OMDS「ED 150-600mm F5.0-6.3 IS」は高い価格に見合わない平凡な画質

PCmagに、OMDS(OM SYSTEM)の新しい超望遠ズーム「ED 150-600mm F5.0-6.3 IS」のレビューが掲載されています。

OM System M.Zuiko Digital ED 150-600mm F5.0-6.3 IS Review

  • 大きさ重さは望遠端600mmのレンズとしては衝撃的なものではない。しかし、このレンズの光学系はE / Lマウントのシグマ150-600mm F5-6.3 DG DN Sportsと同じもののようで、フルサイズに対応する光学系なので、それがこの大きさ重さにつながっているのではないかと思わずにいられない。
  • このレンズの光学系は小型センサー用のレンズでないために特に望遠側で解像力が不足する。また、ベースのシグマのレンズは1399.99ドルで購入できるが、このレンズはそれより1200ドル高いことも指摘しなければならない。
  • 鏡筒はマグネシウムと高品質なプラスチックの組み合わせで、2600ドルのレンズとして品質に不満はない。このレンズは望遠端にズームすると2倍近く伸びる。

  • 手ブレ補正は望遠端でもファインダーの視界が揺れず、動物やアスリートの撮影では非常に有用だ。
  • テレコンは使用可能だが、1.4倍テレコン使用時にはAF速度がわずかに低下し、大気の霞や熱ゆらぎのためにそれほどシャープに写らない。エキスパートでない限り、このレンズにはテレコンを使わないことを勧める。
  • AFはテレコンを使わない場合は速いが、300mm F4 PROほど速くはない。被写体に近づかないことが分かってる場合はフォーカスリミッターの使用を勧める。AFは鳥や裏庭の動物、地元の小型飛行機の撮影では十分な速さだった。

  • ラボテスト:広角端が最もシャープで、150mm F5で2700ラインの優れた値を示しており、F8~F16(2400~2200ライン)でもそれを維持している。しかし、360mmと600mmではコントラストが大幅に低下する。360mm F6では1800ラインで、これは2000万画素センサーで許容できる解像力の限界点だ。絞ると解像力は更に低下する。600mm F6.3では1725ラインで、解像力は最低ラインにわずかに及ばない。
  • 比較のために、300mm F4 PROはF4~F8で3000ラインの傑出した解像力だ。このレンズは2016年に作られたが、最高の望遠レンズの一つだ。
  • テレコン使用時は、m4/3ではF8より絞ると解像力が低下するので、1.4倍のテレコン使用時は広角端では素晴らしい結果だが、望遠側は苦しい。300mm F4は1.4倍のテレコン使用時でも画質は維持されている。
  • 歪曲はどのズーム域でも見られない。これはJPEGでもRAW(プロファイル使用)でも同じだ。周辺光量落ちは見られないが、これはフルサイズ用のイメージサークルを持つことを考えれば驚きはない。
  • 暗いレンズだが、被写体に寄れば背景をぼかすのは簡単だ。ボケに軸上色収差は見られず、その他の気になる点もない。
  • 全体としてこのレンズの光学性能は良い部分と悪い部分がある。150mmの画質は素晴らしいが、300mmになると画質が低下する。SNSで公開するだけならディテールの不足は気にならないかもしれないが、拡大すればディテール不足は明らかだ。

  • ED 150-600mm F5.0-6.3 ISは悪いレンズではないが、プロレベルの価格を正当化するには不十分な性能だ。良い点は1200mm相当で視界が安定する優れた手ブレ補正と最高レベルの鏡筒の品質だ。しかし、望遠側にズームすると画質が低下する。フルサイズ用の設計のレンズでは小型センサーの要求に応えることができない。ハイアマやプロは光学的に優れた300mm F4に300ドル余計に費やす方がずっと良いだろう。
  • 結論:ED150-600mm F5.0-6.3 ISは他のm4/3のズームより長い焦点距離をカバーするが、その平凡な画質は高い価格に見合っていない。

  • 良い点:極めて焦点距離の長いズーム、手持ちに対応する手ブレ補正、ズームリングの重さを調整可能、アルカスイス対応のマグネシウム製の三脚座、IPX1の防塵防滴。
  • 悪い点:価格が高い、ズームのほぼ全域で期待を下回る解像力、テレコン使用時に画質が損なわれる。

 

OMDSの新しい超望遠ズームはPCmagとしては珍しく非常に辛口な評価ですね。このレンズは広角端では優れた画質のようですが、中間域から望遠側では明らかな解像力不足で、レビュアーはこの原因はフルサイズ用の光学系をm4/3用に流用したためだと述べています。

安価なレンズならある程度の欠点は許容できると思いますが、このレンズは希望小売価格で55万円、店頭価格で約40万円(税込)もするレンズなので、画質に関してはもう少しがんばって欲しいところという印象です。