ソニーは光学メーカーとしてすごく真面目な蓄積がある

日経ビジネスで、元ソニーの石塚茂樹氏のインタビュー記事「ソニーデジカメ戦記」の新しい記事が公開されています。

第11回 ソニー逆転への布石、レンズもAFもじわじわ進化

  • (フルサイズ用の交換レンズの開発について)
    最初はすごく大変だった。開発・設計と製造の両方が力不足だったが、せっかくミラーレスでボディが軽いのだから、まずとにかくよそよりも小型軽量で高性能のものをつくりましょうと。
  • 単純に言うと、非球面レンズをいっぱい使えば小さくできる。これは理論上はできるという話で、それを実現する製造工程の品質はまた別。最初のころは歩留まりがすごく悪くて苦労した。
  • ソニーの光学エレメントレンズ部隊が十何年かけて磨いてきた独自技術がある。意外だ、と感じる方が多いのかもしれないが、ソニーは光学メーカーとしてすごく真面目な蓄積を積んでいる。

  • (サードパーティー製レンズについて)
    ゼロからスタートなので、早くレンズを増やさねばならない。規格をエクスクルーシヴにしたほうがビジネスとしては儲かるが、これも「弱者の戦略」だ。
  • (Eマウント製品は勝手に作ってもいい?)
    もちろんダメ(笑)。基本的にオープンライセンスだが、お客さまにご迷惑をかけないように、Eマウントのライセンシーとしてふさわしい会社であるかの基準は設定している。

  • (ブランドをαに統一した目的は?)
    5年間でαがナンバーワンになるためには、限られたリソースを分散させていては難しい。まずブランドをまとめないといけない。「α」というブランドをもっと強化するために完全に一体化しようということで、レンズ交換式カメラの型名を統一した。

  • (ミラーレスのAFの遅さについて)
    半導体グループと組んで、フルサイズの「ZAF(位相差AF)対応イメージセンサー」をつくり、性能を引き上げることで解決を図った。デジカメの心臓部を内製していて、事業部同士がツーカーだったというのは、非常に大きなアドバンテージだったと思う。それでも、デジタル一眼レフと競争するには力不足の状況が続いた。
  • この分野の進化のきっかけになったのが、14年3月発売の「α6000」で、ここから急激に高速化が始まる。
  • α7Sの次は、いよいよ「真打ち」の登場となる。高性能なZAF搭載のフルサイズイメージセンサーを使うミラーレス「α7R Ⅱ」が、ようやく15年の8月に発売された。これが、A1プロジェクトの一つの大きな飛躍になったと思っている。

 

ソニーのEマウントレンズは特にGMが登場してからは非常に評価が高く、光学メーカーとして蓄積があるという石塚氏のコメントも納得のいくものですね。

サードパーティー製レンズに関しては、全てのメーカーにEマウントをオープンにしているわけではなく審査は行っているようなので、サードパーティー製品でも極端に低品質なものはなさそうです。

また、像面位相差AFの開発では半導体事業部とカメラ事業部が気心の通じ合う仲なのが非常に大きなアドバンテージと述べられており、これはセンサーを他社から調達しているカメラメーカーよりもソニーが有利な点ですね。