ソニー「α9 III」のAFは期待したほどの信頼性はない

Fstoppersに、ソニーのグローバルシャッター搭載機「α9 III」のレビューが掲載されています。

Review of the Sony a9 Mark III Without Focusing Too Much on the Global Shutter

  • グリップは上部に傾斜が付けられた全く新しいデザインで、手の向きを変えなくてもフロントダイヤルに指が届きやすくなっている。
  • 液晶モニタはα7R Vと似ていて、実にうまく機能する素晴らしい設計だ。
  • ボタンはフィードバックが素晴らしく良く出来ているが、背面のコントロールホールは従来通りで、ホイールを4方向に誤って押さないように操作するのは難しい。
  • メニューは新しい世代のものだが、構造的な欠点は依然としてあり、一部の機能は理に適った場所に配置されておらず、また、一部の機能は説明が分かりにくい。カスタマイズの数が多すぎて特定の用途に合わせてカメラを最適化するのが難しい。

  • 画質は他のαと比べるとノイズは多く、ISO3200からノイズが目立つようになる。ISO400のRAW画像は4段分は持ち上げることができるが、他のαと比べるとそれほど印象的ではない。しかし、それでも良好な結果だ。
  • 120コマ/秒の連写は問題なく使用できることが分かった。バッファーは十分な大きさがあり、バッファ容量や書き込み速度のためにスローダウンすることは一度もなかった。

  • AF性能は鳥や動物にピントを合わせるのは難しく、宣伝文句ほど良くないことが分かった。被写体が簡単に認識できるようなものでもピントが合わない。これは鳥でも私の犬の撮影でも同様だった。
  • このサンプル画像は、α9 IIIが合焦に苦戦した4つの例だ。右上のアオサギに苦戦するのは理解できるが他の3枚は理解できない。被写体認識の改善に期待したい。また、カメラが犬を認識しないのも不思議で、代わりにAFは小枝に固執した(サンプル画像)。
  • 120コマ/秒の連写時でもほぼAFはピントを合わせ続けることができるが、完璧ではなく時折被写体を見失ってしまうことがあった。これは困難な条件の時だけでなく、被写体が障害物なしに画面内に明確に収まっている場合でも起きる。
  • (追記):サンプル画像はスタジオの画像以外は全てFE 300mm F2.8 GM OSSとの組み合わせで撮影している。

  • グローバルシャッターのおかげで高速のパンニングでもローリングシャッター歪みは全く見られない。これがα9 IIIの最大のメリットだと思う。
  • グローバルシャッターのもう1つのメリットはフラッシュの全速同調だが、実際は残念ながらフラッシュの発光時間によってシャッター速度が制限され、Profoto B10の場合は1/1000~1/1600秒が最高のシャッター速度になる。しかし、実用上は通常のメカシャッターと比べてメリットは大きい。

  • 結論:グローバルシャッターは写真家を長年悩ませてきたローリングシャッター歪みとフラッシュの同調速度の制限をなくす優れた技術で、革命的だと言える。しかし、これは写真を変えるものではなくせいぜいいくつかの問題を解決する程度のものだ。それよりもAF性能やカメラのデザインに注目している。AFは良好な性能ではあるが最も最適化した設定でも期待したほどは信頼できない。
  • カメラのエルゴノミクスは優れており、旧型と比べて格段に良くなっており、操作性も申し分ないものだ。欠点は背面のホイールと複雑なメニューで、メニューはカスタマイズの項目が多すぎて最適な設定を見つけるのが難しい。

  • 良い点:グローバルシャッター搭載の積層型センサー、ローリングシャッター歪みが見られない、フラッシュの全速同調、最大200fpsのリフレッシュレートの944万ドットEVF、バリアングル&チルト式のモニタ、連写速度とAF設定のダイヤル、優れたエルゴノミクスと高品質なボタン、120コマ/秒の連写、最大1秒のプリ連写、動きを予測するAIエンジンによる広範囲な被写体認識、バルブタイマーとタイムラプス、フルサイズのHDMI端子、大きなバッファ。
  • 改善して欲しい点:他のカメラに劣る高感度性能、AFは常に信頼できるとは限らない、目に見えるような理由もなくAFが追尾している被写体を見失う、背面のホイール、メニューの構成、最適な設定を見つけるのが難しい、バルブが300秒に制限されている、NRノイズリダクションがカメラ内でかけられない。

 

α9 III のAFは他のレビューでは高評価のものが多いですが、ここでは鳥や動物を認識しないケースが多かったようで、今ひとつの評価になっています。鳥のサンプル犬のサンプルを見ると確かに容易に認識しそうな状況なので、この状況で被写体を認識しないのは不思議ですね。他のα9 IIIの個体でもAFは同様の動きをするのか、気になるところです。

[追記] レビアーがテストで使用しているレンズは、スタジオ内の高感度とダイナミックレンジのサンプル以外は「FE 300mm F2.8 GM OSS」とのことです。