Z世代はフィルムカメラに「きれいに撮れないカメラ」を求めている

マイナビニュースに、Z世代のフィルムカメラの楽しみかたに関する記事が掲載されています。

Z世代のフィルムカメラブーム、驚きだらけ ネガは捨てる、オリンパスμだけが欲しい

  • 現在のフィルムブームを牽引する若い世代の動向を販売の現場の方にインタビューした。お話を伺ったのは、新宿東口にある「新宿 北村写真機店」の森由利加さんと大澤公廉さんだ。
  • 共通しているのは、フィルムカメラや現像の知識を持たずに来店する人がほとんどだという。「現像の受付に来られて、カメラからフィルムを取り出してもらえますかとお願いすると、その場でぱっと裏蓋を開けちゃう方も少なくありません。フィルムの現像の仕組みが理解してもらえず、現像は不要だからデータだけ欲しい、とおっしゃる方もいます」
  • 「撮った写真がスマホに入ればいい、とおっしゃる方がほとんどです。プリントもできますよとお伝えするのですが、注文される方はほとんどいらっしゃいません。それもあり、標準ではプリントでお渡しするのではなく、フィルムをスキャンしたデータでお渡しすることにしています」「プリントするという概念がZ世代にはたぶんないのではないでしょうか」
  • さらに、驚くべき事実を森さんの発言で知ることになりました。「若い人のほとんどは"ネガの破棄"を選択されます」なんと、ネガが必要ない・・・。フィルム時代から長く写真を楽しんできた者として、これはある意味ショックだった。ネガをあっさり捨てるのは驚き以外の何者でもない。
  • 「ネガを捨てることにためらいのない若い方ですが、それでも少しでも経済的にという感覚はあり、プラスチック製の安いハーフサイズのカメラがよく売れています」
  • 「なぜ若い人たちがフイルムカメラを求めるのかというと、今のデジタルカメラはスマホも含めてきれいに撮れすぎちゃうからなんです。きれいに撮れないカメラ、きれいでない写真というのが、Z世代にとっては新鮮なんです。『きれいに撮れないカメラはどれですか』かと聞かれるんです(笑)」
  • 「(Z世代のフィルムカメラユーザーに)人気があるのがコンパクトカメラ。なかでも、オリンパスの「μ」シリーズの人気が圧倒的です。インフルエンサーやユーチューバーが紹介したらしく、μだけが指名買いされます。ほかのカメラもありますよ、と提案しても見向きもされず、在庫がなければ『じゃいいです』と立ち去られる方がほとんどです」
  • フィルムカメラのブームを牽引しているZ世代のフィルム写真の楽しみ方やフィルム写真に対する考えなど、往年のフィルム時代を知っている者としてはカルチャーショックを受けることばかり。Hi-Fi(ハイファイ)よりもLo-Fi(ローファイ)な写り、そしてファストではなくスローな撮影体験、そのようなことがZ世代と呼ばれる若い人たちに受けていることが分かった。

 

Z世代のフィルムカメラユーザーの多くは撮影後にネガを廃棄してしまうということですが、これは確かにフィルムカメラ時代の感覚では考えられないことですね。ただ、高解像度でスキャンしておけば、画像はSNSからプリントまで何にでも使えるので、引き伸ばし機で銀塩の印画紙にプリントするのでなければ、今の時代は確かにネガは不要なのかもしれません。

また、Z世代が「きれいに撮れないカメラ」を探しているというのも面白い話で、このような需要があるなら、リコーがフルサイズよりも画質が劣るハーフサイズのフィルムカメラを開発しているのも納得がいくところですね。