キヤノン「RF35mm F1.4 L VCM」は軸上色収差とフォーカスシフトが気になるがシャープさを重視するなら最適なレンズ

OpticalLimitsに、キヤノンの新しい広角単焦点レンズ「RF35mm F1.4 L VCM」のレビューが掲載されています。

Canon RF 35mm f/1.4 L VCM Review

  • 比較的軽量だが、造りはプロの使用に耐える優れたクオリティが維持されている。
  • AFは重いフォーカシングレンズ群をVCMで、軽いフローティングレンズをナノUSMで駆動しており、完璧に機能する。マニュアルフォーカスは電動で、非常に滑らかで正確に動く。
  • フォーカスブリージングは最小限だ。

  • 歪曲は未補正のRAWでは4%弱のタル型で酷い値ではないが、35mmの単焦点レンズとしては素晴らしい値ではない。自動補正によって歪曲は適切に補正され、歪みはほとんど見られなくなる。
  • 周辺光量落ちは開放で3.5EVを超える大きな値で、これはこのカテゴリの通常の範囲を超えている。F2に絞ると2.22EVに改善するが、許容範囲内になるのはF4以上だ。自動補正を有効にすると開放で1.17EVに改善し、F2でほぼ解消する。
  • 解像力は中央は開放から素晴らしい値で、F2からF4では4500万画素センサーの解像力を超えている。隅は開放ではそれほどシャープではないが、それでも良好~非常に良好な値で、F2以降では非常に良好な値になる。F11からは回折の影響が大きくなる。像面の湾曲は最小限だった。偏芯はまずまず良く調整されていたが、(偏芯が更に良く調整されていれば)画像の右側はもっとよい結果が得られるかもしれない。

canon_RF35mmF14LVCM_ol_001.png

  • 倍率色収差は約1ピクセルで、高価なレンズとしては予想よりも少し高い値だが、大きなな問題ではない。
  • 玉ボケは内部はわずかに年輪が見られ少しだけ輪郭も付くが比較的綺麗で、広角レンズとしては非常に美しい描写だ。口径食は周辺部に行くと比較的早く現れており、隅では猫の目状になるが、F2.8まで絞ればほぼ解消する。後ボケはとても滑らかだが、前ボケはかなりうるさい。
  • 軸上色収差(ボケの色付き)は、2枚のUDレンズが使用されているが補正は十分ではなく、開放ではかなり顕著だ。絞ると改善されF4ではほとんど解消する。
  • 軸上色収差のテストでは、絞るとピント位置が後ろに動いている(フォーカスシフト)のが見て取れる。AFではこれを考慮した動きになっているが、MF時や近距離のピント合わせではフォーカスシフトがかなり目立つ可能性がある。
  • 逆光耐性は非常に高く、ゴーストはわずかだ。逆光耐性の面では他の多くのレンズよりも優れている。
  • 光芒はF1.4からF8までは使いものにならないが、F11では実用になり、F16で最高の結果が得られる。

  • このレンズは開放からシャープで、シャープさを最重視するなら間違いなく最適なレンズだ。フレアにも強くボケもこの種のレンズとしては良好だ。しかし、自動補正に強く依存しているのが、高価なレンズとしては少々残念だ(軸上色収差は自動補正できない)。また、MF時にはフォーカスシフトが少し心配だ。VCMは超高速で無音だが、この価格帯のレンズとしてはこれは当然のことだ。いくつかの注意点はあるものの、間違いなく魅力的なレンズだ。

 

光学性能の評価は10段階評価で8点で、高評価ではあるもののこの価格帯のレンズとしては際立って高い評価というわけではないようです。歪曲や周辺光量落ち、倍率色収差は少し大き目ですが、これは自動補正前提なので大きな問題はなさそうです。

軸上色収差に関しては、EF35mm F1.4 L IIはBRレンズを採用して極めてよく補正されていましたが、このRF35mm F1.4 L VCMはそれほど良く補正されておらず、また自動補正もできない収差なので、これは少々残念な部分かもしれませんね。

また、AF時には自動的に補正されるとは言え、フォーカスシフトが結構目立つのも気になるところです。