FX30のセンサーを使用したAPS-Cカメラを期待して欲しい(ソニー開発陣)

DPReviewに、CP+2023会場で行われたソニー開発陣のインタビューが掲載されています。

CP+ 2023: Sony interview

  • (カメラ業界全体の状況をどう思うか?)
    今年度はカメラ市場は深刻な部品不足から回復傾向にあり、カメラの出荷台数は前年度を上回っている。たとえば、ブイログ、動画の需要、若いクリエイターなど新しい需要も増えている。人々が再び外出できるようになったので、スチルの需要も戻ってきている。従って、業界の健全性は非常に良いと思う。私たちの期待以上だ。

  • (他社もフルサイズミラーレスを投入しているがどのように競争力を維持するのか?)
    我々はこの市場のパイオニアで、小ささ、軽さ、レンズラインナップ、AIやデジタルシグナルプロセッサのような最先端技術など、まだいくつかの強みがある。競合他社が追いつくことは分かっているが、我々は最先端技術とインベーションで市場をリードする。

  • (サードパーティーへのアプローチが他社と異なっているが、その背後にある戦略は?)
    ソニーはエコシステム全体としてのEマウントの成長を中心に事業を展開している。APS-Cからフルサイズまで、エントリーからプロまで、スチルからシネマカメラまでが一つのマウントで接続される。これが理想的なエコシステムで、Eマウントを中心にこのエコシステムを拡大するのが我々の戦略だ。

  • (APS-Cの未来は?)
    我々はAPS-Cに大きなチャンスと需要があることを把握しており、APS-Cカメラの開発を止めたことはない。また、ご存知の通り、FX30には全く新しいセンサーが搭載されている。つまり、期待して欲しい!

  • (ZV-1Fに対するユーザーの反応は?)
    このカメラは当初カメラマニアに評価されており、若いクリエイターや女性は「これが自分の使うカメラだ」とは思っていなかったが、今ではZ世代がこのカメラに気付き、女性や学生にも受け入れられている。

  • (一部のGMレンズがII型に更新されたが、これを可能にした技術は?)
    光学設計だけでなく周辺技術が非常に重要で、その一例がAFだ。我々はリニアモーターの技術に焦点を合わせて継続的に改善を行っている。もう一つの重要な技術は非球面レンズで、非常に高精度の非球面レンズを社内で開発しており、この技術はレンズの改良に大きく貢献している。

  • (他社のカメラにもソニーと同様のリアルタイムトラッキングAFが搭載されているが、ソニーはどのようにAFの基準を再び引き上げるのか?)
    α7R V以前はAIを一つのDSPで処理していたが、α7R VからはAIに特化した専用プロセッサを実装しており、大きなメリットをもたらしている。AIは更に高いレベルに進化しており、カメラにAIプロセッサを搭載するだけでなく、クラウドAIソリューションをすでに立ち上げている。クラウドにAIエンジンがあり、カメラを接続できる。

  • (AIはAF以外にどのように役に立つのか?)
    AIはAFだけでなく、シーンを明確にするために使用している。何があるのか?主題は何か?場所はどこなのか?何時なのか?AIの力を借りてシーン全体を認識したいと考えている。

  • (今後5年間でカメラに最も大きな影響を与えると思われる技術分野は?)
    クリエイターが当社のカメラを使いやすくするために、テクノロジーをエントリーレベルの製品にスケールダウンしたいと思っている。そのためクリエイターズクラウドの開発を行っている。カメラやレンズの技術も必要だが、ユーザーをサポートするための技術インフラを開発する必要がある。

 

FX30の新型のAPS-Cセンサーの後で「期待して欲しい!」と述べられているので、ソニーはFX30と同じセンサーを採用したAPS-C機を開発しているのは間違いなさそうです。このセンサーとAI AFが搭載されれば、新型APS-C機はかなり魅力的なカメラになりそうですね。

また、AIに関してはカメラ内だけの処理にとどまらず、今後はクラウド側のAIとの連携で処理していくという構想のようで、カメラの世界がまた大きく変わるかもしれません。