ニコン「Z6III」はいくつか問題はあるもののこのクラスで最も魅力的なカメラ

PetaPixelに、ニコンZ6III製品版でのレビューが掲載されており、いくつかの追加テスト(ダイナミックレンジや動画の連続記録時間等)が行われています。

Nikon Z6 III Review: A Little Rough Around the Edges

  • プリプロダクションモデルでテストできなかったものの1つが、ダイナミックレンジだ。Z6IIIのダイナミックレンジはZ6IIと比べると約1段分と大幅に狭くなっており、これは高速連写を実現するためのかなり大きなトレードオフだ。
  • Z6IIIではメカシャッターでも電子シャッターでも基本的にダイナミックレンジは変わらないので、メカシャッターを使用してダイナミックレンジを広げることはできない。
  • ISO800以上のダイナミックレンジは競合機と同等になるため、Z6IIIのダイナミックレンジのデメリットは低感度でのみ発生する。
  • EOS R6 Mark IIと比較すると、R6 II は電子シャッターで画像のビット数に制限がかかるので、電子シャッター時のダイナミックレンジはZ6IIIの方がR6 II よりも優れている。しかし、メカシャッターでは低感度時のダイナミックレンジはR6 II の方が優れている。
  • α7 IVは電子シャッターのダイナミックレンジはZ6IIIより優れているが、ローリングシャッター歪みがかなり顕著だ。メカシャッターではα7 IVのダイナミックレンジが大幅に広がりZ6IIIよりも遥かに優れている。

  • Z6IIIの動画はローリングシャッター歪みの改善だけでなく、魅力的な機能が数多く追加されている。4K60pは全幅読み出しでオーバーサンプリングされており、これはこの価格帯では非常に珍しいことだ。
  • 動画ではEOS R6 Mark IIとα7 IVは12bitモードになるが、Z6IIIにはそのような制限はなく、部分積層センサーのダイナミックレンジのペナルティにもかかわらず、動画では非常に優れたハイライトとシャドーのディテールが得られる。
  • オーバーヒートに関するテストでは、H.265 4K/24pでは2時間録画できることが分かった。このときボディは暖かくはなったが熱くはならない。H.265 4K60pでは52分後にオーバーヒートしたが、これはオーバーサンプリングであることを考えるとこれは非常に印象的な結果だ。4K120pでは42分後にシャットダウンした。
  • RAW動画では6K60p N-RAWで17分後に停止したが、オーバーヒートの警告は表示されずカメラはまだ冷えていた。ただし、CFexpressカードは熱くなっており、録画が中断したのはこのためだと思う。6K24p N-RAWでは42分後に停止した。RAWは映画制作や後処理の柔軟性が求められる動画を時折撮るには役立つと思うが、長回しでは信頼できないと思う。

  • 以前にRobert May氏が指摘した動画の露出の「ちらつき」についてだが、これはRAW動画で最も顕著だが、最高感度時のN-log 10bit H.265でも見られた。ISO51200ではちらつきがかなり目立ち、映像が台無しになるがこのような高感度を動画で使用することはかなりまれだろう。しかし、極端な暗所での撮影ではこれが問題となる可能性がある。この件についてニコンに問い合わせているが、現時点では回答は得られていない。

  • Z6IIIにくつかの問題があるが、全体としてはこのクラスで最も魅力的なフルサイズのハイブリッド機だと思う。この価格帯でこれ以上の動画機能を備えたカメラはGH7だけだ。Z6IIIでの撮影体験は最高で、多くの状況で信じられないほどプロシェッショナルな結果が得られる。
  • ダイナミックレンジの問題は誰もが悩まされるわけでも気付くわけではないが、風景写真家はZ6IIIが競合製品と比べて露出を持ち上げたり下げたりする能力が低下していることに気付くかもしれない。
  • Z6IIIは現在ミドルクラスで最も完成度が高いカメラかもしれないが、競合製品よりも遥かに優れているわけではなく、近い将来追い抜かれる可能性は十分あるだろう。
  • Z6IIIを買うべきだろうか?イエスだ。Z6IIIはこの価格帯では最高のオールラウンドフルサイズハイブリッドカメラだ。ただ、メカシャッター時に競争力のあるダイナミックレンジを提供してくれればいいのだが。

 

Z6IIIのダイナミックレンジの低下はテストでは明確に確認できるようですが、実写では後処理でハイライトやシャドーの救済をするようなケースを除けば、あまり気にする必要はなさそうですね。

動画時のオーバーヒートは、クーリングファンのないそれほど大きくないボディであることを考えれば、オーバーサンプリングの4K60pで52分は十分と言ってもよさそうですね。