シグマの使命の1つはニッチなレンズを作って写真文化の発展に貢献すること

DPReviewに、シグマの山木和人社長のインタビューが掲載されています。

Sigma CEO talks market trends, the challenge of innovation and the future for APS-C

  • 市場の状況について:昨年はそれほど悪くなかった。市場縮小の傾向は底を打ったようだ。当面は一眼レフからミラーレスへの切り替えが市場を支えるだろう。しかし、その後、数年間で市場が縮小するのではないかと懸念している。その理由の1つはカメラとレンズの単価が上昇していることで、そのような高価なカメラとレンズを購入できる顧客はそれほど多くないと思う。当社は価格を適正な水準に保つように努力していく。

    より高度な技術開発に投資することは重要だが、顧客に焦点を合わせることも重要だ、技術的に非常に優れたいくつかのカメラを見てきたが、それらが必ずしも多くの写真家が必要とする機能ではないのではないかと心配している。今後はユーザーフレンドリユーな仕様が顧客にとってより重要になるのではないかと推測している。

  • イノベーションの課題:500mm F5.6は回折レンズの代わりに低分散ガラスを使用しているが、これには非常に高度な製造技術が必要になる。当社は優れた生産工場を有しておりレンズ設計者が工場を信頼しているため、この設計を採用することができた。

    当社はレンズ研磨の歩留まりが非常に高く、開始から終了までの歩留まりは90%近い。他社が新ガラスの使用をためらうのは歩留まりが不安だからだ。多くの場合は我々が新素材を使用し、それを見て他社が使い始める。我々はレンズ業界の実験台のようなものだ。

    ニッチなレンズを作ることがシグマの使命の1つだと考えている。定番商品だけに注力して廉価版のレンズをリリースするだけでは、写真文化の発展に貢献できない。ほとんどのレンズは人々の期待を遥かに上回るほど優れているが、天体写真家だけは決して満足しない。星はあらゆる収差が見える最も厄介な被写体で、天体用のレンズはシグマの技術力を見せたいという私の個人的な強い情熱だ。

  • DC DNレンズについて:iシリーズと非常に似た顧客層で、公共交通機関を利用し大きな機材を車で持ち運ばない。(APS-Cのiシリーズについて)フルサイズが欲しい人はIシリーズを使えばいいし、APS-Cで満足できる人は軽量のDC DNレンズを使えばいい。当社の計画は、APS-Cサイズのセンサー用のレンズを比較的充実したラインナップにすることだ。

 

シグマはニッチなレンズで写真文化への貢献をしたいと考えているとのことで、利益のみ追求する企業も多い中、志の高いメーカーですね。

また、今後のカメラについて技術偏重ではなく顧客目線の製品をと述べていますが、確かに機能てんこ盛りで価格もどんどん上がっていくようだと、カメラ市場は再び縮小してしまうかもしれませんね。fpの後継機等でシグマがどのような提案をしてくるのか楽しみです。