パナソニック「LUMIX S5 II」はC-AFの信頼性が低くスチルでの訴求力は限定的

PCmagに、パナソニックのミラーレスカメラ「LUMIX S5 II 」のレビューが掲載されています。

Panasonic Lumix DC-S5 II Review

  • S5 II の大きさはS5とほぼ同じで、フルサイズ機としては標準的なサイズだ。シャーシはマグネシウム合金で、防塵防滴仕様となっている。
  • 操作系はS5とほぼ同じだが、重いレンズとのバランスを改善するためにグリップが少し大型化されている。また、ジョイスティックが改善され、旧型の4方向から8方向にものに変更されている。
  • モニタは屋外でも問題のない明るさで非常にシャープだ。
  • EVFはS5よりも大きく、より鮮明になっている。このEVFはZ6II、α7 IV、R6 II などの競合機種と同等の性能だ。
  • バッテリーライフは旧型のS5の470枚から370枚に減少しているが、省電力オプションを有効にすると1250枚と大きく飛躍する。しかし、5.9K動画ではかなりバッテリーライフが短くなる。バッテリーライフはそこそこだ。

  • 位相差AFはS5 II の大きな新機能だが、残念ながらあまり出来が良くない。テストではシグマの60-600mm Sportsを仕様し、野生動物を撮影した。このレンズのEマウント版をα7R IVで使用した際には、早朝の薄暗い光の中でもAFは非常に速かったが、S5 II のAFは同じ条件のもとで苦戦し、明るい空の下の動体追尾でもAFは一拍遅れることがあった。
  • メニューからAFレスポンスの感度を上げるとより良い結果が得られたが、同時に試したEOS R6 Mark II のAFは、S5 II が苦戦した場面でも一瞬でピントを合わせることができた。
  • AF-CではS5 II は少しレンズの駆動が遅いが、AF-Sでの動きはどのレンズでもキビキビとしている。
  • 連写はメカシャッターで9コマ/秒、電子シャッターで30コマ/秒と電子シャッター時の連写スピードは印象的で、ローリングシャッター歪みもよく抑えられている。しかし、30コマ/秒の連写ではAFが上手く機能せず、予想以上にピントが合っていないショットが多かった。ファームウェアによるアップデートで、AF-C時のAF性能の改善に期待する。
  • AF-Sは問題なく使えるので、旅行やポートレート、風景用としては安心して勧められるが、フィールドスポーツやサファリで使うにはS5 II のAFは少々物足りない。

  • バッファはメカシャッターでRAWで360枚、電子シャッターで200枚と大きいので連写はしやすいが、高速なSDXCを使用しても(バッファフルからの)書き込みには50~60秒かかる。
  • マルチショットモードは動きに対する補正も可能で便利な機能だが、電子シャッターはフラッシュが使えないので、スタジオでの使用は制限されると思う。
  • 画質はEOS R6 Mark II との比較では、非常によく似た結果で、他の現行の2400万画素機と比べて遜色のないものだ。高感度はISO6400までは画質が維持され、ISO51200でもまずまずの結果が得られる。
  • RAWはシャドーを持ち上げても過剰にノイズが乗ることもなく、ハイライトも調整の余地が十分にあり、柔軟性はかなり満足の行くものだ。

  • 動画は波形モニタやベクトルスコープが用意されアナモフィックレンズにも対応し、内蔵ファンも搭載され4K無制限記録と6Kの30分の記録にも対応しており、動画機としてはS5 II はほとんど無敵だ。
  • IBISは動画で有用で、安定した良好な結果が得られたが、もちろんジンバルを使えば更に良い結果が得られる。AFは望遠のAFには欠点があるが、動画、特にvlogの撮影ではAFは私の顔と目にしっかりとピントを合わせ続け、背景に抜けることはなかった。このカメラはフルサイズのvlogカメラを探している人に適している。
  • モードダイヤルに動画専用の設定があるにもかかわらず、動画用の露出や画像プロファイルの設定が写真用と別個に管理できないのは不満点だ。

  • S5 II は多くの新機能を採用したが、位相差AFシステムは動体撮影でAF速度が遅くなり、的中率が上がらない。しかし、動画に関してはS5 II に並ぶものはなく、vlogやインディーズ映像作家にとっては使えるカメラだ。動画で唯一の欠点はProRes記録ができないことだだが、ProResとRAW動画が必要ならS5 IIxに200ドル余分に投資する価値はあるだろう。
  • S5 II はフルサイズの動画機としては最も機能が豊富なカメラの一つだが、C-AFの信頼性が低くスチルでの訴求力は限定的だ。パナソニックがアップデートでAFを改善するば評価を再検討するが、それまではより高性能なα7 IVやEOS R6 II を勧める。
  • 良い点:優れた2400万画素のフォト、10bitで6K30pに対応、5軸手ブレ補正、防塵防滴のマグネシウム製シャーシ、丈夫でカスタマイズ可能な操作系、長時間録画を可能にする冷却システム。
  • 悪い点:コンティニュアスAFが苦戦する、設定がスチルと動画で分かれていない、バッテリーライフが短い。

 

S5 II のAFは、他のレビューでは「初めての位相差AFの実装にしてはよく出来ている」という評価が多いですが、動体の的中率が低いということでPCmagの評価はかなり辛口になっていますね。AFに関しては、まだ発売されたばかりなので今後のアップデートに期待したいところです。

一方で動画に関しては、AFも機能も極めて高い評価で「無敵」とまで述べられているので、動画メインで考えている方には非常に良い選択肢になりそうです。