「PENTAX 17」の受注再開は未定だが増産を検討して対応する

ITmediaビジネスONLINEに、リコーのフィルムカメラ「PENTAX 17」に関する商品企画のTKO氏のインタビューが掲載されています。

なぜ令和にフィルムカメラを発売したのか リコーが21年ぶり新モデル

  • (どのようにフィルムカメラの企画が始まったのか)
    2020年頃の社内プレゼンテーションに企画を持ち込んだのが最初だった。デジタルカメラの次の戦略について話し合うような場で、聞いていた幹部たちの表情は凍り付いていた。私がしつこく説得した。すると、そのトップは「できないことはないけど...」と譲歩し始めたので、「後はできる理由を私が探す」とたたみかけて。そこから、ようやく企画と開発が一緒に議論を進められるようになった。

  • (なぜフィルムカメラだったのか)
    若い人を中心にフィルムカメラのユーザーが増え始めていたが、選択肢は中古品しかない状況。うまく動かず、修理もままならない環境で使っている若者もいた。だったら、メーカーとして新しいフィルムカメラを発売し、保証もつけて、安心して楽しめる環境を作りたいと思った。

  • (商品コンセプトは)
    令和時代にフィルムカメラを作る上でこだわったたのは、昔の機種をそのまま復刻するのではなく、今のユーザーにピッタリのフィルムカメラを新たに作ること。特にフィルムカメラに初めて触れる若い世代が"マニュアルの楽しさ"を感じられるような機能を組み合わせた。

  • (こだわった機能は)
    若い世代は縦長の画面に慣れているので、ファインダーをのぞき込んだ際の構図を縦にしている。また、機械による自動巻き上げではなく、クランクを使い手動で巻き上げる仕様だ。"手巻き"にこそ、マニュアルの楽しさが凝縮されていると思っている。

  • (なぜ、ハーフサイズフォーマットを採用したのか)
    大きな理由は近年の物価高によるフィルム価格の高騰。フィルムカメラ初心者は失敗も多いことを考えると、倍撮影できるこのフォーマットはランニングコストを低く抑えられる利点がある。

  • (ハーフサイズフォーマットは画質低下の弱点もある)
    その弱点を克服するために、レンズも新たに開発した。過去に定評のあったレンズの技術を基に、最新のレンズをコーティングする技術などを融合させた。画質は開発現場も驚くほどクリアでシャープな描写を実現できた。

  • (予約数が想定を上回り、すぐに受付を停止した)
    海外の若い世代も購入できるギリギリの範囲として、価格は『500ドル』にこだわった。ベトナムで生産しており、日本は円安の影響を受けて他よりも割高になるが、それでも予定を上回る注文が入った。現在、注文は一時停止しており再開時期は未定だが、増産を検討して対応したいと考えている。

 

今の時代に、フィルムカメラを一から新規開発する決断をするリコーはとても柔軟性に富んだメーカーですね。幸い販売面でもPENTAX 17は大成功しているようで、フィルムカメラが増産しなければならないほど売れているのは驚きです。この勢いのまま、フィルムカメラの第2弾につなげて欲しいものですね。