ソニー「α9 III」は目覚ましい進歩を遂げた高性能機

PetaPixelに、コンサートの撮影をしているカメラマンによるソニー「α9 III」のレビューが掲載されています。

Using the Sony a9 III for Concerts as Dave Matthews Band's Photographer

  • コンサートカメラマンが直面する2つの問題のうちの1つはバンディングで、シャッタースピードがライトのリフレッシュレートと同期していない場合に発生する。私はこれを回避するためにメカシャッターを使用し、シャッター速度を1/500秒以下に設定している。

    もう1つの問題はローリングシャッター歪みで、これはドラマーの非常に速い動きで発生し、この動きを止めることができる電子シャッターはこれまではなく、メカシャッターを使用するもう1つの理由となっていた。α9 III はこれらの2つの問題の解決を目指している。

  • LEDスポットライトによる照明は、たとえメカシャッターを使用していてもバンディグを引き起こすが、グローバルシャッターのα9 IIIではこのような状況でも撮影することができた。
  • ローリングシャッター機での撮影では、ドラマーのスティックは曲がり、シンバルが歪んで写ってしまうが、グローバルシャッターではスティックはまっすぐに写り、シンバルの歪みもない。
  • プリキャプチャーは、バンドメンバーの小さな動きや表情を捉えるのに非常に役に立つ機能だった。α9 III はバッファーも十分すぎるほど搭載されていることが分かった。この機能はグローバルシャッターとともにゲームチェンジャーとなるものだ。
  • 20、30、60コマ/秒の連写は後からバンド演奏のニュアンスをより細部まで確認でき新しい発見があった。120コマ/秒の連写は私にはあまり必要がないが、オリンピックのカメラマンには、差別化を図ることができるツールになるだろう。

  • AFは被写体を見逃すことはほとんどなく、画面のどこにでも素早くロックした。新しい極小の測距点が利用可能になり、ドラムキットの隙間からの(人物の)ショットを撮るのに役立った。コンサートの撮影は照明が常に変化するので、ミュージシャンが移動するとAFがミスすることが多いが、α9 IIIの合焦率はこれまで使用したどのカメラよりも優れていた。
  • ソニーのカメラは世代を重ねるごとにエルゴノミクスが改善されてきたが、α9 IIIではついにちょうど良く調整されたと思う。ソニーのカメラの中では最も快適に撮影が可能になった。α9 IIIのグリップはニコンやキヤノンの古いプロ用機に似ているように感じるが、これは良いことだ。
  • α9 IIIの高感度性能に関しては多くの議論が行われているが、まだ製品版ではないファームウェアを使用しており、また、撮影はJPEGのみに制限されているので、高感度性能を判断するのは困難だ。しかし、α9IIIのパフォーマンスには非常に満足している。
  • JPEGのダイナミックレンジは良好で、実写ではグローバルシャッターに起因するノイズやダイナミックレンジの問題は見られなかった。しかし、スタジオで常に最低感度で撮影する場合は、おそらくこのカメラは向いていないだろう。
  • α9 IIIはデジタルカメラの技術の点で目覚ましい飛躍を遂げたと思う。私が望んだことはすべて実現され、それ以上のことをやってくれた。このカメラはこれまで使ったカメラの中で最も高性能なオールラウンドカメラだ。

 

グローバルシャッターを搭載したα9 III は、バンディングの出やすいコンサートの撮影で大いに威力を発揮したようで、これまで諦めなければならないような照明の条件でも撮影ができるのは、この種の撮影をしているカメラマンには非常にポイントが高そうですね。

また、ローリングシャッター機では変形してしまうドラムスティックとシンバルも、α9 IIIでは当然ならそのままの形で写っており、被写体の歪みにシビアな動体の撮影では、やはりグローバルシャッターは決定打になりそうです。

α9 IIIは高感度性能やダイナミックレンジに関しては、RAWが解禁されてからのレビューを待ちたいところですが、このレビュー見る限りでは暗いステージの実写でも問題なく使えているようなので、それほど心配はなさそうですね。