タムロン「90mm F/2.8 Di III MACRO VXD」はボケが非常に良好でポートレートレンズとしても優れている

SonyAlphaBlogに、昨日発表されたタムロンの中望遠マクロ「90mm F/2.8 Di III MACRO VXD」のレビューが掲載されています。

Tamron 90mm F2.8 Di III Macro VXD

  • 大きさ重さは90mmマクロとしては標準的で、造りの品質は非常に優れている。
  • フォーカスリングは非常に正確に動く。AF/MF切り替えスイッチがないのは残念だ。
  • AFは速く正確で静かで、連写時でも良好に機能する。瞳AF、トラッキングは非常に上手く機能する。
  • 解像力テストは6100万画素機で行った。中央は開放から優れた解像力でF4に絞ると更に際立った解像力になる。隅は開放から非常に良好な解像力で、F4では素晴らしい解像力になる。全体的に素晴らしい性能だ。

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  • 近接撮影ではF4からF5.6で最高の解像力が得られる。遠景では開放から優れた解像力で、絞っても大きな改善は見られない。
  • 周辺光量落ちは開放では見られ、F5.6で解消する。
  • 歪曲はゼロに近い。
  • 倍率色収差は非常に少なく、軸上色収差はゼロに近い。
  • 逆光耐性は平均的で、いくらかハロが見られるがマクロレンズとしては良好だ。
  • F16に絞ると光条が現れる。

  • 玉ボケは開放から素晴らしく、12枚羽根の絞りのおかげでF5.6まで絞っても円形が維持されている。後ボケは柔らかくとても素敵だ。
  • 色再現とコントラストは非常に良好だ。
  • 動画のAFは全体的に非常に優れている。フォーカスブリージングは目に見えるが、他のマクロレンズに比べるとかなり少ない。

  • 他のマクロ(シグマ105mm F2.8 DG DN、フォクトレンダーAPO Lanthar 110mm F2.5、ソニーFE90mm F2.8 Macro)との解像力の比較では、シグマは全ての点で優れておりこのカテゴリでベストで、フォクトレンダーはシグマに非常に近い性能だ。ソニーとタムロンの解像力は開放ではExcellentにとどまっている。これらの違いが確認できるのは6100万画素機のみで3300万画素や4200万画素では、いずれも解像力は同等だ。

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  • 玉ボケはタムロンが最高だ。ソニーは玉ボケが円形ではなく奇妙な形で、シグマはより円形だが、どちらも輪郭に若干の色付きが見られる。タムロンは輪郭に色は付かない。後ボケはどのレンズも非常に柔らかい。
  • 逆光耐性はタムロンがトップレベルだ。
  • AF性能には大きな違いはない。
  • 動画はブリージングが少ないのがタムロンの有利な点だ。絞りリングをクリッレスにできるのがシグマの利点だが、タムロンはフォーカスリングを絞りリングとして使用できる。
  • 比較の結論:タムロンは最もバランスが取れたレンズで、シグマは近接撮影時のシャープさの点では若干優れているが玉ボケでは若干劣る。しかし、エルゴノミクスの点ではAF/MF切り替えスイッチすらないタムロンよりもシグマの操作性の方が好みだ。

  • 結論:タムロン90mm F/2.8 DI III MACRO VXDは優れたマクロレンズでポートレートレンズとしても優れている。解像力は素晴らしく、玉ボケと後ボケ、色再現もとても良好だ。弱点は鏡筒にフォーカスリミッターのみしかないことで、(AF/MFの切り替えや、フォーカスリングを絞りリングに使用するなどの)その他の設定はレンズユーティリティで行う必要がある。

 

マクロレンズは通常の中望遠レンズに比べると描写が硬めになりがちですが、タムロン90mm F/2.8は人気のタムキューの最新版だけあって、ボケが美しく柔らかさもある描写で、花や人物の撮影で大いに活躍してくれそうですね。

開放付近の解像力に関してはシグマやコシナ(フォクトレンダー)の方が高いですが、これはタムロンがタムキューらしい美しい描写を追求した結果だと思われるので、レンズの設計思想の違いですね。