REDを買収したニコンには大いなる可能性がある

PetaPixelに、ニコンのRED買収に関する考察記事が掲載されています。

A Seismic Shift: The Ramifications of Nikon's RED Acquisition

  • ニコンの突然のRED買収は、ニコンとREDだけでなく競合他社を含むカメラ業界の企業に広範囲に影響を及ぼすだろう。ただし、ニコンによるREDの買収はまだ最終決定されておらず、交渉が決裂する可能性も残っているが、仮に買収が成立したら状況はどのように変わるだろうか?

    ニコンは優れたカメラやレンズを造り続けてきており、Z8やZ9は本格的な動画撮影にとても適したカメラだ。Zシステムに足りない点があるとしたら、それはシネマ向けのレンズが不足していることだろう。

    REDによってニコンは(スチルとシネマの)二重の脅威になるだろう。買収が終われば、ニコンは最高にパワフルなスチルカメラと、最も高性能なシネマカメラを手にすることになる。ソニーとキヤノンの上層部は、ニコンの大胆な動きにあせっていることは間違いない。

    ニコンがREDに興味を持つ理由は、REDのカメラと、REDとの訴訟に終止符を打つことだけでも十分だが、それだけではないだろう。REDがニコンに間違いなくもたらすものは、業界の基準となるカメラ、独自のRAW圧縮技術、画像信号処理技術、独自カラーサイエンスで、これらはすべてニコンが自社のカメラに実装できる。

    REDはイメージセンサーの技術でも高く評価されている。しかし、REDはセンサーの設計はできるが製造工場は持っていないので、センサーの製造はできない。REDはハイエンドシネマカメラに数年前から積層型センサーを採用しており、ニコンがその技術を自社のスチルカメラに活用する方法はいくつか考えられる。REDのセンサーに関する専門的な知識は、間違いなくニコンに大きな価値があるだろう。

    また、ニコンのプレスリリースによると、同社は製品開発やエンジニアリング、画像処理、光学技術、ユーザーエクスペリエンスなどの、ニコンの専門知識を通じて、REDのデジタルシネマカメラ事業を向上する様々な方法をアピールしている。

    REDの買収で、ニコンはシネマ界で小規模のプレイヤーから重要なプレーヤーに成長した。ライバルのソニーはシネマカメラ事業も盛んで、EマウントだけでなくPLマウントのレンズも製造している。ニコンは対照的にシネマレンズをラインナップしていない。REDは以前にシネマレンズを製造していたが、あまり上手くいかなった。また、キヤノンはREDのカメラでEFレンズやRFレンズを使用する撮影監督に大きく依存している。

    ニコンのREDに対する方向性が分かるまでに、それほど時間はかからないかもしれない。ニコンが買収したREDをどう扱うか、また、数年後にどのような製品を開発するのかはともかく、ニコンがデジタルシネマ市場で大きな力を持つようになったことは明らかだ。ニコンは(シネマカメラ界の)5番手から主役に躍り出た。ニコンには大いなる可能性があり、同社がミラーレス分野での回復とこの状況への対処を手際よく進められるなら、この可能性が実を結ぶだろう。

 

ニコンのRED買収は業務用のシネマカメラ分野だけでなく、REDのセンサー技術や画像処理技術などを通してZシリーズのデジタルカメラの進化にも繋がりそうですね。REDは積層型センサーの技術を持っているので、将来はニコンのスチル機に独自の積層型センサーを投入してくる可能性もあるかもしれませんね。ニコンとREDの今後の製品展開が楽しみです。