シグマ「Iシリーズ」はF2のレンズは「優等生」に、F2.8~F4のレンズは「くせ者」に仕上げた

マイナビニュースに、シグマの商品企画部長と広報担当課長の主に「Iシリーズ」に関するインタビューが掲載されています。

シグマ「Iシリーズ」誕生秘話 F2のレンズは優等生、それ以外は"くせ者"に仕上げた

  • 2008年に50mmF1.4 EX DG HSMというレンズを発売した。こんなに大きくて高価な標準レンズは売れないと方々から言われたが、結果的に大ヒットし、標準レンズのあり方を変えたという自負がある。しかし、それが"描写性能は高くあるべし"という新たな呪縛となり、のちに登場するArtラインの単焦点レンズは、軒並み大きくて重たいレンズになってしまった。
  • 同じ場所でも招待客ならもっと小さなレンズがいい。そんな発想から、写りはArtラインと同等で、携行性が良いレンズ(Iシリーズのレンズ)を企画した。
  • 外装をすべて切削アルミで作ると重量が通常に比べて1.3~1.5倍になるので、1kg近くになるArtラインでは難しいが、小さな単焦点レンズなら可能だ。
  • Iシリーズは、Artラインに比べると明るさを抑えているが、描写性能は抑えるどころか、常にArtラインと同じレベルを求めている。描写性能を確保したうえで、小さくて質感の高いレンズを作れば、新たな価値が創造できると考えた。

  • F2のレンズは非常にオーソドックスな、いわば優等生な光学設計をしている。一方のF2.8~4については、小兵なら"くせ者"でいこうと考えている。たとえば、45mmF2.8はシリーズの1本目ということもあり、解像力よりも味を追求するという冒険をしてみた。球面収差をわずかに残し、距離や絞りで写りをアレンジできるようにしている。
  • 24mmF3.5も45mmF2.8同様、寄れることを重視した。ただし、球面収差を残してもボケに生きてこない焦点距離なので、こちらは絞り開放からシャープな設計にしている。一方で90mmF2.8は中望遠なので、ボケ味にこだわった。
  • 周辺の描写性能をしっかり確保すると、立体感が豊かになる。そのことをこの50mmF2で証明できたと思う。
  • 広角の品揃えが手厚いのはいくつか理由があるが、ひとつにAPS-Cフォーマット用の16mmF1.4 DC DN|Contemporaryがあった。このレンズは当初競合するものがなく、売れるか半信半疑だったが大ヒットした。これがフルサイズ用であったらいいなと考えた。
  • (パンケーキレンズは)インナーフォーカスを組み込むのが難しく、とくにフルサイズでは一定レベルの描写性能を確保しにくいので、Iシリーズでは難しい。

 

シグマのIシリーズのレンズは、F2のレンズとF2.8~F4のレンズで画作りの方針を変えているというのは非常に興味深い話ですね。最近は収差を残した個性的なレンズは少ないので、シグマの言う「くせ者」レンズを歓迎する人も結構多いような気がします。

パンケーキに関してはIシリーズでは難しいということですが、別シリーズでもいいので、シグマの独創的なパンケーキレンズが出てくれば面白いと思います。