ソニーのカメラは最初は全然相手にされなかったが「α7R II」から風向きが変わり始めた

日経ビジネスで、元ソニーの石塚茂樹氏のインタビュー記事「ソニーデジカメ戦記」の第12回が公開されています。

第12回 ソニーのミラーレス、ついに"真打ち"登場

  • 遡れば12年の「α99」から(ZAFを)搭載していた。でも、なかなか満足のいくAF速度まではいかなかった。転機は14年3月発売の「α6000」。「ミラーレスもやるね」と思わせた機種だと思う。
  • これをフルサイズに持っていくのにもうワンステップが必要になって、翌年までかかった。ZAFの"真打ち"、かつ裏面照射型のイメージセンサーを搭載し、満を持して発売されたのがα7R II。
  • 裏面照射型センサーは基板の削り方が非常に難しく、ソニー秘中の秘の技術だ。製造は難航に次ぐ難航だった。
  • 裏面照射型は、最初は携帯やスマホなど小型のイメージセンサー向けと思われていた。でも(フルサイズで)やってみたら、画質の差は結構大きかった。暗い場所でもくっきり写ってノイズがすごく少ない。

  • 毎年、世界中のカメラ屋を回って意見とかフィードバックをもらった。最初は全然相手にされなかったが、α7RIIから、風向きが変わり始めた。「おや、今度はいいカメラをつくったね」という反響が返ってくる。そしてついに「これだったら、もしかしたらプロでも使えるね」っていう声が出てきた。
  • エンジニアがプロに随行して、スポーツの撮影現場に行って、撮っているその場でいろいろなことを聞いて、商品開発に生かす、ということをやってくれた。「どうすれば動きを先回りしてフォーカス枠を移動できるか」についてデータをためて、使い勝手をヒアリングして、どう制御すればいいのかを試行錯誤しながら、どんどん経験を積んで、ここから劇的にソニーのAFが進化していく。
  • Exmor RS(積層型センサー)を搭載した「α9」は17年5月に出た。α7R IIが「ホップ」とすれば、これが「ステップ」に当たるかな、と思う。積層型はブラックアウトフリー以外にも、スポーツ撮影で電子式シャッターを使えば、無音で撮影が可能というメリットがある。

 

ソニーが像面位相差AF、裏面照射、積層型と次々に新技術を投入して、数年の短期間でミラーレスを一眼レフを超える性能まで進化させていったのは見事ですね。

また、像面位相差AF等のハードの技術に加えて、現場のプロの声がソフトウェア制御によく反映されているのが、ソニーのAFの評価の高い一因のようです。次回は「ホップ」「ステップ」「ジャンプ」の「ジャンプ」に当たるα1の話が聞けそうで楽しみですね。