PetaPixelにキヤノン「EOS R1」、ニコン「Z9」、ソニー「α1 II」の3機種のフラッグシップ機の比較レビューが掲載されています。
・Canon R1 vs Nikon Z9 Vs Sony a1 II: 2024 Flagship Camera Review
- 風景写真:
Z9はほとんどの状況で十分な画質の素晴らしいフラッグシップモデルで、4500万画素センサーは、大きなサイズの印刷やトリミングに最適だ。メカシャッターレスなのでキヤノンやソニーに比べると若干ダイナミックレンジが犠牲になるのが批判点だ。
EOS R1はタフなボディでダイナミックレンジも優れているが、RAWでもノイズリダクションが常にかかっているのでディテールがわずかに損なわれる。また、画素数が少ないので大きな印刷やトリミングには不利で、現状では風景撮影に理想的な選択肢ではない。
α1 II の5000万画素センサーは印刷用に十分なディテールがあり、ダイナミックレンジはノイズリダクションを適用しなくてもキヤノンと同等だ。α1 II のボディは圧倒的にコンパクトで遠く離れた場所での撮影では大きなメリットだ。ボディはこれまで以上に頑丈だとソニーは主張しているが、以前の機種ではバッテリードアから水が入る問題があった(この件については十分なテストはしていない)。風景や天体の撮影では私は喜んでα1 II を選ぶ。 - ポートレート:
Z9は人物を問題なく追跡し追尾する。かなり高速な電子シャッターも備わっているので、屋外でフラッシュを同調は最大1/250秒で、高速同期モードを使用しなくても周囲光をかなり抑えられるが、シンクロ速度では、より優れた選択肢がある。
EOS R1 はほぼすべての生物の目を巧みに追跡し、目が隠れている場合には頭、体、胴体を追跡する。画素数の少なさは古典的なポートレートではそれほど大きな問題にはならないが、ディテールが求められる場面では、明らかに苦戦するだろう。フラッシュ同調速度は電子シャッターで1/320秒、TTLフラッシュでは1/400 秒と非常に高速だ。
α1 II も同様に人物を粘り強く追うリアルタイムトラッキングAFを搭載している。フラッシュ同調に関してはTTL フラッシュを使用したメカシャッター モードの1/400秒が真価を発揮する。 - スポーツとアクション:
Z9 は初期には、雨や大雪でフォーカスを見失うことがあったがアップデートにより、的中率が大幅に向上した。Z9は初期段階で問題はあったものの、現在はほとんどの撮影状況で正確で信頼性がある。連写は速いがRAWでは20コマ/秒までで、それを超えるとJPEGになる。
スポーツはEOS R1の得意分野でキヤノンはAF性能を大幅に向上させ、激しいホッケーの試合でもヘルメットをかぶった選手の目を正確に検出し、高い的中率を達成した。バスケ、バレー、サッカーなどではアクション優先モードを使用すれば、結果はさらに改善する。連写は非可逆圧縮RAWで40コマ/秒でバッファーは10秒以上持ち、問題なく撮影できる。高画素が不要なスポーツやアクション写真の大部分ではEOS R1が王者だ。
α1 II はフットボールの撮影ではAFは非常に効果的で、とても高い的中率だった。連写速度はZ9とR1のちょうど中間で、非可逆圧縮で30コマ/秒で撮影できる。望遠レンズに向いたボディではないように思えるかもしれないが、バッテリーグリップの追加で対応できる。 - 動画:
Z9は内部収録で8.3Kまで圧縮RAWで記録でき、後処理で柔軟な調整が可能だ。この仕様は競合製品よりも優れている。高品質のオーバーサンプリング4K60p記録も可能で、Z9は3台の中で最も高性能で低価格なビデオカメラだ。
EOS R1にも内部収録のRAWがあるが、2400万画素なので6Kまでしか対応しない。とはいえ動画は優れた画質で、Z9と同様のオーバーサンプリングの4K60pも可能だ。
