後までバッテリーはもたなかった。バッテリーライフは公式には220枚と述べられているが、実際には非常に早くバッテリーがなくなる。

  • 動画はこの大きさと価格のカメラとしては並外れた性能で、6Kオーバーサンプリングの4K動画は実にシャープで、AFも確実に被写体を追尾する。動画のバッテリーライフは4Kで合計66分で、ここでも期待を下回った。録画中はカメラがかなり発熱したが、録画が自動停止することはなかった。
  • 動画はC-Log3、HDR PQ、4:2:2 10bit記録に対応するが、HDMI端子からRAW動画を外部レコーダーに出力することはできない。RAWで撮影するコンテンツクリエイターなどはこの仕様に不満を持つかもしれない。

  • ラボテスト(解像力):4機種とも2400万画素センサーを採用しているため、解像力は予想通りほぼ同じだ。

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  • ラボテスト(ダイナミックレンジ):ISO3200以下ではEOS R8はクラストップのダイナミックレンジだが、それよりも上の感度ではパナソニックやソニーのカメラに及ばない。

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  • ラボテスト(S/N比):4機種とも高感度では同等の性能だが、R8はわずかにノイズが多い。ソニーα7 III は2018年発売の古いカメラだが、低感度のS/N比は群を抜いている。

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  • EOS R8はコンテンツクリエイターやハイアマの写真家、予算が限られている学生にとってまさに全てを満たしてくれるカメラで、EOS R6 Mark II の機能に魅力されたが予算的に手が届かない人にぜひ検討して貰いたいカメラだ。
  • バッテリーライフやバッテリー室に配置されているシングルカードスロットには不便を感じるかもしれず、また、ジョイスティック非搭載は慣れが必要かもしれないが、これらは(価格やボディサイズとの)適切なトレードオフに思える。EOS R8は浅い被写界深度や広いダイナミックレンジなど、フルサイズ機のメリットを軽量で手頃な価格のパッケージに詰め込んだ最もオールラウンドなカメラの一つだ。
  • 良い点:最新の動体追尾AF、40コマ/秒の電子シャッター、極めて小型軽量。
  • 悪い点:使いにくい位置にあるシングルカードスロット、バッテリー容量が少ない、ジョイスティックと背面のホイールが無い、IBIS非搭載。

 

EOS R8はR6 Mark IIと比べるとずっと小型軽量で安価ですが、センサーと画像処理エンジンはR6 Mark II と同じなので、AFや連写、動画などはこのクラスのカメラとしては極めて高い評価となっています。

一方で、IBISやジョイスティックの省略、シングルカードスロットなど、クラス相応にスペックダウンされている部分もあり、また、バッテリーも小さいものが使われているので、本格的に撮影する人にはやや物足りない印象を受けるかもしれませんね。