タムロンの「90mm F2(倍率等倍)」と「90mm F2.8(倍率2倍)」のマクロ特許出願

タムロンがいくつかの90mmマクロの実施例を含む、小さいサイズを維持しながら大口径で高倍率を実現する光学系の特許を出願しています。

IP Force

  • 出願人:株式会社タムロン
    公開番号:P2023072281
    出願番号:P 2021184724
    公開日:2023-05-24
    発明の名称: 光学系及び撮像装置

  • 【課題】全体を小型に維持しつつ、より大口径で撮像倍率の高い光学系及び撮像装置を提供することができる。
  • これらの撮像装置の高性能化及び小型化の進展に伴い、その撮像レンズ(光学系)についても一層の高性能化及び小型化が求められており、マクロレンズもその例外ではない。
  • マクロレンズでは、特に、フォーカシングに際する収差変動、例えば球面収差や像面湾曲の変動を抑えてフォーカス全域にわたり高い光学性能を実現することが求められている。しかしながら、現在市販されているマクロレンズの多くはF2.8程度である。ズームレンズでもF2.8程度の明るさで同様の撮像倍率を実現することが可能であり、ズームレンズをマクロレンズの代用として使用される場合もある。そのため、マクロレンズには、より小型且つ高性能であり、マクロレンズならではの撮像表現を追求したより高付加価値の製品が求められるようになってきている。
  • しかしながら、特許文献1に開示の光学系はF2.0であり大口径比化が図られているものの、フォーカス群の重量及び移動量が大きいため、当該マクロレンズの大型化を抑制しながら更なる撮像倍率やフォーカス速度の向上を図ることは困難である。
  • また、特許文献2に開示の光学系では、より一層の大口径化及び撮像倍率の向上を図ろうとすると、第3レンズ群において発生する収差を良好に補正するには他のレンズ群を構成するレンズ枚数を増加させる必要があり、光学系が大型化してしまう。
  • そこで、本発明の課題は、全体を小型に維持しつつ、より大口径で撮像倍率の高い光学系及び撮像装置を提供することにある。

  • 実施例1(90mm F2 等倍マクロ)
    撮像倍率 0 0.5倍 1倍
    焦点距離 92.7002 56.4352 38.4725
    F値 2.110 3.200 4.200
    半画角 12.5792 6.5626 3.7783
    像高 21.633 21.633 21.633
    バックフォーカス 18.500 18.500 18.500
    光学全長 134.619 134.619 145.676

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  • 実施例2(90mm F2 0.8倍マクロ)
    撮像倍率 0 0.5倍 0.8倍
    焦点距離 92.7001 61.6892 46.4780
    F値 2.1549 3.2000 3.8000
    半画角 12.5935 5.8338 5.7301
    像高 21.633 21.633 21.633
    バックフォーカス 18.500 18.500 18.500
    光学全長 136.903 136.903 136.903

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  • 実施例3(90mm F2.8 2倍マクロ)
    撮像倍率 0 1倍 2倍
    焦点距離 87.8766 39.7703 25.9505
    F値 2.9000 5.8500 8.7000
    半画角 12.9523 8.4795 5.1482
    像高 21.633 21.633 21.633
    バックフォーカス 37.877 37.877 37.877
    光学全長 145.000 145.000 154.112

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  • 実施例4(90mm F2.8 1.5倍マクロ)
    撮像倍率 0 0.75倍 1.5倍
    焦点距離 91.6041 50.1114 35.1898
    F値 2.9100 5.0000 6.5000
    半画角 12.7285 8.6295 5.5211
    像高 21.633 21.633 21.633
    バックフォーカス 53.033 40.589 40.589
    光学全長 143.520 143.520 154.229

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タムロンは人気の90mmマクロのフルサイズミラーレスバージョンをなかなか投入しませんが、この特許でタムロンは「F2.8のマクロは望遠ズームのマクロ機能で代用される」と述べているので、今度のタムキューは何らかの差別化を図ってくるのかもしれませんね。

実施例では90mm F2に大口径化したものと、90mm F2.8のままで倍率を1.5倍かまたは2倍に引き上げた光学系が掲載されていますが、どのようなものが製品化されるのか興味深いところです。