ニコン「Z 26mm f/2.8」はコマ収差とAFの作動音がウィークポイント

CAMERALABSに、ニコンの広角パンケーキレンズ「Z 26mm f/2.8」のレビューが掲載されています。

Nikon Z 26mm f2.8 review

  • Z 26mm f/2.8はZレンズで最小最軽量の真のパンケーキレンズだ。フィルター枠はレンズには無いが、フードに52mmのフィルターを取り付けることができる。
  • Z 26mm f/2.8はZ 28mm f/2.8の2倍の価格だが、マウントは金属製で防塵防滴のシーリングも施されており、フードも付属している。
  • AF精度とピント位置の再現性は99.4%と非常に優れている。AFは無限遠から18cmまで約0.5秒で、Z 24mm f/1.8 Sと同じくらい速いが、Z 28mm f/2.8やZ 24-50mmよりは遅い。
  • フォーカスリングは非常に滑らかに動き、小指でも簡単に回すことができる。
  • AFの作動音はスチルでも動画でも明確に聞こえるので、動画時に作動音が目立つのを避けるために外部マイクの使用を勧める。
  • 無限遠から0.18mまでフォーカシングすると、画像は11%拡大される。フォーカスブリージングは非常に目立ち、動画では気になる可能性がある。
  • 軸上色収差は開放ではわずかに見られる。また、F5.6に絞ると手前側がボケるフォーカスシフトが見られる。
  • 解像力チャートによる解像力は、中央はZ 26mm f/2.8がZ 28mm f/2.8よりもシャープだが、Z 24mm f/1.8 Sにはわずかに遅れを取っている。隅はZ 28mm f/2.8は3本の単焦点レンズの中で最もコントラストが低く、強いコマ収差が見られるが、F4に絞ると目に見えてコントラストが改善する。隅は興味深いことにZ 26mm f/2.8よりもズームのZ 24-50mmの方が優れている。
  • Z 26mm f/2.8は像面の湾曲が見られるが、Z 28mm f/2.8ほど強くはない。Z 24mm f/1.8 Sと Z 24-50mmにはほとんど像面湾曲は見られない。

  • 遠景(約1km)の実写テストでは、Z 26mm f/2.8は中央は非常に優れた解像力だが、隅はF5.6まで絞らないと良好にならず、F8に絞っても細部のディテールは乏しい。
  • 周辺光量落ちはレンズプロファイルで補正した場合でも開放で-2EV以上で、非常に目立つ。不思議なことに標準設定では自動補正で0.5EVしか持ち上がらないので、ニコンがレンズプロファイルのパラメータを誤設定したのではないかと思う。F4以上では周辺光量落ちは改善するが、それでもはっきりと見える。
  • 夜景では開放時にはフルサイズの隅ではコマ収差が非常に目立ち、DXの隅でさえ目立つ。F4ではDXの隅ではコマ収差は解消するが、フルサイズの隅で解消するにはF5.6まで絞る必要がある。
  • 玉ボケは輪郭が強く年輪ボケも見られるが、軸上色収差による色付きは見られない。玉ボケはF5.6までは円形を維持している。通常のボケはZ 26mm f/2.8はZ 28mm f/2.8よりも少し2線ボケの傾向があり、Z 28mm f/2.8の方がわずかに柔らかい。比較したレンズの中ではZ 24mm f/1.8 Sが最高のボケ味だ。
  • 接写では他のテストと同様に、中央は開放からシャープだが、隅は絞らないと甘い。近接域では像面湾曲が強く、F5.6以上に絞れば立体的は通常の被写体なら満足のいく画像が得られるが、平面的な被写体の再現は優れていない。
  • 逆光ではカラフルなフレアがいくらか現れるが、背景の部分は深い黒のままだ。光芒はF5.6以上に絞ると現れ始める。
  • 結論:このレンズは撮影距離にかかわらず中央は開放から非常にシャープだが、隅は少し絞らないと満足の行くシャープさにならない。もう一つの問題は、AFの作動音が大きいことだ。フォーカスブリージングは目立ち、ボケは芳しくない。しかし、最小最軽量のレンズが必要ならこのレンズは申し分なく推奨できる。それでも、価格が半額でわずかに大きく重いZ 28mm f/2.8も検討するべきだ。
  • Z 28mm f/2.8との比較:Z 26mm f/2.8の方がシャープだ。ボケや逆光耐性などの他の光学性能はよく似ている。両レンズの主要な違いは大きさ重さと価格だ。
  • Z 24mm f/1.8 Sとの比較:24mm f/1.8 Sの光学性能はそれほど優れていないので、Z 26mmとの最大の違いは大きさ重さ価格と明るさだ。ボケは24mmが滑らかだ。
  • Z 24-50mm f/4-6.3との比較:このレンズは光学性能はZ 26mm と同じくらい優れていて、価格も比較できるレベルで、大きくも重くもないので、最終的にはズームの汎用性を好むか、単焦点の明るさとボケを好むかになるだろう。

  • 良い点:ZマウントのAFレンズで最小最軽量、中心の非常に優れた画質、軸上色収差がほとんど見られない、防塵防滴、多機能なフォーカスリング。
  • 悪い点:AFの作動音、強いコマ収差と周辺光量落ち、フォーカスシフトが見られる、中心から外側のコントラストと解像力を改善させるにはF4に絞る必要がある、接写時のワーキングディスタンスが短い、ボケが芳しくない。

 

Z 26mm f/2.8は小型軽量のレンズながら金属製の鏡筒やマウントを採用し、防塵防滴のシーリングも施されているなど、所有欲を満たす仕上がりのレンズとなっていますが、光学性能に関してはやはりパンケーキなので、隅の甘さや周辺光量落ち、コマ収差などのウィークポイントがあるようです。とは言え、薄型のパンケーキでこれだけ写れば十分な性能と言ってよさそうです。