キヤノン「PowerShot V10」は性能的には時代遅れだが新しい撮影体験ができるカメラ

techradarに、キヤノンの新しいVlogカメラ「PowerShot V10」のハンズオンレビューが掲載されています。

Hands on: Canon Powershot V10 review - dinky, different, dated

  • 手のひらに収まる211gのPowerShot V10は、良くも悪くも他の動画用カメラとは異なるユーザー体験が得られるカメラだ。
  • このカメラはiPhone 13 Proの半分の大きさで画面を開いてもスマートフォンよりも小さいが、厚さは4倍ある。
  • 内蔵のスタンドは非常に頑丈で、三脚などを持ち運んで設置する必要がなく、カメラを自分に向けるのがより簡単になるのがよく分かる。スマートフォンを手で持たずに自撮りしようとすると、不安定で難しい。もちろんスマートフォンでもオプションのスタンドは利用できるが、V10はその過程が簡単になる。

  • 電子手ブレ補正を有効にすると画角が狭くなるが、その差はわずかだ。
  • ほとんどの機能に素早くアクセス可能で、メニューを深い階層まで開く必要はほとんどなく、操作系は上手くまとまっている。
  • マイクは全方向で、前方と後方の音声を分離したり、被写体と連動して最適な音声の設定をするなどの機能のないシンプルなものだ。
  • オートウィンドフィルターが搭載されているが、風が強い日にはオプションのウィンドシールド(もふもふ)を使用すると音質が向上する。しかし、残念なことに、このウィンドシールドは自撮り時に跳ね上げた画面の少なくとも半分を隠してしまう。
  • オプションのケージも出来が悪い。ロック部分の造りが悪く、スタンドのグリップ部分が塞がってしまいスタンド使うのが全く困難になってしまう。
  • V10はアクションカメラのような外観だが、防塵防滴ではないので、水中での撮影はできない。
  • しばらく使ってみると、レンズにゴミや汚れがとても付きやすいので、レンズクロスを用意しておき、毎回録画前にレンズを軽く拭くといいだろう。

  • 動画は4K30p(最高ISO感度は3200)とフルHD60p(最高ISO感度は6400)で、この動画モードは2023年のカメラとしては我々の期待する必要最低限の性能だ。
  • 記録メディアはmicroSDで、最高品質の4Kで撮影する場合は、最高性能のmicroSDカードを使用しないと録画時間が制限されることになり、動画撮影モードに入るたびに警告が画面に表示される。
  • バッテリーライフは録画で約1時間で、USB-Cで録画中に充電・給電も可能だ。
  • 電子手ブレ補正はIBISに比べると効果は弱く、画面もクロップされることになる。手持ちで歩きながらの撮影では、電子手ブレ補正は少し揺れるが、歩くときの振動を多少は抑えてくれる。
  • AFは顔認識・被写体認識が実装されており、ここまでに撮影してきた自撮りなどのシンプルな撮影では、被写体への食付きが良く信頼できることがわかった。
  • センサーは1インチで多くのスマートフォンよりも大きく、画質では有利だ。オートで美しい写真が撮れ、細部まできちんと描写される。レンズはシャープで四隅の落ち込みは少なく、多少タル型の歪曲はあるが、画角の広さを考えると印象的なものだ。RAWには対応していないので、ハイライトが飛んでしまうと回復が難しいことがある。
  • NDフィルターを内蔵しており、明るい場所と暗い場所を行き来する際の露出が調整できる。露出はマニュアルも可能だが、全体的にオートに任せた方がいいカメラだと思う。ただし、明るい場所では自動で露出オーバーになることもあった。

  • PowerShot V10で採用されている技術は時代遅れなもので、機能と性能の点でV10は多くの最新のVlog機のライバルとなることはできない。しかし、V10で得られるものは他とは全く異なる撮影体験で、その点でV10は意味を持っている。
  • V10はカメラに詳しくない人がSNS用の撮影に使うためのシンプルなカメラで、非常にハンドリングの良いカメラだ。その形状と折りたたみ式のスタンドは、ともて理に適ったものだ。しかし、V10は第一世代カメラの感が非常に強く、後継機が登場するなら、改良して欲しい点がかなりある。
  • Powershot V10は、できるだけ簡単にコンテンツ制作するために造られたカメラで、他の多くのVlog用カメラとは異なる撮影体験を提供したキヤノンには敬意を表する。しかし、その斬新なデザインとは裏腹に、採用されているテクノロジーは時代遅れで機能が制限されており、スマートフォンよりもこのカメラを選ぶ理由はそれほど多くはない。
  • 良い点:Vlog専用の設計、素晴らしい格納式のスタンド、超広角レンズ。
  • 悪い点:時代遅れの性能、レンズにゴミや汚れが付きやすい、アクセサリーの出来が悪い。

 

PowerShot V10は4Kが30p止まりなことや、手ブレ補正の効きが弱いこと、ウィンドシールドが自撮り時にモニタを隠してしまうことなど、いくつか問題点があるようですが、縦型のホールディングしやすい形状や便利な格納式のスタンドなどはとても面白い試みですね。

キヤノン初のVlog機なので荒削りな点があるのは否めませんが、地道に改良していけばVシリーズは面白い存在になるかもしれませんね。