市場のデータを見ると「フィルム回帰」の限界が見えてくる

phototrendに、富士フイルムフランスのディレクターのインタビューが掲載されています。

Interview Fujifilm au Salon de la Photo 2024

  • (APS-Cセグメントの市場に関する数字はあるか?)
    GFK(市場調査会社)の数値はフルサイズ市場以外の全てが対象でAPS-Cだけが対象ではないが、このセグメントではAPS-Cと中判のおかげで我々は約40%のシェアを誇るリーダーだ。

  • (X-M5で、1000ユーロ以下の市場に富士フイルムが戻ってきた理由は?)
    この価格帯のカメラは、特に若者の間で需要があることが分かったためだ。

  • (X-M5はコンテンツクリエイターのためにデザインされたと述べられているが、これは何を意味するのか?)
    当初、X-M5はYouTuber向けに設計されていて、3つのマイクを使用するとこのことがはっきりと理解できるだろう。しかし、製品を知れば知るほどスチルカメラマンにとっても魅力的な製品であることに気付くだろう。

  • (XF16-55mmF2.8IIに手ブレ補正が入っていない理由は?)
    当社のハイエンド機は全てIBISが搭載されている。そして、このズーム域ではOISの効果はそれほど顕著ではない。

  • (フィルムシミュレーションで富士フイルムはフィルム回帰の流れに貢献していると思うか?)
    そう思う。我々もこのトレンドに貢献していると思う。しかし「フィルムへの回帰」という考え方には少し補足が必要だ。我々はフィルムメーカーとして、フィルム市場のデータにアクセスできるので、フィルム回帰が本当に大規模な現象なのかどうかを把握している。確かに、特に若者の間でフィルムに対する大きな関心があるが、その限界も見えてきている。

  • (リコーがPNETAX 17を発売したが、富士フイルムは新世代のフィルムカメラを提供しないのか?)
    私はその情報を持っていないが、今のところフィルムカメラは計画されていないと思う。しかし、慎重に見守りたいと思う。

  • (X100VIの成功には驚きだったか? 増産はできたのか? )
    X100VIの成功は我々の想像を遥かに超えるもので、我々は非常に高い予想を立てていたが、発表の翌日から想像を絶するほどの需要があった。待っている方々にお詫びしたい。しかし、10 ~ 11 か月以内に、注文分はすべて届けられると思う。X100VIの生産は直ちに上方修正された。しかし、部品を調達する必要があり、これは一晩で届くわけではない。

 

最近はPENTAX 17やRollei 35AFなどの新型フィルムカメラが登場するなど、フィルムカメラが盛り上がっていますが、富士フイルムはこの流れに乗るつもりはあまりないようですね。確かに、富士フイルムはフィルム関連の市場を最も正確に把握できる立場の企業なので、手持ちのデータを精査すると、そのような消極的な結論が出てしまうのかもしれません。