ニコンはエントリー層には適切なカメラを提供できていないかもしれない

DPReviewに、ニコン映像事業部マネージャーのインタビューが掲載されています。

Nikon interview: "State-of-the-art technology needs to be embedded in our products"

  • (カメラ市場の状況について)
    2023年のデジタルカメラ市場は回復基調にあり、ほぼパンデミック前の水準に戻ってきた。この成長を牽引しているのは、具体的には、大成功を収めたZ8と非常に好調なZレンズ群で、レンズはPlenaや超望遠レンズが非常に好評だ。

  • (今後5年間でカメラ市場に最も大きな影響を与えると予想される顧客層は?)
    顧客は2つのタイプがあると思う。1つ目は小規模グループまたは個人のコンテンツ作成者で、彼らは小型でコンパクトなカメラやシステムを望んでいる。このような顧客は高品質なコンテンツを作成するために優れた機能を求めている。2つ目は若い世代で、彼らは品質だけでなくデザイン性も求めている。また、よりエモーショナルに写真を撮影したいと考えており、それが可能になるカメラを探している。ZfやZfcのようなカメラがそれにあたる。

  • (適切な機材が提供されていない顧客はいるか?)
    我々は映像表現を追求したい顧客向けにハイスペックなカメラやレンズのラインナップを拡充してきたが、カメラを初めて購入する人たちには適切な選択肢を提供できていないかもしれない。製品開発の情報については言えないが、このような適切な選択肢を提供できていない人達にとって非常に重要だと考えている要素は「接続性」だ。

  • (生成AIについて)
    カメラ業界に良い影響を与えていると考えているが、同時に偽画像や画像の不正使用といった問題も起きており、これらの問題に対処するためにコンテンツ認証技術に取り組んでいる。現在、AFPと共同で機能の有効性を検証する段階にある。

  • (コンピューテーショナルフォトについて)
    スマートフォンとカメラではその技術を応用する範囲が異なる。現在の開発の詳細は言えないが、ユーザーのミスを防ぐだけでなく、表現の可能性を広げるための技術開発を積極的に行っている。画像処理に関しては、カメラとコンピューテーショナルフォトを使用するスマートフォンでは大きく異なっている。

  • (カメラとスマートフォンを使う場合のワークフローの課題は?)
    カメラで撮影した写真をスマートフォンに送信し、それをSNSにアップロードするというワークフローは手順が多すぎる。ここは改善すべき部分で、どのように改善できるかを真剣に考え、顧客のニーズを特定する必要がある。

  • (動画について)
    動画はスチルの高速連写などの機能に大きな影響を与えており、動画機能はイメージングソリューションに活用できる。顧客から動画の編集に時間がかかるという意見を良く受け取っており、動画編集の手順をもっと簡単にし、気軽に編集できるようにする必要がある。そうしないと、動画撮影にカメラを使用しなくなるだろう。スマートフォンの動画撮影には限界があり、そこがカメラが進化できる領域だ。

 

ニコンの比較的低価格なカメラではZ30やZ50、Z fcなどがありますが、ニコンはエントリー向けとしてはこれらのカメラだけでは不十分だと考えているようで、何らかのエントリーの新製品を検討している可能性が高そうですね。

エントリー向けカメラで重要なものは「接続性」だと述べられており、スマートフォンやSNSとの親和性が更に改善された製品が期待できそうですね。