ソニー「FE 70-200mm F4 Macro G OSS II」は申し分のないシャープさだが逆光耐性が弱点

LensTipに、ソニーの新しい望遠ズーム「FE 70-200mm F4 Macro G OSS II」のレビューが掲載されています。

Sony FE 70-200 mm f/4 Macro G OSS II

  • ズームリングは滑らかで均一に動く。ズームリングの回転角は約90度で素早くズームできる。ズーミングで鏡筒は56mm伸びる。
  • フォーカスリングは電子式で非常に滑らかに動くが、もう少し重くても良いと思う。最短から無限遠までの回転角は約180度だが、これは焦点距離と回転の速度によって多少変わる。ピントは非常に正確に合わせられる。
  • 最短撮影距離は70mmで0.26m、200mmで0.42mと非常に優れていて、このクラスのレンズでは前例のないものだ。
  • 手ブレ補正は公称4段分の効果で、テストでも最大4段分の効果だった。これは公式のスペックと完全に一致した素晴らしい結果だ。

  • 中央の解像力は、開放から全ての焦点距離で均一で67~68lpmmの非常に高い値だ(良像の基準は39~41lpmm)。絞ると望遠端だけ若干低めの値になりF5.6では70lpmmを超えないが、それでもこの結果は素晴らしいものだ。F4のズームであることを考えると、解像力のレコードに迫るのは困難だろう。

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  • 隅の解像力は、ズーム中間域が開放で50lpmmを大きく超える値で最も優れている。広角端でも50lpmmを超えることはできるが、超えるのはF5.6付近のみだ。しかし、開放で44lpmmを超えているので文句はない。望遠端は開放で41lpmmとまずまずの結果で、絞ると少し改善はする。ピークで46~47lpmmなので落ち込んでいるわけではないがそれほど感心はしない。

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  • 解像力に関しては否定的な部分はなく、中央は非常に良好で、隅も明らかに悪い部分はなく、十分に許容範囲内の解像力を提供している。この種のレンズにこれ以上を期待するのは愚かなことだろう。
  • 軸上色収差は全く問題は見られない。
  • 倍率色収差はズーム中間域がベストで非常に低い値だ。200mmでは少し色収差が多くなるが、「非常に低い」と「低い」の境界線上にある。70mmでは絞り込むと色収差は増加し「高い」のレベルになる。中程度のズーム比の望遠の場合、このような特性は悪い印象が残る。
  • 球面収差は完璧には補正されていないが、フォーカスシフトは見られない。
  • 歪曲は自動補正が無効にできないことに驚いた。これは歪曲の光学補正を諦めていることを意味する。歪曲はJPEGではズーム全域でゼロに近い。RAWでは70mmで1.41%の糸巻き型、200mmで+2.89%の糸巻き型で、それほど大きな問題ではないかもしれないが、これは70-200mmの望遠ズームなので、開発者が歪曲をもう少し補正しようとしなかったのは残念だ。
  • コマ収差のテストでは画面の隅でさえダイオードは変形せず、問題は見られない。このカテゴリーは称賛に値する。
  • 非点収差は4.4%と非常に低い値だ。
  • 玉ボケは年輪ボケが明確に分かる。口径食も大きく、2段絞っても完全には解消しない。玉ボケはそれほど喜ばしいものではなかった。
  • 周辺光量落ちはJPEGでは良く補正されているが、RAWでは70mm開放で47%(-1.86EV)、135mm開放で34%(-1.18EV)、200mm開放で47%(-1.84EV)と高い値になる。
  • 逆光では、太陽が四隅のすぐ外側にあるときに最も悪い状況になり、どのようなズーム域と絞りの組み合わせでも画面全体を台無しにする強いフレアとゴーストが現れる。レンズの枚数が19枚と多く鏡筒のサイズも小さいことが逆光耐性の欠点の理由だろう。

  • AFは完全に無音で、70mmで最短から無限遠まで0.5~0.6秒、200mmで0.6~0.7秒ととても速い。フォーカスリミッターを使うと、0.2~0.3秒にまで短縮される。AF精度は屋外、スタジオともに称賛に値する模範的な結果だった。前ピンや後ピンの傾向も全く見られない。
  • フォーカスブリージングは、広角端、望遠端のいずれも約5%の常識的な値で、電子補正で容易に補正できる範囲だ。

  • このレンズは歪曲の光学補正をあきらめていたり、広角端で倍率色収差の問題、逆光耐性の問題などがあり、小型化のために非常に努力をしていることが分かる。しかし、幸いなことにこのレンズには多くの良い点がある。画像は申し分のないシャープさで、AFは高精度かつ正確で手ブレ補正は効果的だ。価格は2000ユーロで、より小型軽量なキヤノンRF70-200mm F4L IS USMが1750ユーロ以下で購入できることを考えると、ソニーの価格設定は高すぎると思う。
  • 良い点:防塵防滴で頑丈な小型軽量の鏡筒、中央の素晴らしい画質、隅のまずまずの画質、軸上色収差が少ない、135-200mmの倍率色収差が目につかない、コマ収差が非常によく補正されている、非点収差が少ない、静かで電光石火の高精度AF、非常に効果的な手ブレ補正。
  • 悪い点:逆光耐性が弱い、フルサイズでは周辺光量落ちが目立つ、歪曲は大きい、広角端で倍率色収差が目立つ、価格が高い。

 

FE70-200mm F4 Macro G OSS II は小型化しつつ旧型から光学性能を改善し、倍率0.5倍の本格的なマクロ撮影も可能と、非常に魅力的なレンズに仕上がっているという印象です。ボケはここではあまり評価が高くありませんが、実写画像ではかなり綺麗だと感じます。

歪曲や周辺光量落ちが電子補正頼みになっているようですが、これは小型化とのトレードオフのようなので仕方がないですね。逆光耐性に関しては、最新のレンズなのでもう少しがんばって欲しいところかもしれません。