日経ビジネスで、元ソニーの石塚茂樹氏のインタビュー記事「ソニーデジカメ戦記」の新しい記事が公開されています。
- (フルサイズ用の交換レンズの開発について)
最初はすごく大変だった。開発・設計と製造の両方が力不足だったが、せっかくミラーレスでボディが軽いのだから、まずとにかくよそよりも小型軽量で高性能のものをつくりましょうと。 - 単純に言うと、非球面レンズをいっぱい使えば小さくできる。これは理論上はできるという話で、それを実現する製造工程の品質はまた別。最初のころは歩留まりがすごく悪くて苦労した。
- ソニーの光学エレメントレンズ部隊が十何年かけて磨いてきた独自技術がある。意外だ、と感じる方が多いのかもしれないが、ソニーは光学メーカーとしてすごく真面目な蓄積を積んでいる。
- (サードパーティー製レンズについて)
ゼロからスタートなので、早くレンズを増やさねばならない。規格をエクスクルーシヴにしたほうがビジネスとしては儲かるが、これも「弱者の戦略」だ。 - (Eマウント製品は勝手に作ってもいい?)
もちろんダメ(笑)。基本的にオープンライセンスだが、お客さまにご迷惑をかけないように、Eマウントのライセンシーとしてふさわしい会社であるかの基準は設定している。 - (ブランドをαに統一した目的は?)
5年間でαがナンバーワンになるためには、限られたリソースを分散させていては難しい。まずブランドをまとめないといけない。「α」というブランドをもっと強化するために完全に一体化しようということで、レンズ交換式カメラの型名を統一した。 - (ミラーレスのAFの遅さについて)
半導体グループと組んで、フルサイズの「ZAF(位相差AF)対応イメージセンサー」をつくり、性能を引き上げることで解決を図った。デジカメの心臓部を内製していて、事業部同士がツーカーだったというのは、非常に大きなアドバンテージだったと思う。それでも、デジタル一眼レフと競争するには力不足の状況が続いた。 - この分野の進化のきっかけになったのが、14年3月発売の「α6000」で、ここから急激に高速化が始まる。
- α7Sの次は、いよいよ「真打ち」の登場となる。高性能なZAF搭載のフルサイズイメージセンサーを使うミラーレス「α7R Ⅱ」が、ようやく15年の8月に発売された。これが、A1プロジェクトの一つの大きな飛躍になったと思っている。
ソニーのEマウントレンズは特にGMが登場してからは非常に評価が高く、光学メーカーとして蓄積があるという石塚氏のコメントも納得のいくものですね。
サードパーティー製レンズに関しては、全てのメーカーにEマウントをオープンにしているわけではなく審査は行っているようなので、サードパーティー製品でも極端に低品質なものはなさそうです。
また、像面位相差AFの開発では半導体事業部とカメラ事業部が気心の通じ合う仲なのが非常に大きなアドバンテージと述べられており、これはセンサーを他社から調達しているカメラメーカーよりもソニーが有利な点ですね。
カタスマー
自分もZeissの扱いに少し寂しい思いをしている者の一人です。
Eマウント開始時には唯一AFでZeissが使えるの触込みでZeiss銘玉のレンズを出していましたが、今では自社ブランドのGMよりも格下というヒエラルキーを強く感じます。
営利団体としては当然のことなんでしょうけど、できればコシナのようなリスペクトが欲しいと思ってしまいますね。
harao
Zeissははブランド銘を使う条件をクリアしてライセンス料を払ってZeissブランドで出していただけではなかったかな?
