キヤノンは「EOS R1」のクロスAFの下位機種への展開を検討している

Imaging Resourceに、キヤノン開発陣のインタビュー記事が掲載されています。

Canon Interview CP+2025: Action Priority AF, Lenses, and a HUGE software move by Canon!

  • (EOS R1のクロスタイプAFは下位モデルにも搭載される?)
    クロスAFは、特殊なセンサーで専用の製造設備が必要となるため、想像以上にコストがかかり、製造工程が複雑になる。しかし、このセンサーは顧客からは性能面で高い評価を得ており、今後は下位機種への展開も検討している。

  • (AIベースのアクション優先AFはどのように動作するのか?)
    技術的な詳細は言えないが、システムが選手とボールの空間関係、特に選手の関節の位置とボールからの距離を分析し、カメラがこの情報を用いて選手がフォーカスを優先すべき動作を行っているかどうかを検知する仕組みだ。これは人間の骨格を見て姿勢や動作を認識するコンピュータービジョンではかなり一般的なアプローチだ。(競技のプレーの認識に関して)バスケットボールを例に挙げると、ゴールがどのように決まるか、選手がどのように動き、ドリブルをするかなど、試合中の様々なシナリオをAIは理解している。

  • (従来のAFとAI AFの動作はどのように調整するのか?)
    AI機能を従来のトラッキング手法に統合した。すべてのシーンにAIが認識可能な動作が含まれているわけではないので、システムが特定のアクションを検出できない場合は、頭部と瞳の従来型のトラッキングに戻る。

  • (APS-Cとフルサイズの割合はどのくらい?「10:1」それとも「5:1」、「100:1」?)
    APS-C市場は現在、非常に活況を呈している。これは主に、価格と性能のバランスが優れているためだ。2023年に発売したR50とR100は、世界的なベストセラーとなっている。フルサイズとAPS-Cの市場の比率については具体的な数字は言えないが、言及された「APS-C:フルサイズ」が「10:1」「5:1」「100:1」といった比率よりもフルサイズが優勢だ(追記:「APS-C:フルサイズ」が「5:1」よりもフルサイズの割合が多いという意味です)。このトレンドの大きな要因は、エントリーレベルのフルサイズカメラが格段に手頃な価格になったことだ。

  • (70-200mm F2.8 L IS USM Zの開発ではどのような課題があったのか?)
    まず、スムーズなズームを可能にするために、パワーズームを実装する必要があった。2つ目に、フォーカスブリージングを最小限に抑える必要があった。3つ目に、ズーミング時のフォーカスシフトを解決する必要があった。70-200mmという広い焦点距離でズーム全域で正確なフォーカスを維持することが特に困難だった。

  • (3Dレンズの市場は本当にあるのか?)
    3Dレンズに関しては、市場がまだ初期段階にあるにもかかわらず、我々はこの分野に注力している。3D分野は今後大きく成長することを確信しており、我々は3D開発の最前線に立ちたいと考えている。手頃な価格のレンズのラインアップを拡大する計画があることも強調しておきたい。

  • (iPhone用のライブストリーミングアプリには驚いた)
    今はハードウェアだけでなく、ソフトウェアにも力を入れていこうという意識で取り組んでいる。アプリにとどまらないソリューションの提供に全力で取り組んでいく。このアプリを開発した主な理由は2つある。1つ目は、マルチカメラライブストリーミングを手軽に実現したいという市場ニーズに応えること、2つ目は、将来的にキヤノンのカメラやレンズに興味を持つ可能性のあるユーザーに、キヤノンというブランドを知ってもらうことだ。

 

EOS R1のクロスAFは将来は下位機種に降りてくるようで、まずは次世代のR3やR5あたりに採用されるのでしょうか。クロスAF対応センサーはかなり製造が大変なようなので、この技術がR6シリーズやAPS-C機まで降りてくるまでには結構時間がかかるかもしれませんね。

また、APS-C市場が非常に活況を呈しているということなので、今後は各カメラメーカーが再びAPS-Cに力を入れるようになるかもしれませんね。

[追記] APS-Cとフルサイズの販売比率に関して誤解されている方が多いようですので、記事を少し修正しました。