ソニー「α1 II」の自動被写体認識AFは画期的だが価格が高すぎるのは残念

DigitalCameraMagazineに、ソニーの新しいフラッグシップ機「α1 II」のレビューが掲載されています。

Sony a1 II review: So smart, it knows what you're shooting

  • α1 II は優れた 5010万画素センサーなど前モデルからの多くの優れた機能を継承し、そこにいくつかの新機能を追加しているが、目を見張るような新機能等の華やかさには少々欠けている。追加された機能の多くはα9 IIIで既に目にしたものだが、複数の被写体を同時に識別できる世界初の自動被写体検出は別で、この機能は傑出した機能だ。
  • α1 II は6499.99ドルで不可解なほど高価だ。競合製品のEOS R5 Mark IIは4299ドルで、スポーツ志向のEOS R1よりこちらが直接のライバルだと思う。ニコンもα1 II とほぼ互角に戦えるZ8を3999ドルで販売している。EOS R5 II の非常に優れた視線入力AFは、ソニーの自動被写体認識に匹敵するものだ。α1 IIがこれらの機種よりもずっと高価な理由は、私に聞かないで欲しい。
  • 重さは792gで、持ち運びはそれほど大変ではない。改良されたグリップは4本の指すべてをかけることができ、片手で非常に快適に持てると感じた。これはミラーレスカメラでは珍しいことだ。
  • 操作系のレイアウトはα9 IIIと全く同じで、信じられないほど多くのコントロール機能が備わっている。
  • 4軸マルチアングルモニタのヒンジ機構は極めて頑丈で、どの位置でも画面を保持できるが、片手で動かせないほどの重さではない。
  • EVFはα9IIIと同じもので実に使いやすい。

  • AFは旧型からもっとも大きな飛躍を遂げた機能で、高速化されただけでなく最新のAFアルゴリズムの採用で被写体認識は他のソニー製カメラに追いついた。画期的な新機能である自動被写体検出は、さまざまな被写体と1つのモードで認識できる機能で、設定の切り替えの必要がなくカメラを向けて撮影するだけだ。この機能は実に上手く機能し、各認識モードと同じ精度でさまざまな被写体を簡単に切り替える。一つの画面に複数の被写体がある場合、人より犬にピントがあったり、静止した人物よりも走る車にピントが合ったりすることもあるなど、時折少しつまずくことがあるが、これは時間が経てばアップデートされることを確信している。
  • 画質はFE28-70mm F2との組み合わせでは非常にクリアでシャープだ。センサーは旧型と同じでアップグレートしても違いは分からない。発色は良好で非常に正確だが、少しパンチに欠けている。
  • 手ブレ補正は最大8.5段分の効果でこれはα9 IIIを1/2段上回るソニーで最高のものだ。スチルではこの手ブレ補正は抜群の効果で、非常に暗い場所でも安心して使用できる。動画でも手ブレ補正は非常に役に立つが、激しい動きではゼリー効果が出る。アクテイブモードではゼリー効果は改善するが、クロップされるという代償がある。このカメラで移動しながら撮影するならシンバルに投資することを勧める。
  • 動画は4Kが素晴らしく、S-Cinetoneで撮影すると撮って出しで本当に綺麗にグレーディングされたすぐに使える映像が得られる。また、後処理で最大のダイナミックレンジが引き出せるS-Logで記録も可能だが、内部RAWコーデックが無いのは残念だ。

  • ちょっとした不満はα1 II が万能カメラであることで、さまざまな分野を幅広くカバーするならニーズにピッタリのカメラだが、ソニーには他にも多くの特定の分野でより優れているかまたは同等の仕事をかなり安い価格でこなすカメラがある。風景や商品写真で最高の画質を求めるならα7R Vを検討して欲しい。また、α1 IIの金額を払うなら、驚異的な機能を備えたα9 IIIがスポーツや野生動物などの動きの速い被写体には最適だ。α1 IIを検討しているなら、その機能がすべて必要かどうか考える必要があるだろう。
  • α1 II は予想通りの後継機で、多くの機能はソニーの他のボディに既に導入されていたものだ。α1 II がわずかな改良でライバルに負けない性能を維持できるのは、初代α1がいかに最先端であったかを示している。α1 IIの自動被写体認識は画期的なAF機能で、今後のソニーのAFの進歩に大きな期待を抱かせるものだ。AFはこれまで以上に高速化しているだけでなく、より簡単かつ直感的になった。
  • α1 II が依然として高価なままなのは残念だ。最初はソニーのカメラの性能を示すハイエンド製品だったので許容範囲だったが、今では他社がα1 II に匹敵するボディを遥かに安い価格で提供しており、これがα1 IIの唯一の欠点となっている。

  • 良い点:最新の被写体認識による超高速AF、画期的な自動被写体認識AF、驚異的な画質。
  • 悪い点:価格が非常に高い。ソニーの他のカメラの方が適している可能性がある。それほど大きなアップデートではない。

 

α1 II は驚くような新機能こそありませんが、AF性能は大幅に強化されているようで、新機能の自動被写体認識も追加され、このAFだけでもかなり訴求力は上がっていますね。手ブレ補正もかなり強化されているようで、特にスチルでは効果が大きそうです。また、他機種にも採用されていますが、4軸マルチアングルモニタも魅力的で、他にも細かいアップデートがなされており全体としてはかなり便利に改善されているという印象です。