あくまでSONYで設計したレンズをZeissの基準をクリアして初めてZeissブランドを名乗っていいとか。
コニカミノルタから事業譲渡で引き継ぐ前は高性能レンズのブランドがZeissだったけど
引き継いでからは徐々に「Gレンズ」ブランドをSONYの高性能レンズという位置付けに置き換えてZeissをフェードアウトさせていったのはいろんな事情もあったでしょう。
ビデオカメラやスマホはすぐGレンズブランドに置き換えたり採用していてたけどカメラはしばらく
「Gレンズ=Zeissの下位ブランド」でしたね。
それを最終的には「G MASTER」ブランドに置き換えてZeissをフェードアウトさせていった事情は実際どうなのか、ライセンス料なのかGを自社全体でオリジナルブランドに押し上げたかったのか・・・
sel50f12gm
ツァイスにもっと優しく。
ライセンス料やブランディングなど
大人の事情があるのでしょうが。
そのブランド力をウリにしていた面もあるので…。
SONY純正が動画も考慮したコンパクトな仕様であるのに対して、
ツァイスは多少サイズを犠牲にしてでも
光学性能というか
趣味性を全面に出したラインにするというのもアリでは?
どもん
Aマウントはアルファ、EマウントはNEXという状態から
アルファに統一したときは、じゃあNEXって何だったの?
と思ったのが懐かしいです。
レンズに関してはタムロンの力を借りているのは公然の秘密ですが、
それはそれで良いと思います。
Zeissをネイティブで使えるメリットは大きいと思うので、
途切れてしまったのは少し残念ではあります。
co
フルサイズの方がレンズが大きいためAPS-CよりAF高速化が大変というのは言われてみればなるほどという感じです。
インタビュアーが他社製マウントアダプターを話題に出したり(回答はそっけないですが)
NEXブランド変更時の社内の反応に触れていたりと相変わらず面白いですね。
ミノル
ツァイスはライセンス料が必要ですから自社のGやGMがブランドとして育った方が良いでしょうね。ソニーツァイスレンズでも好きなレンズがあり使い続けていますが、GMをT*コーティングしツァイスとして最上位に置いてほしいとは思いません。
ブランド力の弱かったソニー初期を支えてくれたことは確かですが。
それよりタムロンが製造しているにしてもツァイスのレンズが出なくなった方が寂しいですね。
あかり
Zeissに対しての意見が御座いますが、ZeissはBatisシリーズでAFの効くフルサイズEマウント用レンズを発売されています。
そのBatisシリーズでSONYのGMより総合的に魅力的なレンズを発売すればいいだけなのではないでしょうか?
収益にも響くので今のSONYは金銭を支払ってまでZeiss名を借りる必要はないと思います
to
ツァイスに関してはツァイス自身からも続々とEマウント向けにAFやMFレンズを発売しましたし、ソニー側の一方的な都合ではない気がします。
自社販売で利益率を高めたいツァイスと、自社ブランドを育てたいソニーの思惑が一致したのでは。
KT
Zeissに関してはフジもコシナもラインナップが更新されなくなって久しいのでZeiss側の理由が大きいのではないでしょうか。
xylogen
いつもの連載記事、本当に面白いですね。製造工程の品質については24-70GMⅠのときに指摘されてましたね。小型のレンズはいいんだけど大型のレンズは不安が残るという評価でした。
生産設備に投資をするまでかなり厳しかったんだろうなと思いました。初期のレンズである90mm macroや35mmf2.8などタムロンに頼っていたのもわかります。
エレメントの設備投資をしたとありますが、この影響を受けてでたレンズは100mmSTFからでしょうか。この辺から品質やレンズ性能がグッと上がった感じがあります。その投資をするかわりZeissから離脱し自社ブランドを作れという命令があったのかもしれません。
最後に思ったのが、ソニーがやってることを新興メーカーもやれば同等のレベルにいけるのではと。そう考えると怖いのは中国メーカーですよね。
swing
