シグマ「85mm F1.4 DG DN Art」は85mmで最高のレンズの一つ

OpticalLimitsに、シグマのEマウント / Lマウント用の大口径中望遠単焦点レンズ「85mm F1.4 DG DN Art」のレビューが掲載されています。

Sigma 85mm f/1.4 DG DN ART - Review / Test Report

  • このレンズは旧型の85mm F1.4よりも遥かにコンパクトになっており、加えて、ソニーのFE 85mm F1.4 GMよりも200gも軽量だ。
  • 鏡筒はアルミとTSCの組み合わせで、Artシリーズに相応しいレベルの高い造りだ。フォーカスリングも滑らかに回転する。フロントキャップは不安定で簡単に外れてしまうので、別のキャップを買った方がいいだろう。
  • AFは、α7R Vとの組み合わせでは作動音は無くかなり速い。しかし、AF速度はカメラに大きく依存し、古いα7R II やα6300ではそれほど印象的ではない。

  • 歪曲は3%を超える高い値の糸巻き型で、単焦点レンズとしては異例の大きさだが、自動補正のおかげでユーザーはあまり歪曲を気にすることはないだろう。
  • 周辺光量落ちはRAWでは開放で2.2EVと、この種のレンズとしては標準的なものだ。絞ると周辺光量落ちは徐々に改善するが、F5.6では約1EVでまだ少し目立つ。自動補正有効時でもF1.4で1EV程度の周辺光量落ちがある。
  • 解像力はF1.4で既に素晴らしい値で、周辺部もとても良好なレベルだ。絞るとF4でピークの際立った値になるまで、少しずつ画質が改善する。それ以降は回折により解像力が制限され、F11以上の使用は被写界深度が必要でなければ避けた方がよい。像面の湾曲は非常に小さい。テストした個体の調芯(偏芯の調整)は良好だった。

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  • 倍率色収差は非常に少なく心配はない。
  • 玉ボケは内部は非常に滑らかで輪郭も少し見える程度で、少なくとも画面の中央付近は綺麗に見える。F2に絞っても玉ボケは円形を維持しており、F2.8でも絞りの形状がわずかしか見えず、11枚の絞り羽根がよい仕事をしている。
  • シグマのレンズは周辺部では玉ボケの崩れが目立つ。開放で玉ボケが円形なのは中央付近だけで、周辺部は口径食の影響で猫の目状になる。隅はF4まで絞っても口径食は解消しない。
  • 通常のボケは後ボケは良好だが、前ボケはそれほど良好ではなく、コントラストの高い部分で二線ボケが見られる。
  • 軸上色収差(ボケの色付き)はF1.4では顕著だが、F2で改善し、F4以降ではほとんど見られなくなる。また、このテストでは絞った際に少しフォーカスシフトが見られるが、実写ではあまり気にならないだろう。

  • このレンズとライバルのソニーFE 85mm F1.4 GMとは非常に近い性能で、近距離ではシグマがわずかに優れているかもしれない。動画では、GMは新しいボディではブリージング補正が可能だが、シグマはブリージングに苦戦している。
  • 85mm F1.4 DG DN Artは不思議なことにそれほど注目されていないが、これまでテストした中では最高の85mmレンズの一つだ。このレンズは開放から十分にシャープで、F4付近の画質は見事としか言いようがない。ボケは後ボケは良好だが、前ボケは少しうるさい。玉ボケは綺麗だが周辺部の口径食が目立つ。フォーカスブリージングは顕著だ。
  • このレンズはプロ用レベルの非常に優れた造りで、このクラスのレンズとしては驚くほど軽量コンパクトだ。全体として85mm F1.4 DG DN artは勝者であり、最高の称賛に値するレンズだ。

 

光学性能の評価は4点+α(5点満点中)で「最高の85mmの一つ」という極めて高い評価となっています。このレンズは小型軽量化と高い光学性能を両立しているのが素晴らしいですね。

歪曲の補正は自動補正に依存しているようですが、解像力への影響はあまり見られないようなので問題はなさそうです。ただ、ブリージングがかなり目立つので、動画メインの人にはあまり向いていないかもしれませんね。