ニコン「Z8」はこれまで使った中で最高のカメラ

DPReviewに、ニコンZ8のレビューが掲載されています。

Nikon Z8 review: a supercharged D850 successor

  • 電子シャッターのスキャン速度はEOS R5よりも大幅に速くローリングシャッター歪みは少ない。動画は動画モードとコーデックの選択肢が豊富なことと、録画時間でZ8が優位に経っている。
  • Z8のグリップはD850のものと非常に良く似ており、ダイヤルの配置も非常に良く似ているため、既存のニコンユーザーにとってはすぐに馴染みやすいものだ。
  • Z8 のEVFの解像度は369万ドットとかなり低めだが、並列読み出し設計の積層型CMOSによって実現される低遅延によって、これまでにないほど応答性が高く、本物に近いファインダー体験を意味する。
  • スペックシート上ではZ8はEOS R5にEVFの解像度で後れを取っているように見えるが、タイムラグが少ないのでよりリアルに感じられ、動体撮影に適している。

  • Z8に対する私の最初の印象は「これ以上何が必要なんだ」というものだった。Z8のオールラウンドな能力には異論を挟む余地がない。スペックはキヤノンEOS R5だけでなく、プロ価格帯のソニーα1と比べても遜色ない。
  • 画質は当然のことながらZ9と同等で、同クラスの競合機と解像度とノイズレベルも同等だ。デフォルトのJPEGの色はキヤノンやソニーよりもパンチが効いており、明るいピンクの発色は肌色が万人受けする色にならないことがあるが、黄色は非常に良好に再現されており、この発色は気に入っている。
  • ノイズリダクションは高感度で適切な仕事をし、ディテールをきちんと維持している。デフォルトのシャープネスはキヤノンやソニーよりも少し強めだが、不快なほどではない。
  • ダイナミックレンジもZ9と同等で、センサーの高速読み出しの代償としてわずかな読み出しノイズが発生しているように見える。しかし、これはシャドー部を極限まで持ち上げた際に初めて分かる些細な違いで、要求の厳しい風景写真家でもZ8のRAWには十分な柔軟性があると感じるだろう。

  • Z8のAF性能は驚くほど優れている。高速リフレッシュのファインダーと、素早く粘り強い動体追尾の組み合わせは実に印象的だ。撮影後に普段D750とZ6IIを使用している音楽写真家にZ8を貸したところ、彼はZ8のAFの正確さ信頼性の高さに感心していた。
  • もちろんAFは完璧ではなく、歌手の後ろでちらつくスクリーンでAFが迷い、またAF設定を調整しても大きな木の影に隠れたサイクリストをパンして追ったときに、サイクリストにロックし続けることはできなかった。また、鳥の認識は期待したほど強力ではないが、ニコンは鳥専用認識モードに取り組んでいると述べているので、このモードの導入で性能向上に期待したい。

  • 動画は8Kでも読み出しは13.6msと非常に優れている。4K動画はディテールに富んでいるが、60pと120pではディテールのレベルが低下する。拡張オーバーサンプリングで8Kから4K60pを生成するとバッテリーの消耗は速くなるが、4K24pに匹敵する画質が得られる。
  • 動画の長回しは、最も負荷の高い動画モード以外では1時間以上の撮影でも十分対応できる。ファンによる冷却ではないので、直射日光下ではプロ用ビデオカメラレベルの安定性は期待できないが、オーバーヒートが過度に心配になるようなことはなかった。
  • 動画の電子シャッターのスキャン速度はスチルほど速くはないが、大部分の動画モードで14.4msの測定結果で、これはローリングシャッター歪みを心配する必要はない速さだ。また、H.265 4K120pやProResRAW4.1K60pなどのいくつかのモードでは、読み出しは4.9msとちょうど3倍の速さになる。
  • 手ブレ補正はカメラが静止しているときは安定するが、歩きながらではスポーツモードでも揺れたり不安定になったりすることがある。デジタル手ブレ補正は速い振動はある程度滑らかになるが、大きな揺れはあまり改善されない。
  • 動画時のAFは大まかに言えばスチルと同じように動作するが、残念ながら3Dトラッキングモードはなく、代わりに被写体追尾AFモードがある。動画時のAFはかなり信頼でき、取り直しができる状況では十分だが、一度しか無い瞬間を100%の自信を持って撮影できるほどの信頼性はないかもしれない。

  • Z8はニコンのミラーレスカメラで間違いなく最高のカメラで、おそらくニコンがこれまでに作った最高のカメラだ。Z8はZ9の中身を薄めることなく、それを幅広い人に届けるための要素を全て搭載している。Z8はビデオカメラとしては予想以上に高性能で、連写とAF性能は積層型センサーのコストを正当化するに十分なものだ。個人的にはZ8は今まで使った中で最高のカメラで、我々がこれまでテストした中で最も完成度が高いカメラだ。
  • 良い点:優れた画質、大部分の被写体に対応する高速で効果的なAF、スポーツ用のプロ機に匹敵する連写、超低遅延でブラックアウトフリーのEVF、優れたエルゴノミクス、ローリングシャッター歪みが抑えられた動画、動画用の豊富なツールとコーデック、データ転送用と電力供給用の個別のUSB端子、フルサイズのHDMI端子。
  • 悪い点:他機種と比べて大きく重い、EVFの解像度が低い、動画コーデックによってフレームレートと解像度が大きく変化する、被写体認識の性能がばらつく、野鳥カメラマンは2024年の(鳥専用の認識モードの)アップデートを待たなければならない。

 

Z8のDPReviewの評価はスコア94点のGold Award(金賞)という極めて高い評価で、レビュアーのコメントも「ニコンで最高のカメラ」「今まで使った中で最高のカメラ」「これまでテストした中で最も完成度の高いカメラ」と、これ以上ないほどのベタ褒めですね。

Z8はZ9をベースに大幅に小型化したにもかかわらず主要な機能はほぼそのままで、バッテリーライフや動画時の放熱も実用上問題のレベルを維持しているのは素晴らしく、高評価も頷けるものです。高画素の積層センサーを搭載しているカメラとしては、比較的価格が抑えられているのもポイントが高いですね。