キヤノン「RF45mm F1.2 STM」は欠点はあるが魅力的なレンズ

PetaPixelのYouTubeチャンネルに、キヤノンの安価な大口径標準単焦点レンズ「RF45mm F1.2 STM」のレビュー動画が投稿されています。

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  • RF45mm F1.2 STMは使い勝手の面では好印象で、F1.2のためレンズ自体はやや"大きく見えるものの、重さは約346gと軽く、フィルター径67mmで取り回しは悪くない。カジュアルに持ち歩くのに快適だ。ただし防塵防滴は省略されている。
  • STMによるAFは、速度や追従は想像以上に良好で、近距離から遠距離への移動もキビキビ動き、瞳AFや動体追尾も問題なくこなせる。作動音は完全な無音ではなく、わずかな音(ハム音のようなもの)が聞こえるが、実用上大きな問題はない。

  • 逆光ではコントラスト低下やゴーストは比較的よく抑えられており、画像が破綻することはない。
  • 最大の弱点は軸上色収差で、ピント面の前後のボケにマゼンタ/グリーンの色ズレが出やすく、玉ボケや遠景の木の枝などで目立ちやすい。しかも軸上色収差は後処理で消しにくく、厄介だ。絞れば軽減できるものの、そもそもこのレンズはF1.2〜F1.8の明るさと浅い被写界深度を楽しむために買う人が多いはずなので、この欠点は購入前に理解しておくべきだ。
  • ボケ描写についてはかなり好印象で、特に夜のイルミネーションのように点光源が多い場面では、開放で猫の目状の玉ボケが出て良い雰囲気で、年輪ボケも見えず綺麗だ。その反面、バブルボケっぽい縁取りは多少あり、複雑な背景ではボケが少しうるさく見えることもある。とはいえ、全体としては価格を考えると、驚くほどボケは良好だ。
  • 解像に関しては中央は期待以上に優れており、F1.2から十分シャープで、コントラストはやや低いものの、F1.8でコントラストが改善し、F2.8でさらに改善する。問題は周辺・四隅で、F1.2ではかなり甘く、F1.8でも改善が小さく、F2.8まで絞っても「劇的には良くならない」。つまり中央を重視して開放から使える設計で、周辺は犠牲になっている。ポートレートのように被写体を中央に置く用途なら困りにくいが、集合写真や風景、画面の端まで均一な解像が欲しい用途では絞りたくなる。

  • フードは別売りでコストに含めて考えるべきだが、それでもなお、ベースが約470ドルという安さは破格で、総合的に見ると軸上色収差の欠点を除けば、その他は意外とよくまとまったレンズだ。光学的な癖(軸上色収差や周辺の甘さ)はあるものの、価値を発揮する領域(低照度撮影・大きなボケを活かした撮影・ポートレート・家族写真等)に限れば十分に魅力的で、こうした方向性のレンズが他の焦点距離にも広がってほしい。

 

RF45mm F1.2は昔ながらのダブルガウスタイプの標準レンズなので、開放付近の周辺部の甘さや後ボケがうるさくなるなどのウィークポイントもそのまま受け継いでいますが、F1.2の明るさと非常に安価な価格を考えると十分以上の性能で、かなり楽しめそうなレンズという印象です。最近は開放から隅までシャープなレンズが多いので、絞りで描写の変化を楽しみたい方にも45mm F1.2は良い選択肢になりそうですね。