フルサイズFoveonはまだ設計段階だが引き続き情熱を注いでいる

DPReviewに、シグマの山木和人社長のフルサイズFoveonセンサーに関するインタビュー記事が掲載されています。

Full-frame Foveon sensor "still at design stage" says Sigma CEO, "but I'm still passionate"

  • 「Foveonセンサーのプロトタイプを作成したが、設計上のいくつかのエラーが見つかった。回路図を書き直してメーカーに提出し、次世代のプロトタイプを待っているところだ」と彼は述べている。これは完全に「振り出しに戻った」わけではないが、(完成までは)まだ長い道のりがあることを意味している。「センサーはまだ設計段階だ。センサーは製造プロセスが非常に重要だが、これはまだ研究中なので、新しいセンサーの開発が終わるまでにはさらに時間が必要になるかもしれない」

  • 山木氏は、Foveonの利点に対する同社の考え方が変わったと言う。「第一世代のFoveonセンサーを搭載したSD9とSD10を発売したとき、その最大の利点は解像度だと考えていた。今日、非常に多くの高画素センサーがあり、解像度の面では、Foveonとそれほど大きな違いはない」

    しかし、山木氏は Foveonにはまだ利点があり、「それは顕著な違い」だと述べている。そして、この魅力はFoveonの欠点から生じている可能性があるとも述べている。

    「それは色かもしれない。FovenはRGB間のクロストークが多い。これに対してベイヤーセンサーの分光感度を見ると各色に対して非常に鋭い特性を持っている。クロストークが多いということはRGB各色の間に多くのグラデーションがあるということだ。高解像度と多くの色のグラデーションの組み合わせで非常にリアルで特別なクオリティが生まれる」

  • 「Foveon X3を搭載したカメラをより使いやすいものにしようとしているが、それでもベイヤーセンサーのカメラと比べれば、使いやすいとは言えないだろう。性能を向上させようとしているが、低照度性能はベイヤーセンサーには及ばない。我々はより使いやすいカメラを作るためにベストを尽くすつもりだが、それでもフォビオンセンサー技術を搭載したカメラが万人のためのカメラになるとは限らないだろう」

  • 「たとえ新しいFoveon X3センサーの開発に成功したとしても、大量のカメラを販売できるわけではないかもしれない。しかし、それでも大きな意味を持つと私は信じている」
    「近年、連写速度や動画機能の点では多くの進歩が見られるが、解像度、階調性、ダイナミックレンジといった画質に関して言えば、それほど大きな進歩はない。Foveon X3センサーをリリースし、その品質を見てもらえれば、それは業界にとって大きな意味を持つだろう。それが私が今でもこのプロジェクトに情熱を注いでいる理由だ」

 

フルサイズFoveonはまだ設計段階ということなので、完成まではかなり時間がかかりそうですが、山木社長は引き続きFoveon開発に情熱を注いでいると述べているので、開発が中止される心配は今のところあまりなさそうですね。

また、Foveonの高画質はRGB間のクロストーク(色の混ざり)から生じていると述べられており、クロストークが多いと色が混ざって純度が下がってしまうので画質が低下してしまいそうに感じますが、Foveonがこのクロストークのために逆に豊かな色再現を実現しているというのは非常に興味深い話ですね。