キヤノン「RF 28mm F2.8 STM」は開放から画面全域で驚きの高解像力

OpticalLimitsに、キヤノンのパンケーキの広角単焦点レンズ「RF 28mm F2.8 STM」のレビューが掲載されています。

Canon RF 28mm f/2.8 STM - Review / Test Report

  • 鏡筒は高品質なプラスチック、マウントは金属製で、重さはわずか120gだ。防塵防滴についてはキヤノンは言及していないので、おそらくシーリングは何もないだろう。
  • 電源を入れると鏡筒は少し伸びるが、電源を入れたままキャップを付けようとすると、鏡筒が自動的に引っ込んでしまうのは奇妙だ。電源を切らないとレンズキャップを装着できないのは少々煩わしい。キヤノンがファームウェアでこの挙動を修正することを期待したい。
  • AFはステッピングモーターで作動音があり、動作はそれほど速くはないが、それでも十分な速さだ。フォーカスリングは電子式で、リングを回すとモーターで駆動される。

  • 歪曲はRAWでは-4.11%のタル型で、極端に大きくはないものの大きい値だ。自動補正使用時は歪曲は無視できる大きさ(-0.067%)に軽減される。
  • 周辺光量落ちはこのレンズの2つの弱点のうちの1つだ。歪曲と周辺光量補正を無効にすると、周辺光量落ちは開放で3.26EVで、これは通常の大きさを少し逸脱している。歪曲補正を有効にしても2.65EVで、中程度に絞っても1EVを超え、まだ高い値のままだ。周辺光量補正を有効にすると、開放で0.7EVの扱いやすい値になり、F4以上では0.4EVに抑えられる。自動補正は有効にしておくのが理に適っている。

  • 解像力のカテゴリではこのレンズは小さな巨人だ。中央はF2.8ですでに素晴らしい値で、周辺部も非常に良好~素晴らしい値だ。F4やF5.6絞っても改善はわずかだ。それ以上に絞ると回折の影響が見られ始めるが、F8では素晴らしい値を維持している。

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  • 像面の歪曲は若干見られるが、ほとんどの状況では気にならないだろう。テストした個体の偏芯は非常に少なかった。
  • 倍率色収差は低い値で、RAWでも気にならない。
  • ボケは28mmでF2.8のレンズなので大きなボケは得られないが、少なくとも至近距離では被写体を背景から分離できる。玉ボケは綺麗で、若干輪郭があるが内部は非常に滑らかだ。非球面レンズが3枚も使用されていることを考えると、このボケはとても驚きだ。玉ボケはF4に絞ると絞りの形が現れ、F5.6では更に角ばる。画面周辺部と隅では口径食が見られるが、絞ると改善する。
  • 通常のボケは、後ボケはとても満足のいくものだ。前ボケは少しうるさいが、それほど悪くはない。
  • 軸上色収差は、大口径レンズではないので開放でわずかに見える程度だ。F4では痕跡が残るがF5.6に絞ると解消する。
  • 光芒はF4とF5.6で尖った星状になり、F8から扇状に広がり、F16では劇的な効果を発揮する。
  • このレンズには2つの弱点があると述べたが、もう1つの弱点は逆光で太陽の周りにでる虹色のフレアだ。ポジティブな面としては、太陽と反対側に通常現れるゴーストがほとんど見られないことだ。
  • RF24mm F1.8 やRF35mm F1.8と比較すると、この2本よりもRF28mm F2.8はシャープで、しかも価格は手頃だ。

  • RF28mm F2.8 STMは特に解像力の点では嬉しい驚きだ。小さいレンズだが光学的には大物で、開放でも極めてシャープだ。画面全域でこれほど高い解像力を持つレンズは、これまでに数本しか見たことがない。強い逆光には若干苦戦するが、フレアの問題は光源の周囲に限られる。造りの面では価格相応だが、これは悪いという意味ではない。
  • このレンズは小さく愛らしいだけでなく、非常に高性能なレンズだ。目立たず撮影したいのであればこのレンズは必需品で、大いに推奨する。

 

光学性能の評価は4.5点(5点満点中)で、普及価格帯のレンズがOpticaLimitsでこれだけの高評価なのは珍しいことですね。このレンズは開放から画面隅まで高い解像力を維持しており、小さなパンケーキレンズとは思えない性能という印象です。

また、後玉に波打つような形状の特殊な非球面レンズを使っているにもかかわらず、ボケが綺麗なのもポイントが高いですね。周辺光量落ちは未補正ではかなり目立ちますが、これは周辺光量落ちが大きくなりがちなパンケーキレンズなので仕方のないところかもしれません。