「Nikon 1」は誰がターゲットなのかが明確ではなかった

DPReviewに、Nikon 1 シリーズの振り返り記事が掲載されています。

On this day 2011: Nikon's 1 Series tried to start a mirrorless revolution

  • ミラーレスカメラに像面位相差検出機能を搭載した最初のブランドはニコンだったことを覚えているだろうか。デュアルゲインセンサーを搭載した最初のカメラもやはりニコンだった。現代のミラーレスカメラでほぼ必須の技術となったこの2つの画期的な技術は、どちらもNikon 1 V1 / J1 で初めて登場したものだ。
  • Nikon 1 は、ミラーレスカメラが誰を対象とし何を達成しようとしているのかが、当初は明確ではなかったことを浮き彫りにしている。これらのカメラが写真家のメインカメラなのか、一眼レフシステムと併用するサブカメラなのか、あるいは一眼レフを購入する予定のない人のためのメインカメラなのか明らかではなかった。ニコンは、おそらく自社のデジタル一眼レフの売り上げを落とさないために、この3つ目のグループをターゲットにしていると述べたが、Nikon1がどのようなカメラなのか一貫したメッセージを発信していなかった。
  • Nikon 1の高速読み出しセンサーは、ミラーレスカメラのオートフォーカスの方向性を示すものだった。 特にNikon 1のC-AFは他社を大きく引き離しており、最大60コマ/秒のRAW撮影が可能だった。しかし、インターフェースは単純で不満が残るもので、制御しようと思ってもカスタマイズ機能が制限され、自動露出は被写体ブレするシャッタースピードを選択することが多く、初心者への訴求力を損なっていた。
  • Nikon 1は欠点はそれだけではなく、暗いキットズームはノイズがかなり多いセンサーの画質のポテンシャルをむしろ鈍らせてしまった。
  • 後から考えれば、小型センサーのミラーレスシステムは売りにくいように思えるが、一眼レフの大きさや不便さを望まないユーザー層にアピールしようとしたニコンを責めることはできないだろう。
  • ニコンは1インチフォーマットを諦めず、 2016年にコンパクト カメラ3機種を開発発表した後、土壇場でこれを中止した。しかし、このような失敗があったからこそ、ニコンはミラーレスがコアユーザーにとっての未来だと最終的に判断した際に、少し早く(Zシステムを)立ち上げることができたのかもしれない。

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Nikon 1は像面位相差AFや電子シャッターによる高速連写などをいち早く取り入れるなど、進取の気性に富んだ意欲作でしたが、Nikon 1シリーズが登場した当時はまだまだ一眼レフが強かった時代で、一眼レフと競合しないように配慮した結果、中途半端な立ち位置になってしまったのかもしれませんね。

小型センサーのレンズ交換式を復活させるのは難しいと思いますが、現在、ハイエンドコンパクトが見直されているので、1インチはコンパクトカメラで復活させたら面白いかもしれませんね。