キヤノンはレトロ調カメラの課題を慎重に検討している

phototrendに、キヤノン開発陣のインタビューが掲載されています。

Interview Canon CP+ 2025

  • (EOS R1をR3ともっと大きく差別化しなかったのはなぜ?)
    EOS-1シリーズの新モデルは、あらゆる面で前モデルを上回るものでなければならないというのが、当社の基準だ。プロの写真家にとって、機能は確かに重要だが、信頼性も同様に重要だ。R1の画素数はR3と同じだが、AF性能の大幅な向上やローリングシャッター、ファンインダーの改善など、プロはこの違いに気付くことを確信している。

  • (新しいVCMとUSMとの違いは?)
    VCMの強みは、高トルクなので重いレンズを動かすことができるということだ。トレードオフとしてモーターが少し大きくなるが、大きなレンズのAFをより適切に管理することができる。

  • (キヤノンはあらゆる種類のレンズを開発する能力を持っているので、サードパーティのレンズメーカーを必要とせず、フルサイズを制限したいと思うのではないか?)
    それは正当な指摘だ。どんなビジネスでも成功する戦略には市場をコントロールしたいという願望も含まれると思う。キヤノン製品で多様なニーズをすべて満たすことが理想だが、開発リソースやコストの制約を考えると、EFの時代であってもそれは不可能だった。ユーザーは多様性と選択肢を求めている。それが、我々と協力するパートナーがいる理由だ。我々は今後もこのアプローチを継続していくつもりだ。

  • (2024年はフルサイズに重点が置かれたが2025年はAPS-Cが期待できるか?)
    新製品の計画については言えないが、顧客の期待は理解している。楽しみにして欲しい。

  • (エントリーレベルのコンパクトカメラの生産を他社に委託するという御手洗氏の発言があったが?)
    コンパクトカメラの出荷台数はピークのわずか40分の1になっている。これらのデバイスは日本で生産されているが、他のメーカーも含めて市場が縮小しすぎたため、現在は供給が減り、入荷を人々が待っている状態になっている。しかし、(委託で)生産量が増えればこの問題は解決すると思う。

  • (キヤノンはヴィンテージスタイルのカメラを発売していない。来年はAE-1の50周年だが、今後そのようなカメラが発売される可能性は?)
    ヴィンテージスタイルのカメラの開発は言うほど簡単なことではなく、デザインの変更でレンズやアクセサリにどのような影響があるのか、エルゴノミクス、その他の要素の配置などを考慮して設計する必要がある。AE-1のデザインを採用した場合、キヤノンのカメラに必要なエルゴノミクスと使い勝手を本当に実現できるのだろうか? それが大きな問題だ。確かに、ヴィンテージスタイルの要望は多く、それを無視しているわけではない。しかし、これらの技術的・商業的な課題を慎重に検討する必要がある。

  • (RF70-200mm F2.8L IS USM Zはなぜ白と黒の2色があるのか?)
    スチルの世界では望遠レンズは一般的に白色だが、動画撮影者は不要な反射を起こす可能性のある白を好まないため黒色の需要が多い。我々は両方のニーズを満たす必要があった。どちらの色も良く売れている。

  • (C2PAの対応を検討しているか?)
    現在、実装作業を行っているところで、2025年中にEOS R5 Mark IIやEOS R1でこの機能が使用できるようになる予定だ。

 

最近の噂ではキヤノンのレトロ調カメラ(ヴィンテージカメラ)の登場の可能性がかなり高くなっているような印象ですが、ここでは慎重な姿勢のままですね。とは言え、以前はレトロ調カメラに否定的だったのが「慎重に検討」という表現に変わっているので、前向きになってきたと捉えることもできそうです。

APS-C機に関しては「言えない」としながらも「楽しみにして欲しい」とも述べていて期待できそうな雰囲気を感じます。