α1 II は内部収録のRAWに非対応で、競合製品よりかなり劣っている。RAWを外部に出力することはできるが、4Kに限られており、明らかに動画ではα1 II は不利だ。4Kはサブサンプリングでディテールはかなり失われる。8Kで撮影し後処理でオーバーサンプリング4Kにすることはできるが、Z9やEOS R1よりも遥かに不便だ。 - まとめ:
Z9は他の機種よりも古いにもかかわらず素晴らしいカメラで、5000ドル弱の価格帯では最高に価値あるカメラであることに異論はない。あらゆる撮影に対応し、3機種の中では最も優れた動画とスチルのハイブリッドカメラだ。
EOS R1 は6300ドルと高価で、スポーツやアクションの撮影に特化したカメラだ。キヤノンは高速スキャンのセンサーと最先端のAFを備えた革新的なボディを開発した。ビデオカメラとしても優れている。しかし、この高い料金を支払うならもっと多くの撮影に対応できるカメラが欲しいと思ってしまう。多くの人はEOS R5 IIに目を向けるのではないかと思う。
α1 II は既存の技術を借用して改良しているが、大きな革新性はなく議論を呼ぶカメラだ。一方でこのカメラは依然として信じられないほどの性能を発揮する。これはオリジナルのα1が時代を先取りしていた証拠だが、アップデートの内容はプリキャプチャーや自動被写体検出など、かなりマイナーなものだ。動画は4年前からほとんど改善されておらず、6500ドルという非常に高い価格なので更に高性能化して欲しかった。
3社のフラッグシップ機は結構性格が異なっていて、動画に一番強いのがビデオカメラを作ってきたソニーとキヤノンではなくニコンというのが面白いところです。動画重視で8KやRAW内部記録が必要ならZ9一択になりますね。
スポーツやアクションの撮影に関してはEOS R1が「王者」と評されていて、R1のAFは相当優秀なようです。高画素が不要で条件の厳しい動体撮影中心ならEOS R1は最有力候補になりそうです。
α1 II は旧型からやや地味なモデルチェンジで華々しさには欠けますが、AFや連写などの基本性能は依然として極めて高く、ネットワーク機能等のプロ向け機能が必要な人や、フラッグシップ機にも軽量コンパクトさを求める人にはよい選択肢と言ってよさそうです。
N
読んでいて、改めてZ9の凄さを感じました。
出た当時のメカシャッターレスの衝撃、そしてその後も貪欲にアップデートを重ねて周りの進化に見劣りしないでここまで来ているのは立派です。
今新規で購入するなら他の選択肢もあるでしょうが、当時Z9を予約購入して今まで使ってきた身としては、本当にお得な買い物だったなと。
kankan
あえて分けるならスチルのR1、万能性のα1Ⅱ、動画とコスパのZ9といった感じでしょうか。
α1Ⅱはガジェット好きには刺さらないアップデート内容ではありましたが、なによりスポーツや報道で使われるのを前提とした機材かと思いますし、革新性よりもネットワーク機能やAFやグリップ性を含めた信頼性・操作性を第一とした所にソニーがカメラメーカーとしてしっかり写真を撮るカメラマンに向き合っている証拠なのではないかと思いました。
tkfl
Z9のおかげで業務の精度がどれだけ上がった事か…。
あともう一回ぐらい大規模なアップデートが来てほしいけど、流石にもうこれ以上は後継機かな。君はもう十分に名機だ。
2石
確かに列挙されている動画のスペックではα1Ⅱは負けています。
しかし、実際にZ9の8k60pRAWと同現場でα1の8k30p-HLGを用いて、
ISOが2500以上になる屋内環境で撮影した素材を編集で拡大して
(私はマルチ撮影において、8kカメラ素材は引きのフィックスであり、
その素材をそのままだったり、自由自在に拡大したり、
抜く構図の座標を動かしたりして数台分の素材を作り出して、
