DigitalCameraWorldに、キヤノンの新しい超広角単焦点レンズ「RF20mm F1.4 L VCM」の初期レビューが掲載されています。
・Hands-on Canon RF 20mm f/1.4L VCM review: Canon's widest professional prime for the RF mount
- サイズは他のVCMシリーズのレンズとほぼ同一で、重さは519gとシリーズ中で一番軽い515gの24mm F1.4より若干重いだけだ。決して小さいレンズではないが、使い心地はよく、テスト機のEOS R5とのバランスは良好だ。
- ボケはなんて美しいのだろう。20mmのレンズでボケを考慮することは通常はないが、キヤノンのVCMレンズ群は全て美しい絵画のようなボケの表現だ。
- このレンズは電子補正に依存しており、RAWでは強い歪曲と周辺光量落ちがある。このレンズは歪曲の電子補正を前提に解像力を高めて設計されており、これは歪曲補正で画像を引き伸ばしても実質的に解像力の低下がないことを意味している。このキヤノンの主張はRF35mm F1.4Lのラボテストで実証されている。したがって、RAWの歪曲は標準以下かもしれないが、最終結果は、補正が100%の光学補正の場合と同じかおそらくはそれ以上に鮮明な画像になる。
- ハイエンドのビデオグラファーは、シネマレンズに投資することなく、RF24mm F1.4L よりも広角の単焦点レンズを使用できることを歓迎するだろう。インタビューのシーンには大口径20mm が理想的だった。
- このレンズは他のVCMレンズと同様に、開放から優れた解像力、美しい前景と背景のボケ、速く静かなオAF、動画用の絞りリング、最小限のフォーカスブリージングを誇る。電子補正に強く依存しているため、RAWで撮影する場合は手動で補正する必要があるが、ラボ前のテスト結果では、優れたハイブリッド性能が明らかになった。スチル、動画、その両方でトップクラスの広角撮影をしたい場合は、すぐにバッグに追加したくなるレンズだ。
- 良い点:軽量コンパクト、防塵防滴、美しいボケ、ロック可能な絞りリング。
- 悪い点:大部分のボディでは動画専用になる絞りリング、JPEGオンリーの歪曲補正。
超広角は電子補正を強くかけると周辺部の解像力低下が目立つことが多いですが、このレンズは補正を前提にあらかじめ解像力を高めて設計してあるということで、補正後でも周辺部で十分な高解像力が得られているようですね。ボケに関しては、サンプルを見る限りでは、確かに超広角としてはかなり綺麗で、これは背景を入れたクローズアップ撮影で威力を発揮しそうですね。
microzukoh
強い歪曲があるなら、補正後は原理上絶対に周辺解像力は落ちるはずなんですが、従来レンズで自然に起きる解像力低下よりも、今回のレンズを使った補正の方が解像力低下が軽いってことなんでしょうね。
「実質的に」解像力の低下がないってのがそれを意味してるのかな。
この焦点距離になるとデジタル補正使わないのは現実的ではないですから、ボケ味も綺麗とのことで良い手だと思います。
ところで、RAWだと補正されないとありますが、キャノンの場合RAWファイルに補正のプロファイルとか入れてないんでしょうか?
現像ソフトが対応するまで待つしかないってやつかな…。
hui
補正後も良い結果が出ているなら元の光学性能が非常に高いと言う事になります。
RAW(.CR3)は、DPPやカメラ内現像は元より、Neural network Image Processing Toolを介せば補正後のRAWを好みの現像ソフトで扱えます。
サファリハット
画素に記録してから引き伸ばすという仕組み上必ず解像は劣化するにもかかわらず光学補正よりも劣化が分からないぐらい解像力を高めて記録しているってどういう原理なのでしょうか
bababa
リンク先の画像を見る限りですが、無補正のRAWの画角がそもそも18mmぐらいに広いのを思いっきりトリミングしているのと、よくある中心部は補正なし、周辺部だけ補正という単純な歪曲ではなく(樽型じゃなく複雑にふくらんだりへこんだりしている)中心部も結構な移動量で補正しているのでトータルでみて均質な画質に仕上がっているんじゃないでしょうか。いずれにしてもすごい技術ですが。
microzukoh
bababaさま
鴨と木と浮き輪の写真だと思いますが、中心は移動してないですね。線引いてみましたが一致してます。
そういう意味ではなく、中心付近でも補正で引き延ばしてる、って話なら、大抵のミラーレスの歪曲補正はこうだと思います。補正しやすいように、全体を素直な樽形収差にしてるケースが多いですね。
一眼レフの場合は極力平面にしとこう、周囲だけ捨てようという考えなので、発想が異なります。
補正しても画質があまり落ちないのは、RAWデータからデモザイクする時、歪曲収差補正も同時に行ってるのも理由だと思います。
歪んだ画像のままJPEG出力のような「ピクセル」にしてから引き延ばすとボケボケになりますが、ベイヤーのデモザイクは複数画素を複雑に参照して「ピクセル」を作る処理なので、この時に参照する位置を調整する処理が入れば大きな画質低下無しに歪曲補正ができると思われます。
テストで使っている R5 Mark II のような高画素機なら、補正の影響も相対的に少なくなるので有利ですね。低画素機との違いは気になるところ。
R5 Mark II にはディープラーニングAIを使ったアップスケール技術など搭載されてますし、今後歪曲補正などもどんどん高画質化してくかもしれませんね。