ソニー「FE 16-35mm F2.8 GM II」はズーム全域でシャープだがGMとしては欠点が多すぎるレンズ

LensTipに昨日ソニーが発表した新しい広角ズーム「FE 16-35mm F2.8 GM II」のレビューが掲載されています。

Sony FE 16-35 mm f/2.8 GM II

  • フォーカスリングは電子式で非常に軽いが、それでも快適と言える範囲内だ。最短から無限遠までの回転角は130度で、この大きさはフォーカスリングを回す速度に少し依存する。このレンズは非常に正確なピント合わせが可能だ。
  • ズームリングは適切な重さがあり、滑らかに動く。
  • 中央の解像力はズーム全域で均一で、F4以上に絞るとどの焦点距離でも変わらなくなる。開放時の解像力はズームの両端が良く、中間域は低くなるが、いずれの焦点距離でも60lpmmを超えており(良像の基準値は39~41lpmm)開放から非常に良好な画質だ。

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  • 隅の解像力は、広角端では開放で60lpmmという非常に高いレベルで、絞ると65lpmmに達する。これは、中央の解像力とほとんど変わらない実に印象的なものだ。望遠側では解像力は少し低くなるが、それでも非常に良好で不満は無い。

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  • 軸上色収差は素晴らしく良く補正されており、ほとんど目につかない。
  • 倍率色収差の補正は見事で、ほとんどのケースで0.04%以下の非常に低い値だ。大口径の超広角レンズでこの結果は称賛に値する。
  • 球面収差はわずかで、フォーカスシフトは見られない。このカテゴリでは良好な結果だ。
  • 歪曲はそれほど大きくはないが、歪曲を抑えるために歪曲の形が陣笠状になっている。16mmでは画面全体の歪曲の平均は-3.57%だが、陣笠状なので中央の1:1(正方形)の部分に限定すると-4.62%というかなり高いレベルだ。20mmを過ぎると歪曲は-1.97%に減少するが、まだ陣笠の形は残っており、これは24mmでも見られる。28mmでは+0.48%のごくわずかな糸巻き型になり、35mmでは+1.95%の顕著な糸巻き型になる。

  • コマ収差は、フルサイズの隅では若干ダイオードの像が大きくなるが、非常に上手く補正されており、称賛に値する。
  • 非点収差は6.9%(16mmで3.5%、24mmで6.9%、35mmで10.5%)で、これはまだ低い値だ。
  • ボケは玉ボケに年輪ボケが見られるのが残念だ。玉ボケの中心に明らかに明るい部分があり、絞ると縁取りが明るくなる。口径食の補正は称賛に値する。
  • 周辺光量落ちは16mm開放で70%(-3.47EV)という非常に大きな値で、かなり問題がある。レンズのサイズを小さくした影響が非常に大きいことは明らかだ。F4では56%(-2.40EV)とまだ高いレベルで、F5.6でも(-1.77EV)に達する。中間域では開放で41%(-1.54EV)で、35mmでは36%(-1.27EV)に改善する。

  • 逆光では、特に光源が画面外側の遠くにある場合でもフレア・ゴーストがでるのが気に入らない。
  • AFは最短から無限遠までα7R Vで0.2~0.3秒で、実に速く静かだ。AF精度は非常に優れてはいたが、いくつかの合焦ミスがあり、完璧ではなかった。しかし、幸いなことに合焦ミスは2~3%未満だった。
  • フォーカスブリージングは16mmで2%、35mmで3%の低い値で気にならない。フォーカスブリージングの点では間違いなく称賛に値する。

  • テスト結果の総括では、私の気持ちは少々複雑だ。大口径の広角ズームは開発が難しいレンズが、このレンズはズーム全域でシャープで収差もよく補正されており、品質を犠牲にせずにより小型化され、全体に非常によくまとまっているレンズだ。しかし、他の最近のGMレンズが実に優れているので、その基準で評価すると、FE 16-35mm F2.8 GM II はそれほど輝いているレンズとは言えない。
  • このレンズは画面全体の均一性に注力しており、中央部の解像力を犠牲にして(中央は遥かに安価なタムロン20-40mm F2.8よりも弱い)これを実現している。これは私は全く気に入らない。また、歪曲を抑えるために、広角端だけでなく20~24mmでも陣笠状の歪曲が見られる。更に逆光耐性も理想的とは言えず、玉ボケに年輪も見られるという点を考えるとGMシリーズとしては欠点が多すぎると言わざるを得ない。
  • 最近のソニーは、製品をできるだけ小型化する傾向があり、その結果として犠牲が大きすぎるという印象を受けることがある。FE 16-35mm F2.8 GM II もソニーのアプローチの犠牲者だ。
  • 良い点:軽量で頑丈でシーリングされた鏡筒、中央の素晴らしい画質、隅の良好な画質、軸上色収差が少ない、倍率色収差が目につかない、コマ収差の適切な補正、非点収差が少ない、静かで電光石火で正確なAF、フォーカスブリージングが少ない。
  • 悪い点:逆光耐性が今ひとつ、特に広角端では周辺光量落ちが目立つ、陣笠状の大きすぎる歪曲、ボケがそれほど良くない、性能の割りに高すぎる。

 

FE 16-35mm F2.8 GM II は解像力はズーム全域で周辺部まで高く、色収差も非常によく抑えられているので、もっと高い評価かと思いましたが、LensTipは思いのほか辛口な評価ですね。

レビュアーは中央の解像力がそれほど高くないことや、陣笠状の大きな歪曲、年輪ボケなどが気に入らなかったようで、最近のソニーは製品の小型化にこだわりすぎていると苦言を呈していますが、設計の難しい大口径広角ズームで大幅に小型軽量化をしながらこの性能なら、全体的には上手くまとまっていると感じます。