ソニー「ZV-E1」は素晴らしい結果が得られる可能性があるカメラだがプロユースには向かない

CAMERALABSに、先日発表されたソニーの新しいVlogカメラ「ZV-E1」のレビューが掲載されています。

Sony ZV-E1 review

  • ZV-E1は、α7S IIIのセンサーとIBISを小型のボディに詰め込んいる。EVFは無いが、特に一人で撮影するケースで、撮影をしやすくするための多くの機能を備えている。
  • ZV-E1には改良されたマイクとAIベースのブイログフレンドリーな撮影モードが採用され、ブイロガー向けに最適化されたコンシューマー向けのFX3、もしくはα7Cの動画志向バージョンとみなすことができる。
  • このカメラはハイブリッドカメラとして設計されていないので、スチルが動画と同じくらい重要な人の場合は、同価格帯のα7 IVの方が適している。
  • ZV-E1のサイズはα6400よりも少し大きいが、α6400と同じようなサイズ感なのは印象的だ。

  • HDMI端子はα7 IVやα7S IIIのような堅牢なフルサイズの端子ではなく、micro HDMIだ。また、ZV-E1にはα7S IIIのRAW動画出力も搭載されていない。
  • バッテリーライフも短くなっていると懸念している人もいるかもしれないが、バッテリーは大型モデルと同じFZ100が採用されているのを嬉しく思う。ソニーはフル充電で95分の録画が可能と述べているが、これは録画モードと温度によって変わってくる。
  • 自動電源OFF温度を「高」に設定すると、カメラは非常に熱くなり、シャットダウンまでに4K50p XAVC HSで52分25秒録画することができた(他の大型モデルのαは更に長い時間の録画が可能で条件によっては無制限になる)。フルHD50pではオーバーヒートすることはなく、1回の充電で2時間26分録画できた。

  • ローリングシャッター歪みは、フルHD25pと50pでは最小限だった。4K25pでは激しい動きでも不満はない。この結果は、より高画素の非積層センサーを搭載しているカメラとは対照的だ。
  • スチルでは素早く左右にパンしながらの連写では、ローリングシャッター歪みは高画素機ほど悪くはないが、被写体の歪みは目に見える。ZV-E1にはメカシャッターが無いので、動きの速い被写体の撮影には注意が必要だ。
  • 動画の品質はα7S IIIと驚くほど似ているが、SDカードの制約で、ZV-E1はα7S IIIの最高ビットレートの設定はできない。HDMIでのRAW出力もなく、Cinema 4Kやオープンゲートも採用されてない。
  • 手ブレ補正はIBISのみを使用すればクロップされないが、Active SteadyShot では1.12倍、Dynamic SteadyShot では1.44倍にクロップされ、vlog撮影ではキットレンズでは狭く、より広い画角のレンズが必要になるだろう。

  • ZV-E1の新しいオートフレーミング機能は特に楽しめたが、縦位置にクロップする機能がないのは残念だ。カメラが自動的に被写体を中心に保ちながら、横位置と縦位置で記録できる機能を想像してみて欲しい。
  • ZV-E1の価格はZV-E10の3倍になっており、α7S III の優れたセンサーをより安価に楽しめるが、シングルカードスロットとmicro HDMI端子と短い録画時間は800ドルのカメラなら問題にならなくても、この価格帯のカメラでは批判されるだろう。これらの点でプロユースには向かないかもしれない。
  • 大まかに言って同程度の価格帯では多くの選択肢があり、α7 IVやEOS R6、LUMIX S5 II はデュアルカードスロット、メカシャッターを備え、より長時間の録画が可能でEVFを搭載しており、うち2機種はフルサイズのHDMI端子を備え、S5 II はオープンゲートに対応している。
  • ZV-E1は4K120pに対応し、ローリングシャッター歪みが少なく、より優れたマイクを搭載し、強化されたブイロク用のモードを備えている。素晴らしい結果が得られる可能性はあるが、最終的には長所と短所を比較検討し、ニーズに合うかどうか確認する必要があるだろう。

 

ZV-E1はα7S III ベースなので、画質やローリングシャッター歪みなどの性能は申し分ないものとなっているようですが、SDのシングルカードスロットやmicro HDMIなどコンシューマー向けとして割り切った仕様になっている部分もあるので、本格的に動画撮影をする人にはやや物足りない部分もあるようです。

とは言え、IBIS搭載でこれだけ小型軽量なので、手持ちでフルサイズ機で軽快に動画を撮りたいという方には良い選択肢になりそうですね。

また、噂で問題視されていたオーバーヒートですが、4K50pで52分録画できたということなので、ブイログ機としては十分なオーバーヒート耐性と言ってよさそうです。