DigitalCameraWorldに、キヤノンの次世代のAFシステムに関する記事が掲載されています。
・Canon is playing catch-up to OM System when it comes to autofocus accuracy
- 最近のキヤノンの特許出願によると、キヤノンがクアッドピクセルAFの開発に取り組んでいる可能性があるようだ。デュアルピクセルAFは完璧ではなく、このシステムは水平方向と大きく異なる方向の被写体にピントを合わせる際には最適に機能するが、水平方向の被写体にピントを合わせる場合の性能は大きく低下する。
この問題は各ピクセルを4つのフォトダイオードに分割し、クアッドピクセルAFを実現することで解決できる。ただし、この手法は新しいものではなく既にOM-1に採用されている。キヤノンの特許出願では、アスペクト比が1:1(正方形)ではないセンサーにクアッドピクセルAFを搭載する場合の難しさが強調されている。
特許出願の実施例では、フルサイズのアスペクト比3:2のセンサーについて言及されており、これは必然的に左右方向の方が上下方向よりも中心部から距離の遠いピクセルが存在することになり、この水平画素と垂直画素の距離差によってクロストーク(電荷の漏れ)が発生する可能性がある。キヤノンの特許出願では、このよう正方形ではないセンサーにクアッドピクセルAFを搭載した場合の問題への対処が試みられている。
デュアルピクセルAFが登場してから10年が経過しており、以前からその限界が知られていたことを考えると、フルサイズセンサー用のクアッドピクセルAFの開発は技術的にかなり困難な挑戦に違いない。
クアッドピクセルAFはm4/3用センサーには既に採用されているにもかかわらず、フルサイズやAPS-Cのセンサーにはなかなか搭載されないところを見ると、大きなセンサーに採用するのはいろいろと技術的な課題があるのかもしれませんね。
とは言え、これまでの特許出願を見る限りでは、キヤノンが実際にクアッドピクセルAFの開発をしている可能性は高そうなので、キヤノンの次世代機あたりでのクアッドピクセルAFの採用を期待したいところです。
電卓
OM-1におけるクアッドピクセルセンサーでは、劇的なAFの改善は見られないという話を時々聞きますが、実際のところ、実用する場合においてどれ程の差が出るのでしょうね?
たま
水平方向にピントが合わないというのはラインセンサーによるものですか?
クアッドピクセルにすることで画質の劣化を最小限に抑えてE-M1のようにクロスセンサーにできるということでしょうか?
α使い
ソニーのα7Sⅲのときも最初は、クアッドピクセルの機能を殺していたとか噂がでてましたが。いろいろあるのでしょうね。ソニーは、AF方式がコントラストも使うファーストハイブリッド方式なのでAIAF等被写体認識で対処しようとしてますが、キャノンは、あくまでも位相差だけでAF精度を、あげるつもりなんでしょうか。今の技術だとセンサーの読み取り速度や演算速度にも課題でそうですが…
FDマニア
クアッドピクセルでは無く
デュアルピクセルを横分割・縦分割と市松模様に並べたら
縦方向のAF検出も出来るようになりませんか
Robin
中心部の正方形だけクアッドにして左右はみ出た部分はデュアルにするとかどうだろう、と思いましたが、そんな単純なことじゃないんでしょうね。カメラの仕組みがどんどん高度化していって、もう私には何が何だか。。。
コツメチャン
クアッドピクセルだと、約2000万画素のOM-1でも4倍の8000万画素分の処理能力を要しますから、たとえばα1やZ9並みの5000万画素のセンサーとした場合、2億画素分の処理能力を要することになります。
そうなると連写速度や処理速度に影響を及ぼすことは必至なので、なかなか実装が難しいのでは?と勝手に想像しています。
とはいえ、個人的には次に進化する方向性としてはグローバルシャッターよりは正しいと思っていて、期待しています。
TA
クワッドピクセルの問題は、2つです。
1. ハードウェアに起因する問題。
ローリングシャッターの読出しが通常の4倍時間が掛かるため、ストロボの同期速度が制限(OM-1は、1/100)される。
2. ファームウェアに起因する(開発リソース側の)問題
・クァッドピクセルを生かしたAFアルゴリズムを開発していない。
例えば、C-AFでは、AFの測距点を固定位置にする理由はなく、ターゲットとなる被写体に対しAFをダイナミックにマッピングすれば、AF精度は飛躍的に向上
・クアッドピクセルセンサーの高解像度モードが未利用(OMSは、検討中らしい)
2.は、正確にはOMS固有の問題で、OM-1のAFでは、人物認証がないため、遠方の人物では、顔認証が働かない。一方、ソニーの最新αシリーズでは、人物認証に、モーションキャプチャ技術を用い骨格認証を行うため、後向きでも顔認証が可能。
1.の問題は、フルサイズセンサーとなると、キャノンと言えども解決は、容易ではないように思えますが、2.については、簡単にクリアしそうな気がします。
Psi
FDマニアさん。令和4年1月6日に公開されたキヤノンの「特開2022-2383」は、赤色(波長が長い)がセンサーの深くまで侵入する性質を利用した縦横と斜めの位相差を検知できる変形Dual Pixel (1画素2PD)センサーです。但し、斜め検知は赤色でしかできないようです。この特許はQuad Pixel(1画素4PD)と誤解されているようですが・・・。さて、どちらがR1に採用されるのでしょうか?
PP
12月に開催されるIEDMでキヤノンがフォトダイオードのペアを90度ひねって配置したデュアル画素交差方式のCMOSイメージセンサーについて講演するそうです。
すべての方向で位相差検出によるAFを実行、AF可能な最低照度は0.007ルクス、とのこと。
いがぐり
現在のトレンドはフルサイズ機で4500~5000万画素程度であって、ここまで高解像度になると隣り合う(AFに主に使うのは緑画素なので斜め隣接)ピクセルが十分近く、1画素内でクロスセンサーにする意義が薄いですね。
AFのために画素の分割数を増やすのは、センサーとしては1画素を小さくするのと同じことです。
これは、クアッドピクセルの機構的に生まれた利点を、画素の小型化による感度の欠点で打ち消してしまうことでもあります。