最終的に全てのカメラの素材を使ってフルHDに完パケするために使用しています)
私の様な編集をする人で、映像を比べた経験がある人なら、
α1が動画で負けているという世間一般の評価とは違う意見を持っている人も
多数居られるだろうと思っています。
8kN-RAWをダビンチで現像し、色を調整してノイズリダクションを施しつつ
拡大。α1も同じようにして拡大していくと、
両機種で動画の感度性能の差が現れてきます。
拡大率が少ないと判りませんが、拡大率が上がってくると、
どうヤリクリしても感度が違う。ディテールを残しながらもノイズを
どれだけ少なく仕上げられるのか。という点を追求してますが、
この拡大編集をするとハッキリと差が出てきます。
この差の要因の主たる理由は、
動画時のセンサー読み出し速度の違いによるものだと思っています。
8k30pに留める事で読み出し速度を少し遅くして、基本感度性能を確保しつつ、
内臓エンジンによるディテールとリダクションの処理におけるバランスも
絶妙で、それによってかなりの拡大編集に耐えられる映像を撮れるカメラが
α1だと思っています。私の使い方は少数派かもしれませんが・・。
るっく
SONYが動画で劣るというのがとても意外です。
それにしても8kとか一般ユーザーにとってはかなり無縁な話で流石フラッグシップな比較ですね。
Kentie
私は静止画オンリーのアマチュアですが,ダイナミックレンジの差が気になるた
め,2年間ほど Z9 と Z7II を併用してきました
朝夕など明暗差が大きい条件下では,暗部のノイズなどZ9の画質に多少気になる
点もありましたが,AFをはじめとする使い勝手の面では(当然ですが)Z9が圧
倒的に有利でした
やはりカメラというものはトータルバランスなのだと痛感させられた次第です
メカシャッターレスの英断は Nikon だからこそできたのでしょう
私自身は結局 Z8 に行きつき,そのトータルバランスに満足する今日この頃です
もょもと
原文は読んでいませんが、ここに引用された範囲ではα1 IIをα1に置き換えても成立しそうな内容ですね。
それだけα1が凄いということなのでしょう。
鶴舞の仙人
R1は、動きもののスチール写真、具体的には、スポーツ撮影、モータースポーツ撮影、野鳥の飛翔撮影等のコマ速とトラッキング機能を最優先した専用マシンともいえる様です。
名古屋マン
今回のα1IIの発表で、ソニーユーザーである私も購入検討はしましたが購入はしないことにしました。
私の利用範囲はスチルでなく動画です。この記事や皆さんのコメントにもありますが、今回のα1IIは動画の進化の価値を評価できませんでした。
私が評価できないポイントは大きく3つで、「内部RAW収録不可」「8K/60p対応不可」「6K記録不可」です。
もちろんソニーの記録形式には品質評価の高い「XAVC-S系 4:2:2 10bit S-Log3収録」があります。しかし、それはあくまで「10bitカラーでありRAWではない」もので、撮影時の不規則な環境変化での収録にはとても不利となります。
街撮りや人物撮りなど撮影環境の変化が比較的少ないシーンでは大丈夫ですが、アウトドアなど特に野生動物や自然風景撮影には今現在「10bit log撮影」では物足りません。それ以上の撮影品質を望む場合、自ずと「RAW撮影」となります。
それに、「XAVC-S」規格には「6K解像度(4K/8K以外)」は存在しません。「オーバー4K撮影したいなら8Kで摂ればいいじゃん」と考えそうですが、記録容量の効率性は無視できません。クライアントワークな業務撮影ならそれで良いかもしれませんが、私のように自主制作をメインに活動している人たちにとっては、過去に収録したアーカイブ管理もカメラ購入にはとても評価しなければならないポイントですね。
