ニコンはレンズロードマップ終了後は「皆さんを驚かせたいと思っている」

phototrendにCP+会場で行われたニコンの映像事業部長のインタビューが掲載されています。

Interview Nikon CP+ 2024

  • (ニコンの映像部門の財務状況は改善されているのように見えるが?)
    業界全体としてはコロナのパンデミック前の水準に戻りつつある。ニコンは多くの新製品を発表しており、ハイエンド製品に注目が集まっている。高単価の製品の売上によって、ニコンの映像部門の売上と利益が押上げられている。

  • (ネット上でFマウントのボディとレンズの生産が終了したという噂が流れているが?)
    この情報はニコンから開示されたものではないので、コメントは差し控えたい。しかし、1つだけ知らせておきたのは、Fマウント製品は生産、販売、サポートのいずれの面でもこれまで通り完全に対応するということだ。この点に関して変更はない。

  • (斬新なレンズを開発するための今後の課題は?)
    特にミラーレスにおいては、顧客からのフィードバックに耳を傾けることを重視している。ガラスメーカー「光ガラス」はニコングループの一員で、ニコンはレンズをガラスから生産する唯一のメーカーだ。このため、ガラスメーカーと常に交流があり、レンズのニーズを伝えることができる。これは他のメーカーにないニコンの大きなアドバンテージだ。

  • (AFレンズを提供している中国のレンズメーカーと競合するのを心配しているか? )
    ユーザーは誰もが独自の好みがあるので、ユーザーの拡大に伴って利用可能なレンズが多くなることはとても理に適っている。Zマウント対応レンズを沢山試して、写真を楽しんでいただきたい。しかし、ニッコールのZマウントレンズはボディに完全にフィットするので、依然として第一の選択肢だ。

  • (フォーカスポイントVRは新しい手ブレ補正ユニットを使用しているのか?)
    ソフトによるアルゴリズムの改善だ。以前は手ブレ補正の中心は常に中央だったが、アルゴリズムの改善で被写体の位置に関係なく補正できるようになった。

  • (将来フォーカスポイントVRは他のカメラにも搭載される?)
    現時点では詳しいことは言えないが、将来的にはそうなる可能性はある。

  • (CP+で新型カメラの発表を期待していたが、もう少し待つ必要があるのか?)
    潜在的な顧客が新製品に多くの期待をよせていることは理解している。今言えるのはそれだけだ。

  • (ロードマップのレンズはあと35mm 1本だけだ、レンズラインナップは完成したと考えているのか?)
    ロードマップ終了後も、皆さんを驚かせたいと思っているので、今しばらく待っていて欲しい。

  • (新しいロードマップをリリースするのか?)
    将来、皆さんを驚かせられることを光栄に思っている。今言えるのはこれだけだ。

  • (映像部門でAIをどのように活用しているのか?)
    最初にAIを利用したのはAFで、AEにも利用してきた。そしてAIを使って顧客が求める画像を作る技術の開発に取り組み始めた。AIを活用することで画像処理、AF、AE、AWBの性能を更に向上することができる。また、被写体認識の精度や性能も向上させたいと考えている。Z9のバージョン4.00では指定した被写体が画面内に入っていくると自動的にピントを合わせ撮影することができる。このような自動撮影機能を提供しているのはニコンだけだ。

  • (ハイエンドのAPS-Cミラーレスカメラの登場は期待できるのか?)
    顧客の意見をもとに検討を進めていく。ニコンはD7500とD500によってAPS-Cの分野で強い存在感を確立していると考えている。また、SNSの普及によって顧客はスチルだけでなく動画にも興味を持っており、自分の考えを表現したい若い世代はフルサイズよりもコンパクトなAPS-Cを選ぶ可能性があるだろう。

  • (ミラーレスのファームウェアのアップデートは一眼レフよりも容易なのか?)
    一眼レフは機械的な要素に大きく依存していた。ミラーレスカメラの画像処理エンジンとセンサーにおいて多くの革新が起こっており、蓄積された情報と知識を使って、機能を更に拡張することができる。ミラーレスカメラではファームウェアのアップデートに重点を置いている。組織も変更し、ファームウェアの開発者は以前よりも顧客から多くのフィードバックを受けられるようになり、顧客の要望を迅速に反映できるようになった。センサーの性能や画像処理エンジンの速度も考慮しなければならないので、全ての要望に応じられるわけではないが、可能な限り要望に応えられるよう努力している。

  • (ファームウェアで追加する機能と新型カメラに搭載する機能はどのように決めるのか?)
    ファームウェアのアップデートは、センサーの解像度やダイナミックレンジなどハードの機能を超えることはできないので、そのような要望は次の機種を待つ必要がある。

  • (Z8やZfなどの最近の特定のカメラでサードパーティー製のバッテリーが使用できなくなった理由を教えて欲しい)
    当社の一部のカメラがサードパーティー製のバッテリーを受け入れない理由は安全上の理由のためだ。安全上の理由からニコン純正バッテリーの使用を勧める。

 

レンズロードマップ終了後は「皆さんを驚かせたい」ということなので、大方の予想を超えるようなレンズが登場するのかもしれませんね。楽しみです。

サードパーティー製AFレンズの増加に関しては「利用可能なレンズが増えることは理に適っている」とニコンは余裕のあるコメントですね。

また、ハイエンドAPS-Cカメラに関しては「D7500とD500によってAPS-Cの分野で強い存在感を確立していると考えている」とわざわざ言及しているので、このクラスのミラーレスカメラの投入も期待できるかもしれません。ただ、若い世代向きの動画重視のカメラについて触れているので、一眼レフの時とは方向性が変わるのかもしれませんね。