パナソニック「LUMIX S9」は多くの妥協があるがコンテンツクリエイターには優れたツール

CAMERALABSに昨日発表されたパナソニックのミラーレスカメラ「LUMIX S9」のレビューが掲載されています。

Panasonic Lumix S9 review

  • S9の前面はフラットだが背面にはサムレストがあるので、見た目よりも容易にホールディングできる。しかし、もっとしっかりホールディングしたい場合は、サードパーティー製のグリップを使用するといいだろう。
  • 26mm F8は非常に小さく軽いが、MFレンズなのでピント合わせはフォーカスピーキングと拡大表示に頼ることになる。操作は難しくないが、AFよりも明らかに時間がかかる。
  • 26mm F8で特にフラストレーションがたまるのは、絞りがF8固定でこれ以上絞れず、またフィルター枠もないことから、直射日光下での動画撮影では適切なシャッタースピードが選択できないことだ。そして26mmの焦点距離は大部分のブイロガーにとって十分広い画角ではなく、あまり役に立たないだろう。しかし、このレンズの品質は悪くなく価格も妥当だ。
  • 18-40mmはS9に最適なレンズで、S9発売時にこのレンズの準備ができていなかったのは残念だ。初期のS9のキットレンズである20-60mm F3.5-5.6は気に入っているが、S9のコンパクトさという魅力を損なっている。
  • アクセサリシューにはフラッシュ用の接点がないが、これは電子シャッターがフラッシュの同調に対応していないためだ。しかし、シューにはマイク接続のための端子が欲しかった。
  • 端子は右側にMicro HDMIとUSB-C、左側にマイク端子があるが、ヘッドホン端子がなく富士フイルムのカメラのようにUSB端子にヘッドホンを接続することもできない。
  • USB端子はバッテリーの充電には使えるが、カメラをWebカメラとして動作させるUVCとUACはまだ実装されていない。
  • バッテリーはS5IIと同じBLK22で、CIPA規格で450枚のスチルまたは1時間の録画ができる。バッテリー室は下部にあるので、三脚やジンバルを取り付けた場合の利便性はよくない。

  • 動画はオーバーヒートでシャットダウンするまでに4K動画を(15分ずつ分割して)90分録画できた(ZV-E1は4Kを連続で1時間弱だった)。ただし、S9には1つの動画の連続の記録時間に制限がある。
  • S9にはIBISが搭載されており、テストでは特に動画ではこのIBISは最も高性能なものの1つであることが分かった。
  • 連写モードでのパンニングのテストでは、垂直線が傾いていること(ローリングシャッター歪み)が確認できる。動きの速いものを撮影する場合はS5IIなどのメカシャッターを備えたカメラを使うのが望ましいだろう。これは4K動画でも同様だ。
  • センサー全域を記録するオープンゲートは強力な機能だが、ソニーを含む多くのメーカーはコンシューマー機にオープンゲートを搭載しておらず、この点でS9とS5IIはαに対して大きなアドバンテージがある。
  • 動画の品質はS5II同様に優れているが、小型化のために録画時間が犠牲になっており、S9はフルHDで20分、4Kで15分、6Kで10分に制限されている。対照的に冷却ファンを備えたS5IIは、バッテリーがなくなるまで録画することができる。S9に30分の連続撮影を許可する温度警告の設定を追加して欲しいと思う。
  • 最も興味深い新機能の1つはハイブリッドズームで、光学ズームとデジタルズームを組み合わせてより高倍率の連続ズームを実現できる。この機能はスチルと動画で利用でき、特に画質をほとんど損なわないフルHDや4K動画では効果的だ。

  • S9はZV-E1と同程度のサイズで、価格はより安価で、より高解像度のスチルや動画を楽しむことができる最も手頃なフルサイズカメラの1つだが、ZV-E1同様に小型化と低価格化のために多くの妥協(EVFレス、シングルスロット、メカシャッターレスなど)がある。
  • また、S9にはZV-E1では利用可能なアクセサリシューのマイク用の接点が無く、ヘッドホン端子もなく、フラッシュも使用できず、4Kでわずか15分の録画時間の制限もある。しかし、時間が経つにつれて、S9のLUTやハイブリッドズーム、MP4 Liteモード、そしてボディの外観が気に入った。
  • S9はS5IIから優れた画質やAFを継承しており、コンテンツクリエイターには優れたツールで、小さいレンズを取り付ければ素敵な旅行用カメラにもなる。S5IIから省略された機能が不要な人にはS9は魅力的な選択肢だが、EVFやデュアルスロットなどが欲しい人には驚くほど価値があるS5IIが役立つだろう。

 

S9は小型化と低価格化のためにS5IIと比べると様々な機能が省略されており、ストロボに非対応、動画の長回しができない等の制限はありますが、フルサイズとしてはかなり小型軽量なので、その機動性を活かしてビデオクリップや旅行の撮影などでは大いに活躍してくれそうなカメラですね。売りのLUT機能は動画だけでなくスチルでもかなり楽しめそうです。

S9の動画は時間制限が厳しいですが、動画を分割してもよければオーバーヒートまで4Kで90分も録画できるということなので、クールダウンの時間を取らずに次々に録画してもオーバーヒートの心配はあまりなさそうですね。