現在、私が所有しているメイン機材は「α7SⅢ」と「Z6Ⅲ」です。また、過去2ヶ月間ほど「α1」や「Z8」も利用しました。
これらを踏まえると、私は今回の「α1II」は購入を見送ります。ソニーがフラグシップと定義する「α1」の動画進化がこれぐらいだと、今後数年ソニーから発売されるカメラ機材がどのような動画進化をするのか…
まぁ現状の所有カメラに特に不満や不足は感じないので、逆に考えれば今回の「α1II」や「R1」ユーザーと互角に戦えると判断すれば良しと考えることができました。
おっちゃん
αシリーズは軽量コンパクトを追い続けている反面
重心が手よりかなり前に行く傾向があるため
あまり自分には馴染まなかった
そういうところをキヤノンやニコンは
イイ塩梅の追い込み方をしているように思える
yama
Z9、α1使ってます。
Z9は60コマ撮れるのが最大のメリットで、発売当初から使用しており、メイン機です。
α1の利点はデータ容量が軽い事。
同じような収録でもZ9のデータがHDD30台に対し、α1は10分の1くらいで済みます。
SONYの技術のすごさがうかがえます。
画質はよほどのことが無い限りどちらも十分と思ってます。
それ以上を求めるのでしたらREDとかになると思います。
実際作業すると色再現などではやはり違いが出てきますね。
Z9ユーザー
Z9を使って約2年近く 買ってからもFWのアップで、別物の様にスチール撮影が出来て大変満足しています。
ただ動画がイマイチで画像が良くてもXLRマイクを使う時に、他社と違いケーブルでデジタルからノイズが乗りやすいケーブルでアナログに変換して再度デジタルに戻すことしか出来ず
動画はS社を使っています。
Z9Ⅱでは、是非改善して欲しい点です。
コツメチャン
Z 9は当初はAFが、、、と言われていたものですが、何回もの大型ファームウェアアップデートで着実にAFが進化しました。
まもなく発売4年目のカメラなのに、これから出るカメラたち(R1やα1II)と勝負できるレベルにあるってのは凄いと思います。
高感度画質は正直他機に比べて明らかに弱いと思っていますが、最近はAIノイズ除去が非常に有用になってきたので、幸いにもこのデメリットをあまり感じません。
rad
R5がMarkⅡで高画素積層センサーとして性能を格段に上げて来たので、
α1ⅡとZ9との比較であれば割って入って来そうですね。もちろんZ8もですが。
R1の競合はむしろα9Ⅲで、Nikonには該当機なしのイメージです。
R3がやはり微妙な立ち位置になりましたが…
タロウカジャ
プロの方が撮影される対象を考量すると3機種どれでもいいのかもしれません。後はデータの処理がどれだけスムーズに行えるかで決まってくると思います。
それと合理的な小型軽量化が求められるでしょう。
Nik9
Z9ユーザーですが、動画性能ではN-logが非常に使い難く、こればかりはアップデートを切望しています。
Cinedのラボテストで分かりやすく解説されていますが、Z9の10bitはa1よりもダイナミックレンジが2段落ちます。Rawなら何も問題ないのですが、ファイルサイズが圧倒的に大きく、撮影と編集で非常に苦労します。
ニコンは「解像度を重視したからノイズが多い」と解説していましたが、Rawの方がノイズが非常に多いにも関わらずダイナミックレンジは他社に劣らず、等倍でも解像度はa1や初代R5同等に見えるのでこれはBT2020ベースのN-logが問題かと思います。
正直RawとS-log10Bitとの差を感じるシーンはあまり無く、サイズの取り扱いに重大な差があるので、REDさんの力も借りてNLog2を(Z9m2はもちろん初代Z9にも)是非ともお願いしたいです。
oto
ニコンはキヤノンやソニーのようにPro用などの動画機を出してないので、カメラの方の動画機能を遠慮なくていいので、それでZ9のようにフルモリ出来るのですかね、そこが強い。