みんなツァイス大好きですね。自分はヤシコンプラナーつけられるという理由でα7II買ったのが初αだったな。
ソニーのツァイスってパナのライカと同じような、銘と品質承認を得ただけのソニーレンズ、ってことで良いのかな? プラナーのレンズ構成とかどこがプラナー??って感じで、食指が伸びませんでしたが。
それなら自分はツァイス純正のBatis買います。借りて使ったことありますけど良い写りでした。ただラインナップに不満が…。
ソニーのツァイスレンズがソニー設計だとしたら、今回の記事にあるように、設計能力が未熟な頃のもの、ってことかもしれません。
歩留まり良いつもりで非球面レンズを設計しても、実際の製造では歩留まり悪かった、経験積んで改善した、って辺りは興味深いですね。
非球面はオリンパスが得意としてたので、オリンパスの危機で支援してた時に提携してれば良かった気もしますが、カメラ方面での提携は無かったっぽい。
今回のインタビューで面白かったのが、他社製AFマウントアダプターの扱いですね。ものすごく素っ気ない。というか全力で知らんぷりしてる。やったのは主にシグマで自社レンズ向けという建前でしたが、センシティブなんでしょう。
α7III系(瞳AF)+MC-11がハイアマクラスのミラーレス移行を引っ張ったのはあると思います。
ぱなそにこん
「真打ち」「α7R Ⅱ」「大きな飛躍」、私も買いました。今はα7Ⅳに買い替えましたが、それまで買い替えの気持ちは起こりませんでした。
あんこ
うーん。ツァイスなんてカメラメーカーとしては何十年も前に終わってるわけで、そんなものに、頼る必要がないところに日本メーカーSONYの素晴らしさを感じますけどね。
RGVΓ
「非球面レンズをいっぱい使えは小さくできる」のは事実だと思いますが、うるさい年輪ボケの原因が非球面レンズの加工精度の低さによると当時は思われてたので製造現場は大変な苦労があったんだろうなと思います。今では非球面レンズを使うこと自体が年輪ボケの発生原因だと考えられており、収差をわざと残すことで年輪ボケを分かりにくくするノウハウがありソニーはその面でも長けていると思います(非球面レンズを多様する為に長けたのか?)。
酔いどれ閑人
ZEISS銘のコンシューマー向け交換レンズは4年以上出てないはずなので、ソニーに限らないのかもしれないですよね。寂しい限りです。
ただ、GMレンズの生命の輝きを感じさせるような光の捉え方はZeissと似てる様な気がしないでもないです。カラーバランスはGMの方がニュートラルのように感じますが。手持ちのzeissレンズを大事にしつつ、ソニーにGMレンズがあることに感謝です。
弁証法
Zeissの話題で持ちきりですね。
無くなると残念という声が出てくるのも理解できますが、ソニーが出していたころは「ソニー・ツァイスに過ぎない」と軽く見る人も多かった事実を忘れてはならないと思います。
ヨーロッパのブランドに頼らなくても独り立ちできたソニーは流石。
ソニー・ツァイスというととりあえず何でも青緑にする傾向がありましたが、あれをやめてGMでは忠実な色に変えたのも大正解。
今は批評する側(海外メディア)も色の忠実性をしっかり測っていますから、もはやそういうギミックは過去のものだと思います(そもそも本家Zeissも必ずしも青緑でもない)。
解放バカ
聞いた話ですが、SONYのツァイスは設計をSONY内部で、ツァイス基準になったものをライセンス販売してあるとか。
GM重視になったのは戦略もあるそうですが、ライセンスフィーがかなり高くて利益率相当悪いとか聞いたことありますね。
GMは解像度とボケ重視のレンズでツァイスはコントラスト重視でボケがそこそこというイメージですかね。
GMも素晴らしいんですけどツァイスのコントラストが高い写りも結構好きなのでそろそろ焼き直しされても良いのかなぁと思います。
ゆでぃ
CCDαからNEXまで、α7Ⅱくらいまでの低価格戦略時に愛用してました。
当時もストーリーはあったのでしょうが
勝てたから言える話という感じがします。
いい単焦点をMFでいいから小さいボディで楽しめる。ここが1番のお気に入りでした。あとは編集現像はLightroomないとしんどい。