OM SYSTEMはプレミアムコンパクト市場への参入は考えていない

Imaging Resourceに、OMDS(OM SYSTEM)幹部のインタビュー記事が掲載されています。

OM SYSTEM CP+2025 Interview: OM-3 Details, New Lens Details and Possible Futures

  • (OM-3は非常に多機能だが上位モデルのOM-1と競合しないのか?)
    OM-1は自然の奥深くに踏み込み決定的瞬間を捉えるためのツールとして開発された。一方、OM-3は、写真家が常に持ち歩き、より身近なアウトドアシーンで活躍できるカメラだ。これらのモデルは用途が異なるため、競合の心配はない。また、OM-5シリーズは、山や森、キャンプ場といったアウトドアアクティビティ用に位置付けられている。

  • (では耐候性はOM-5の方がOM-3よりも優れている?)
    防塵防滴性能は基本的に同等だ。OM-5はOM-3よりもボディサイズが小さく軽い。登山愛好家は軽量性を重視するため、重い機材は適していない。

  • (OM-3のファインダーはOM-1IIより解像度が低いが、何か否定的な意見はあったか?)
    OM-3のEVFの画素数はOM-5と同じだが、OM-5のEVFから改良を加えており、明るさの変化が激しい場面でも視認性が格段に向上している。 SNSではEVFの画素数について懸念の声もあったが、実際にOM-3の体験されたユーザーの方々からは、十分満足しているとの声をいただいている。

  • (3つのOMの機種でファインダーのダイナミック レンジを比較すると?)
    OM-1IIのEVFはOM-3よりもダイナミックレンジが広く、OM-3はOM-5よりも広い。また、OM-3のEVFはOM-5よりも明るい。

  • (PEN-Fの後継機は登場するのか?)
    PENに関しては、OM SYSTEMブランドとして、新しいPENをどうしていくかを検討している。新しいPENにふさわしいコンセプトは何か、まだ検討段階だ。そして、PENのコンセプトが決まった後に、外観デザインをPEN-Fに近づけるのか、E-P7に近づけるのかなどを決めていく。PENは我々にとって非常に重要なシリーズなので、PENシリーズの後継機は考えている。

  • (OM-3のフロントグリップが無いことについて)
    グリップの有無については、長い議論を重ねた結果、最終的にグリップを目立たせないこのデザインに決定した。フロントグリップを使わずに快適な撮影ができるよう、サムレストを設計した。このサムレストにより、OM-3は12-100mm F4 PROまでのレンズを快適に使用できるように設計されている。

  • (新しい17mmと25mm、100-400mmのレンズの今後の販売見通しは?)
    日本では、これらのプレミアムレンズの予約数が当社の予想を上回っており、既存ユーザーと新規顧客の両方を引きつけていることがうかがえる。シンクロ手ぶれ補正機能を搭載した100-400mmレンズは、主に新規のお客様をターゲットにしている。なぜなら、野鳥撮影における当社の最大の強みは手持ち撮影だからだ。三脚を使うと、手持ち撮影に比べてフレーミングの自由度が低くなり、手持ち撮影よりも難しい場合が多い。

  • (ユーザーからの交換レンズの要望は?)
    コンパクトなサイズ感を維持しつつ10-30mm(換算20-60mm)のような焦点距離を求めている顧客もいる。また、OM-3の発売後、パンケーキレンズの新たな要望がある。7-14mmのユーザーからはフィルターを使用したいという要望がある。

  • (レンズは既存の光学系のままのアップデートが多いが新規の光学系のレンズの開発は継続する?)
    はい、その点は約束できるが、具体的な内容は話すことができない。OM-3は、OMDSとして初めてフルモデルチェンジしたカメラだ。レンズについても、今後も新しい光学設計のものを投入していく。必ず実現するので安心して欲しい。

  • (オリンパスから独立したことでOM SYSTEMの研究開発への投資とイノベーションの継続能力について懸念を抱いている人がいるが?)
    2021年にオリンパスから独立して以来、業績は好調を維持している。過去3期連続で増収増益を達成しており、この傾向は3月期まで続くと見込んでいる。

  • (AIオートフォーカスの今後の方向性について)
    被写体のバリエーションの拡大や精度向上も重要だが、それ以上にユーザビリティの向上が重要になるかもしれない。最終的には、無意識に使えるようにすることが重要になるかもしれない。AI検出技術への投資は今後も継続していく。

  • (TGシリーズは今後も進化を続けるだけの需要はあるのか?)
    もちろんだ。基本的には今後もTGシリーズを続けていきたいと考えている。ハイエンドのプレミアムモデルやTGシリーズのさまざまなバリエーションなど、まったく新しいコンセプトのコンパクトカメラに投資するかどうかも検討したが、現状では、ビジネスの観点から、プレミアムコンパクトカメラを新たに開発するには、市場規模が十分ではないという結論に至っている。TGシリーズのセンサーの大型化や望遠ズームの搭載といったコンセプトも検討してきたが、これらの変更はTGの重要な要素であるコンパクトさと矛盾することになるだろう。AIAF搭載に関しては検討している。

 

PENシリーズの新型機に関してはコンセプトを検討中ということで、登場する可能性はありそうですが、まだかなり先のことになりそうですね。コンパクトに関してはラインナップを拡大するつもりは今のところないようで、当面はTGシリーズをキープコンセプトのまま正常進化させていくという形になりそうです。