ソニーは今後はより手頃な価格のレンズも提供していきたいと考えている

Phototrendに、CP+2023会場で行われたソニー開発陣のインタビューが掲載されています。

Interview Sony CP+ 2023

  • (APS-Cの分野ではソニーは動画・vlogに焦点を合わせており、スチルには焦点を合わせていないようだが?)
    スチル用カメラとしてα6600とα6400を提供している。業界のリーダーとして、レンズ交換式カメラで動画 / vlogの新しいニーズに応える必要がある。たとえば、ZV-E10は非常に良い結果を出している。一方で、ZV-E10のリアルタイムAFはスチルにも活かされており、多くのユーザーは動画用のカメラでスチルを撮ることもでる。APS-Cカメラはコンパクトなので、フルサイズとは異なるニーズを満たすことができると考えている。ソニーは写真家にも魅力的な製品作りに挑戦し続ける。

  • (ヨーロッパと比較して日本のスチル / 動画市場に特徴はあるか?)
    数年前までは、日本のユーザーは他の国と比べて動画には少し保守的だったが、現在は、日本でも動画への意欲が急速に高まっており、海外と日本との差はないと考えている。ZV-1やZV-E10などのvlogカメラが、日本でのこのような需要を生み出すのに貢献したと思っている。

  • (α7R Vはα7R IVと同じ6100万画素センサーを採用しているのはなぜ?)
    顧客の声に耳を傾け、より高い解像度が必要かどうかを判断している。広角で撮影してからトリミングするスタイルのユーザーが増えていることを認識しており、これは高画素機が非常に役に立つ場面だ。

  • (α7R VでAIが注目点だがAIは何をもたらしたのか?)
    AIとディープラーニング専用チップのおかけで、目だけではく被写体の動体や頭部の位置も認識できるようになり、AF精度が向上した。また、顔認証の性能も向上し、事前に登録した人の顔を優先することができるようになった。カメラの大きさ重さには制約があるので、今後はカメラ内のAIとクラウドのAI処理を組み合わせていく。

  • (カメラよりもクラウドに多くの機能を搭載する方が容易なのか?)
    カメラは処理速度とバッテリーのために多くの制限があるが、クラウドではそのようなハードの制限はないので、より多くの可能性があるかもしれない。カメラ側に機能を実装するのか、クラウドサービスのAIで処理するべきなのかは、顧客の要望とどちらが最適なソリューションを提供できるかによる。

  • (α7R Vのテクノロジーを将来の他のカメラに採用するのか?)
    ソニーは既にハイエンドモデルのテクノロジーを他の機種に積極的に展開している。このため、スタンダードモデルのα7 IVはミニα1とも呼ばれている。α7R Vには専用のAI処理ユニットが搭載されているが、この機能にはコストがかかるので、価格のバランスを考慮して搭載する製品を決定する必要がある。

  • (FE 20-70mm F4 Gで24-70mmにしなかった理由は?)
    より多様でクリエイティブな表現を実現するためだ。vlogや自撮りなど、スチル・動画の両方で超広角のニーズが高まっており、そのような需要に応えるために広角端を24mmから20mmに短くした。

  • (ソニーのレンズは高価で高性能だが、ソニーの戦略は上級志向すぎないか?)
    すでに多くの手頃な価格のレンズがあり、顧客から好評を博している。いつどのようなレンズが発売されるのかは分からないが、今後はより手頃な価格のレンズを提供していきたいと考えている。

  • (2021年からFEレンズのMark II化を進めているが、レンズのアップデートで気を付けていることは何か?)
    最も重要なことは、画質やAF性能などの基本性能を大きく改善させることだ。その上で、ハンドリングを向上させるために、大幅に小型軽量化している。また、動画ニーズの高まりに応えて、絞りリングを追加し、フォーカスブリージング補正機能を追加している。

  • (Eマウントにないレンズで写真家から要望があるレンズは?)
    300mm F2.8はスポーツ写真家に非常に人気のあるレンズで、FE300mm F2.8 GMは顧客の期待を上回るように開発を進めている。

  • (RX100シリーズのコンパクトがスルーされているように感じるが?)
    RX100シリーズに加えてクリエイター向けのZV-1、ZV-1Fをラインナップしており、両シリーズを組み合わせることで、多くの顧客のニーズに応えられると考えている。

  • (RX1Rの新型が登場しないのはなぜ?)
    残念ながらRXシリーズの今後の商品開発については言えないが、顧客の声に耳を傾けて顧客の求めるものを届けていきたい。

  • (お気に入りの単焦点とズームは?)
    私のお気に入りはFE 50mm F1.2 GMで、このレンズはファインダーを覗くだけで別世界に入り込むことができる。ズームのお気に入りは12-24mm F4 Gで、これで建築写真を撮るのが大好きだ。

 

FEレンズは確かに高価なレンズが多いですが、Eマウントはサードパーティー製のレンズが充実しているので、低価格なレンズの選択肢にはあまり困りませんね。とは言え、ソニーが低価格なレンズを充実させれば、より一層すきのないレンズラインナップになりそうです。

AI関連の機能に関しては、カメラ側では制約があるので、クラウドでの後処理を組み合わせていきたいという考えのようで、将来はクラウドの使用が必須になっていくのかもしれませんね。