パナソニック「GH7」の低感度のダイナミックレンジは信じられないほど優秀

DigitalCameraWorldに、パナソニックのm4/3機の動画のフラッグシップモデル「GH7」のレビューが掲載されています。

Panasonic Lumix GH7 review: the new hybrid camera to beat

  • GH6は映像制作者の間で人気を博している素晴らしいカメラだが、位相差AF非搭載という明らかに欠けている部分があった。パナソニックはGH7でようやくこの欠点を修正した。
  • GH7発売時の価格はGH6と同じ2199ドルで、インフレによる値上げを予想していたが、パナソニックの価格設定はかなりアグレッシブだ。
  • デザインはGH6のものを踏襲しているが、GH6は堅牢性とエルゴノミクスに優れたデザインなので問題はない。正直、このデザインは見た目は面白くないが、エルゴノミクス的に実によく考えられており、インターフェースはユーザーフレンドリーで初心者にもベテランにも使いやすいものになっている。

  • 368万ドットEVFはリフレッシュレートも速く鮮明で、これまで使った中で最高とは言えないが、非常に快適だった。また、3.2インチモニタは明るく鮮明だ。
  • AFはついに位相差AFが搭載された。AF性能はキヤノンやソニーを表彰台から引きずり下ろすにはほど遠いものだが、パナソニックとしては大きな前進で、被写体の追尾精度が格段に向上した。複数の移動する被写体がある複雑なシーンでも追尾の確実性が大きく向上している。
  • 私はパナソニックの手ブレ補正は業界最高だと評価してきたが、GH7でもそれは変わらない。手ブレ補正のパンと静止のモードは非常に役に立ったが、激しい動きに適したモードは、大きくクロップするにもかかわらずゼリー効果(こんにゃく現象)が出てしまう。しかし、これは私がこれまで使ってきた中で最もジンバルに近いIBISだ。
  • バッテリーライフは弱点ではないが、他の部分ほど優れているわけではなく平凡だ。
  • GH7が真価を発揮するのは当然動画性能で、途方もない数の動画オプションが用意されている。更に素晴らしいことは、GH7は背面のファンのおかげで時間無制限で録画できることだ。テスト中オーバーヒートで停止することは全く無かった。ファンのノイズはまったく問題ない。
  • 4K動画は鮮明でディテールに富んでおり、色彩豊かでダイナミックレンジも優れている。
  • LUMIX Labアプリで追加したLUTを使って、グレーディングされた映像をSNSで公開することが非常に簡単になった。編集作業の手間を軽減してくれるのは本当にありがたい。
  • スチルでもGH7は優れており、G9IIとまったく同じカメラ体験ができる。連写はG9II同様にメカシャッターで14コマ/秒、電子シャッターで75コマ/秒で、スチルに関してはG9IIと異なる点はあまりない。
  • スチルの画質はディテールに優れ色鮮やかで、小型のm4/3センサーであることを考慮すると、ダイナミックレンジは特に印象的なものだ。
  • 高感度性能は良好でネイティブISOの範囲ではノイズが気になることはなかった。

  • ラボテスト(解像力):センサーサイズが必ずしも重要ではないという結果が得られている。GH7は比較した機種の中で最も小さなセンサーを使用しているにもかかわらずX-S20よりもわずかにディテールが解像しており、フルサイズのS5IIxよりも優れた解像力が得られている。当然のことながら1220万画素のZV-E1が健闘することはなかった。

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  • ラボテスト(ダイナミックレンジ):GH7は低感度では優れたダイナミックレンジだが、ISO1600では高画素の小型センサーが不利に働き、それよりも高い感度ではS5IIxやZV-E1よりも大幅にダイナミックレンジは狭くなる。

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  • ラボテスト(S/N比):ダイナミックレンジ同様に高画素の小型センサーの弱さが出ており、GH7は他の3機種よりもノイズが多く、ISO感度が高くなるほどその差は大きくなる。

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  • 結論:GH7は旧型のGH6から大幅に改良されており、特に位相差AFの採用は注目すべき点だ。改良されたセンサーと画像処理エンジンの組み合わせでこの種のカメラで最も高度な動画機能が提供されている。センサーサイズが小さいのが気になる人もいるかもしれないが、GH7は信じられないほどダイナミックレンジは広く、特にProRes RAWなどを活用すればセンサーが小さいことの欠点は気にする必要はない。
  • 全体としてGH7はGH6の不満を全て解消するという約束を果たしたバランスの取れたカメラで、独立系の映像制作者であればこれ以上のカメラはないと思う。
  • 良い点:極めて広範囲な動画フォーマット、無制限の録画、大幅に改善されたAF。
  • 悪い点:ずんぐりしたデザイン、バッテリーライフが平凡。

 

GH7は、解像力で同程度の画素数のAPS-C機X-S20やフルサイズ機S5IIxを超える結果が出ているのは興味深いところですね。

また、ISO100から800までのダイナミックレンジも極めて優秀で、APS-C機やフルサイズ機相手にほぼ同等の結果となっているのはすごいですね。ただ、高感度になるとやはりAPS-Cやフルサイズにセンサーサイズなりの差を付けられているようです。

新たに採用された位相差AFはパナソニックの中では大幅な前進ですが、ソニーやキヤノンには及ばないと評価されており、今後の更なるAFの改善に期待したいところです。